夕景

 駅のポスターにさっきの観光駅馬車が出ている。天童と山寺を周遊するバスだそうな。土日祝のみ、無料。無料かよ。観光駅馬車に乗っていれば14:06には山寺に着いていた。まぁ、下調べもしてないし、しゃーないな。
 電車が来るというのでホームに出る。西の方角に微かに明かりを残している。久しぶりにみた東北の夕空。やっぱり綺麗だと思う。しかし、えらい寒い。日が暮れて一段と寒さが増したようだ。マフラーが欲しいな、と思う。立石寺の階段を上って大汗をかいた時と逆の思い。人間って勝手だな、煩悩はやっぱり消えないらしい。
 電車は恐らく先ほど立石寺から撮影した列車の折り返しの様子。まぁまぁ空いている。西の空に微かに残っていた明かりも消えて暗闇の中を走る。窓ガラスに自分の顔が映る。
 やっぱり疲れてしまったようで、気が付くと眠っていた。愛子で下車。高校時代の友人に拾ってもらいメシを食いに行く。航空券予約した時は正直本当に出かけることが出来るかどうか分からなかったけど、11月3日に宿題を提出して確信できた。よっぽどの事が無ければ大丈夫ということで連絡を取ってみた訳。仙台の地理はよく分からないのでどこを通っているものやらさっぱりだけど気が付くと仙台駅前。東口にクルマを停めて駅前のビルの中にある寿司屋で2時間弱。牡蠣の軍艦巻きが美味しい。友人は石巻で御馳走になった牡蠣が非常に美味しくて、それ以来、牡蠣を食べられるようになったそうな。凄く分かる気がする。
 正直、楽しかった。今日の旅行はいつもと違って旅行らしい旅行だなぁなんて何となく思う。
 改札まで送ってもらう。時刻表を見ると30分ぐらいだと思っていたはやて・こまちは実は24分。あとちょいで発車だったりする。幸い指定席、こまちの禁煙車で抑えることが出来る。友人はこれからまた職場に行くのだそうな。それ知ってたら無理に付きあわせなかった、かも。本当に申し訳ない事をした。何から何までスミマセン。
 帰りのこまちは暖房が効いている。朝の飛行機は軽く冷房が掛かっていたのだけど。三度PCを持ち出して恥辱の続き。車内販売が廻ってきたので高清水の指名買い。ワゴンを見ると金萬を載せていたりする。なんか「故郷の訛り懐し停車場の…」の世界だなぁ。でもその世界は275km/hで駆け抜けて行くのであり、ワンカップの高清水を空けている間に列車は新白河を通過する。現実がまた近づいてくるなぁ。それを振り払うようにもう一本、高清水を。