のと鉄道

 98年4月以来の珠洲である。見覚えのある駅、見覚えのある店。相変わらず寂しいねぇ、とは思う。蛸島行きまで1時間以上だねぇと時刻表を眺める。蛸島行き、1本前が10数分前に出たばっかりなのね、残念。穴水行きは……、10分後????。穴水に着くのは13:58、かぁ。これ、いいかも。穴水から空港への移動がネックだけど、最悪タクシーに乗っても構わない。珠洲から穴水まで\1,260。
 待合室は閑散としていたけどホームには結構な数の高校生が列車を待っている。どうやら駅舎と反対側にも簡素な出入り口がありそちらから入ってくる様子。小さな私鉄らしい柔軟な対応だけど、それが乗客には結びつかなかった訳かぁ……
 列車がやって来る。1両編成。高校生が大挙して乗り込むと満員、とまでは言わないけれど賑やかな列車になる。お別れに来た同類も数人居る。あとは地元の人がちょこっと。高校生とヲタを除けば換算とした列車、と言えるかもしれない。列車はまず今来た道を引き返す。道路から見る眺めと列車の窓から見る眺め、道路からの方が多少は街らしく見えるな。高校生は数駅で降りるけどまた別の高校生も乗ってくるので乗客は減らない。軍艦島がちらっと見えて乗り合いタクシーとルートから分かれてゆく。
 車窓に広がる光景、意外にも穏やかである。雪もあんまり積もっていないし、吹雪いてもいない。左手に続く海も穏やかだ。季節風やら雪雲やらが能登半島で遮られているのかもしれない。人が住むには良さげな所で、人家もさっきの珠洲道路に比べれば格段に多いけど、それが乗客には結びつかないのかなぁ。
 宇出津に着く。高校生の大群はここまでだった。空港では宇出津方面って乗り合いタクシーが見当たらなかったのを不思議に思っていたけど能都町方面が宇出津へ出る手段だった様子。飛行機に乗った時のアンケートも目的地として大量の市町村名を挙げて答えよという設問があったけど、市町村の名前や範囲をそこまで把握しているわけでないからなぁ。駅名しか知らない、ってのも不味いんだろうけど。
 エンジンを吹かして走り出し小駅が近づいて停まる。一人乗ってきたり二人乗ってきたり誰も居なかったり。その繰り返し。ちょっと眠くなる。ウトウト。どこかのすれ違いの出来る駅で目覚める。側線にディーゼルカーが7〜8両、留置されている。よくみると留置ではなく放置らしい。穴水-輪島が廃止になった際に余剰となった車両だろう。穴水-蛸島廃線になればさらに多数の車両が余剰になるはず。