JL731 JA8077 B747-400 NRT→HKG


搭乗口につくと既に一般の搭乗が始まっている時刻であった。いつでも乗り込めるがちょっと間をおき写真を撮ったり、家に電話したり。さて、そろそろ機内に向かうことにする。
JA8077のファーストは今では一番古いスカイスリーパー。実は予約時点ではスカイスリーパーソロとなっていて、楽しみにしていたのだけど結局本来の機材に戻ってしまった。結構座席が埋まっていて、ソロのままだとオーバーブッキングだったかも知れない。残念だが仕方が無い。
ラウンジで見かけた人が何人か乗っており既に座っている。隣の通路側も予約席。ここから反対側まで3席。何と子供連れが来た。有償だろうか、豪気なことだ。12席中11席が埋まった。
席についてしばらく、担当者から挨拶があって新聞やら毛布の希望を聞かれる。一通りお願いして持ってきてもらう。出発前の一番慌しい時間帯だが、一番前の隔離エリアにはその喧騒は伝わらない。頂いた新聞に目を通しつつ出発の時間を待つ。9:52、Doorclose。おぅ、定刻だ。出発の案内が流れる。香港までの飛行時間、3時間40分とのこと。
9:56、Pushbuck。10:00Taixing。気持ち悪いほど順調で第一ターミナルの前をTaixingしてゆく。貨物エリアが見えてきてそろそろ渋滞の最後尾。のはずがそのまま進む。滑走路端まで来てしまった。ちょっと距離があり、離陸待ちはありそうだが、特に案内がないまま先へ進む。滑走路端に出てしまった。まもなく離陸しますの案内。嘘だろと思う。まだ10:16だ、もちろん嘘な訳なくTake off RWy16L。出発ラッシュに巻き込まれて、離陸まで30〜40分は当たり前だと思っていたが、こんなスムーズに行ったのは初めてである。
雲の中を上昇してゆく。少々のゆれ。時折地上がうすぼんやり見える事もあるが、概ね雲に隠されたまま。なかなかベルト着用サインが消えないなぁと思っていると、10:25、ようやくサイン消灯となった。 
ひとまずお手洗いに立つ。窓がついて外が見えるお手洗いの見学を兼ねている。液晶のon offで外が見えたり見えなくなる仕掛けを楽しんだのだけど、洗面台にいつも表示されている「後のお客様のために簡単にお拭き下さい」という銘板がこの洗面所には無い。ファーストの客にそんな事はさせないというのか。でも、ファーストの客だから他の客に気を使わなくても良いということは無いだろうし。
席に戻る。そろそろウェルカムドリンクの時間。一人ずつ順番に運ばれてくる。シャンパンかオレンジジュースの二択はビジネスクラスと一緒だけど、

器が全く違いますな。放映の始まったNHKニュースを眺めながらシャンパンを少しずつ。隣の人はウェルカムドリンクを断って既に寝ている。乗りなれている人なんでしょうねぇ。こちらは

何度乗っても見えればじっと見てしまう富士山をはるか上空から眺めて西へ。一瞬高層にも雲が出てきて、飛行機が揺れる。ベルト着用サインが再点灯するわけではないが、細かく揺れ続ける。ワインリストが配られた後、改めてドリンクをお願いする。

この後はグラスが空いていれば断らない限り注がれる時間が続くことになる。おつまみは皿に乗せられ出てくる。揺れは続いていてグラスの中身も一緒になって揺れ続けている。

海岸線が見えた。どこだろうと思ったらナビゲーションマップによると淡路島らしい。いつの間にか遠くまで来ている。11:05、機長さんから飛行状況の案内が入る。この後、高知、鹿児島、台北の上空を経て香港到着は12:55を予定しているとの事。香港の天候は晴れで気温は32℃だそうだ。この先、所々ゆれが予想されているそうだ。その言葉を伝える間にも細かい揺れが続いている。そうそう、大切な情報が伝えられた。今日のフライト。満席だそうだ。

改めてメニューリストが配布される。しっかりと眺めた訳でないけど、片道だけのものだったと思う。ビジネスでも往復で一冊だから、こう言うところにはコストを裂くんだなぁと感心しながら眺める。「後ほど伺います」とのことで再びグラスにシャンパンが注がれた。
メニューはしっかり見なかったが和食か洋食か、正直迷うところ。JALのファースト、しかも日本発なら間違えなく機内食として頂く和食の世界最高級と言って良いんだろうなぁと勝手に思っていて、和食かなぁと思いつつも、やっぱり洋食は魅力的。今飲んでいる酒が洋酒だからと言う理由で結局、洋食を選択。オーダーを伝える。

