週の最後の金曜日。朝のニュースであけぼのの廃止について触れていた。思い出話に出てくるあけぼの。出世列車の名と共に高嶺の花、初めて乗った時は感激した、そんな話が付いて回る。正直、同感である。自分自身、秋田と上野を足繁く行き来した学生時代がそうだったから。あけぼのというか寝台特急なんて料金が高過ぎて最初から選択肢に上げられない。そんな訳で普通急行に、繁忙期は急行津軽も混雑するから、それは避けて臨時の急行おがを選ぶ。そんな感じだった。
 そういえば秋田出身で現在は横浜市南区選出という官房長官がこんな事を言っていた。

あけぼの運転終了に菅長官「非常に寂しく残念」 撮り鉄には注意喚起 2014.3.14 19:00 SankeiBiz
 菅義偉官房長官は14日の記者会見で、上野−青森間を結ぶJR東日本寝台特急「あけぼの」が同日で定期運転を終えることについて「時代の流れとはいえ、非常に寂しく残念だ」と感想を述べた。
 あけぼのは菅氏の出身地の秋田県も経由するが「残念ながら私は乗ったことはない。料金も高くて、私にとっては憧れだった」と明かした。
(以下略)

 だからこそ、乗った時の晴れがましさがあるのだろう。

 今週は横浜に戻るのでその準備をしてから会社に行く。資料の手直しをやったり、14年分の宿題に手を掛けたりして居る間に夕方になる。今日は定時の日。少し早い目に切り上げた事にして残業枠を捻出する。
 出先の家に戻り身支度。今日は近所のバス停から空港へ向かうリムジンバスに乗る。先月2月14日、大雪で飛ばなかった中部-羽田の振り替えが今日なのである。一時は今日に送別会が入りそうな状況でよほどキャンセルしようかと思った今日のフライトだが、結果から言うと乗れる事になった。

 1か月前はこの時間、真っ暗だったが、今日はまだまだ明るい時間。そして晴れ上がった一日。何の邪魔は無くバスはやって来る。いや、渋滞に邪魔されて少々遅れてやって来たけど。
 海外に行くらしいお客さんが多少乗り込む。週末らしい光景ではあるが、バス全体は空いている。そして渋滞の中をじりじりと高速のインターへと進む。多少遅れても問題ない程度の余裕はあるので気にせずに、溜め込んだ恥辱を進める。
 30分掛かってようやく高速道路。その先、速度を上げる筈が、渋滞に巻き込まれる。どちらかというと停滞に近い渋滞。

 数人しか乗っていないから空気は変わらないが、1時間経っていつもなら空港に着くぐらいの時間にまだ伊勢湾岸道

 渋滞の正体は工事であった。3車線を1車線に絞っての緊急工事。金曜の夕方にやるか?と思うが、やってしまった物、乗ってしまった物は仕方ない。飛行機の時間に余裕がある事だけが幸いだ。
 運転士が無線で折り返しのバスに間に合わない事、伊勢湾岸が緊急の工事渋滞で走れない事、回送車は名二環へ廻れと、そんなことを矢継ぎ早に伝えている。工事個所を抜けるとようやくバスは動く。

 中部国際空港に到着するといつもより1時間遅れ、19:45となっていた。飛行機の出発までに55分あるから余裕ではあるが、ラウンジでビールでも飲んで、というプランはもう破綻している。
 先に展望デッキに出てみる。先に行けば行く程、猛烈な冷たい風が吹き付ける三月のセントレア。飛ぶかなぁと一瞬思うが、横風ではないから飛ぶのだろうと思う。

 これからの搭乗機、JL146便はJA315Jを眺めてから急いで引き返す。