宇高連絡船を偲んで

 と言うわけではないけど高松へ行くのに一捻りしたくなった。新快速でおなじみであるがゆえに新車なのに目新しく思えない223系のマリンライナー茶屋町で降りる。電車は途中、すれ違い列車遅延のため4分程遅れており、宇野行きの発車時間は過ぎている。でも上り電車は全体的に遅れており遅れてきた上り普通列車と接続を取っての発車。
 宇野行きは213系の2連。マリンライナーとして活躍した車両が都落ちしている。運転席後ろは良い展望席だったはずが座席が取り払われワンマン対応に改造。前に来た時は確か荷物車の末裔だったよなぁなどと思い出しながらの25分。一つトンネルを越えて辺りが開けてくると終点宇野。大きかった筈の駅はすっかり整地され、連絡船があった頃を想像する事が難しい。
 高松や小豆島に向かう船は駅前から出ている。歩いて2〜3分。今度の高松行きは13:25だそうな。船の姿はまだ無い。ささやかなターミナルで切符を購入。一応、簡単な食事も出来るカウンタもあって一人前なターミナルといった様相。
 船がやって来る。小さな船だ。船首を陸地に向けて接岸するとタラップが降りてくる。トラックやら乗用車やらで車載甲板はいっぱい。車が出てゆくと入れ替わり高松行きの乗船開始。急なタラップを上がり客席へ。客室には椅子席がずらっと並ぶ。窓の部分にはテーブルつきのボックス席。中には電源の使えそうなところもあり、そんなボックスの一つに居を構える事にした。
 乗客はちらほらと。全部で20〜30人ぐらいかな。一応売店が一角にあってうどんなんかも出してくれる様子。
 出発が若干遅れているようだ。13時半過ぎ。にわかに騒がしくなる。
「出発準備整いました」
「了解」
「左舷後方、ボートが居ます。」
「了解」
 ブリッジのやり取りがなぜか筒抜け。船は一旦後進したのち反転、船首を南に向けて動き出す。船内放送が流れる、最後に時代掛かったメロディに合わせて
♪力をあわせて腕を組み行くぞ我らは四国フェリー
 って社歌なんでしょうか。
 折角なのでうどんを食べてみた。天ぷらうどん\320。うどんにあんまり腰が無いなぁ。この程度かとは思う。
 生憎の曇り空。海もグレーに溶け込んでいる雰囲気だ。割と頻繁に遠くを同じような形の船が通り過ぎてゆく。28分毎の運航だからすれ違うのは14分毎。今乗っている四国フェリーのほかに宇高国道フェリーと言う会社もあるから運航本数は倍になって7分毎のすれ違いになる。
 14:25ごろ前方に高松の街。視界が余り無いためか急に現れたような印象も受ける。玉藻公園の城跡が見えてくる。まん前がフェリーの桟橋らしい。だんだん大きくなってきた。
 14:35ごろ、予定より遅れて高松入港。今度は船尾側を陸地につける。載っていたクルマはそのまま前進すれば上陸できるという事。