その間に飛行機は四国を横断。宇和海だろうか。多島海が見えてきている。まもなくテーブルがセットされ、パンを配られる。そして

前菜が運ばれてきた。11:30。ベルト着用サイン消灯から1時間ほど経っているが時間をあまり感じさせない。前回インボラアップグレードでビジネスだった時は最初のドリンクが出てくるまでえらい時間が掛かった。元からファーストとインボラでビジネスでは同列に比較は出来ないだろうが、さすがにファーストクラス。と言うべきだろう。

次はスープ。じゅん菜のスープと書かれていて、目を引いた(洋食にした理由のひとつだったりする)のだけど、違和感無く仕上がっている。正直、ここでジュンサイ(メニューでは「じゅん菜」と書かれていたが、「ジュンサイ」の方が馴染みがある)でなくても、と言う気持ちはどこかにある。
パンの追加を勧められるままに頂く。担当の乗務員、本当、一人ひとりを良く見ている。グラスが空いたら、また注がれる。一人ひとりが何を飲んでいるかも頭の中に入っているのだろうなぁ。

そして、メインとサラダ。一瞬、ビジネスと器を変えただけかなぁと失礼なことを考えたが、ナイフを通した瞬間、あっ、違うなと。そんな肉に煩い訳じゃないし、食通でもないけど、素人にも分かりやすいほどに違いがあった。
最後にデザート。ワゴンで廻るデザート、ビジネスクラスでは止めてしまったけどファーストはそういうコストもケチらないらしい。フルーツ、ケーキ、アイスクリームにチーズと揃う。まぁ全員有償なら運賃で片道300万円の世界だものねぇ。まぁ、私は特典ですけど。特典航空券の人、何人いるのかな。

まだまだ飲み続けるからチーズを頂く。適当に選んでくださいとお願いしたら、こんな感じに。先ほど食事を頂いていた時と同じ銘柄のワインが注がれて、飲み続行。乗ってからだと、多分、6杯目ですかねぇ。同じタイミングで失礼かもしれないと思いつつもカレーを頼む。これはもう完全にネタですかねぇ。

そんな訳でカレーも食べてしまう。玉ねぎの甘みを前面に感じつつもしっかり香辛料の辛さも陰に隠れてこちらを伺っている。万人受けを狙った間違いの無いカレーと言った所かなぁ。う〜ん、カレーなら語れる(苦笑)
アイスクリームなどもご用意しておりますが、と勧められたのは暗にもう飲みすぎですよと言う意味かも知れない。でもこちらとしては飲むつもりなので、再びチーズ盛り合わせ。

選んだ人が変わると選ぶものも若干変わってくる。フランスパンとの組み合わせは美味しかった。
12:55、あと1時間で香港着陸と案内された。香港の天候は晴れで気温は31℃との事。まもなく免税品の販売が終了するそうだ。そんな時間か。ずいぶんと飲み続けていたなぁと改めて思う。最後に付け加えられた。25分ほどでベルト着用サイン点灯と。
気がついたら寝ていた。外を見ると

どこかの島が見えている。香港島が見えていると思ってしまったがそんな訳はない。でも13:30になっている。だいぶ来ているなぁ。
そんな事を考えているとアテンダントさんがやってきて申し訳なさそうに「お休みでしたのでお渡しできませんでした、良かったらお持ち帰り下さい。」とコスメキットをくれる。ありがたく頂く。まもなくベルト着用サイン点灯。あと15分ほどで着陸だそうだ。リクライニングを元に戻す。
高度をだいぶ落として揺れ始める。香港の区域、恐らく新界だろう、濃い緑の中に並ぶ高層ビルが見えてくる。だいぶ高度が低い、まもなく着陸か。Gearが落ちる。時計を見ると13:47。ちょっと意識が遠のいた次の瞬間、前方モニタに滑走路が映し出されている。13:53、Landing、RWy 25R。急減速してゆく。
誘導路をゆっくりとスポットに向かう。飛行機が止まる。香港時間で13:02、早着のためこの先に飛行機がいるため待つとの事。確かに4時間ちょっと、13時過ぎに香港に着いた経験は何度か乗った中でも一番早い。 
13:06、Spot in SP 41。今日もシェードを閉めてくださいと案内。でも、ファーストのエリア、元々開けられなかったシェードも多いからなぁ。
荷物をくくり、またお待ちしておりますの言葉に送られて一番最初に降機する。

一枚撮ると「ファーストクラスのお客様はお車を用意しております」の声。慌てて用意されたクルマに乗ることになる。

香港の空港に移動用の車があって、確か50HKDで利用できるのは知っていたし、JALのファーストを利用するとサービスで乗れるのは知っていたけど、確かに楽。サテライト側と言いたくなる41番スポットから入国検査までは歩くと10分じゃ着かないからなぁ。クルマを断ってスポットに駐機する飛行機の写真撮りながら歩くのもありだと思っていたけど、乗ってしまえばやっぱり楽だ。
入国審査に若干並ぶが入国自体は問題なくパス。既に荷物は廻っていて荷物を受け取ると速攻外へ。まだ13時半すぎ。本当に早かった。フライとタイムが短いのなら折角のファーストが、と言いたくなるだろうが成田での離陸までの時間が短くなった分には、まぁいいかと思える。
今日は前回と同じホテルを用意している。九龍までエアポートエクスプレスが早いが、九龍駅からの移動の手間を考えて前回と同じくバスを選択。A21系統。 敦道をゆくバスは観光客にとって使い勝手が良いのか明らかな外国人、つまり欧米系の人が乗客に目立つ。

バスが動き出す。疲れと酒が廻ってしまったのだろう。小一時間の乗車時間は殆ど爆睡。彌敦道に差し掛かると不思議と目覚めた。バス停のたびに近隣のホテル名が表示されるから、辺りの地理を知らなくても降りるバス停は何となくつかめる。最も、案内よりも前に、ここだなと思える景色が広がったから案内が無くても何とかなったかもしれない。

バスの外、むっと来るような空気に包まれる。カタカタカタカタ、咳かされるような信号の音に香港を実感する。刺すような太陽の下、どうしてこれだけみんな元気に歩いているのだと不思議に思いつつ、ホテルまで。チェックインして部屋に入ると、

既視感のある景色が。6月にも泊まった同じホテル。同じ階の同じサイドに通された。もしかしたら同じ部屋かもしれない。
朝から飲み続けたのが祟ったのか疲れを感じる。少し部屋で休んで日が落ちてから出掛けようかと思う。軽くシャワーを浴びてベットに転がり込む。ちらちらと目が覚めたり潰えたりする間にだんだん日が暮れてくる。

19:30を廻ってようやく暗くなった。ちょっと引き気味ではあるけど、香港島の夜景が良く見える。ちょっと出掛けようか。おなかはまだ減っていないが、折角の香港だし、何か麺でもお腹に入れておきたい。

外はまだ蒸し暑いが、昼間の酷暑はなくなった。佐敦道の周辺をうろうろ。ぱっと入ってしまえる店が無く、さてと思う。一人旅、広東語は全く出来ないし食事のハードルは高い。混んでいる店と空いている店。混んでいる店の方が美味しいに決まっているが、それもまたハードルは高い。
いざ入ってしまえば何とかなる事も多いのだけど、そこまで頑張らなくてもマクドナルドやらセブンイレブンやら、とりあえずお腹を満たす手段は幾らでもあったりもする。でもそれは避けたい。
結局、路地裏の適当な店に入る。全く人が入っていないわけではないが、テーブルが半分程度、というのはどんなものだろう。指差しと片言の英語で注文は何とか通じる。漢字が読めなくても意味は分かるからひとまず何を頼んだか把握しているつもりだ。ワンタン麺が出てくるはず。

何か、想像とかけ離れたものが出てきた。でもワンタンは中に沈んでいる(具は奥底に沈んでいるのが香港流らしい)。お世辞にも心のそこから美味しいという感じではない。初日の食事は失敗したかなぁと反省。明日は混んでいる店を選ぼう。
コンビニでビールを買ってホテルに戻る。香港島の夜景を遠めに眺めつつ、パソコンを取り出す。ビール片手に25日の恥辱を仕上げ、今日の恥辱に取り掛かる。幾らでも書けそうな気になる。ビールが尽きてもう一度買出し。外に出るとまた熱気に包まれる。カタカタカタと信号の音。あぁ書きたいなぁと考える。一種の躁状態だなぁと別のアタマが考える。
追加のビールを一本空けるとさすがに疲れを感じた。そろそろ寝ようか。