JL2703 JA8943 B777-300 SPK→OKA

 千歳のラウンジは混んでいる。仕事に来た様子でも、観光に出かける雰囲気でもない、同類のような感じの客も多い。那覇行搭乗開始でみんな動き出す。やっぱ、同類か。クラスJの空席待ち、呼び出されたのはわずかに1名。一体何時に空席待ち入れているのだろう。
 那覇ゆきは機材到着遅れとかで15分遅延。ほぼ満席だとかで、客を全て乗せるまでに更に時間が掛かっている。機内に入る。「新しい座席ですので、座席番号にご注意下さい」と案内。
 「新しい座席」とは普通席、従来が3-3-3列=9列だったものを3-4-3列=10列に改造した事に伴うもの。中に入ってみた瞬間、狭いなぁという印象に包まれる。座ってみるとすわり心地、まぁ良いのだけど、前の人が席を倒してきたりすると狭さが倍加する感じ。
 恐らく、この4月からB747伊丹空港に乗り入れできなくなるために、その対策として、2発エンジンの多座席機材が欲しかった、という事でしょうけど、長距離路線では乗りたくないなぁ。隣のB席が空席だった事だけが幸い。定刻にだいぶ遅れて11:13、Pushbuck開始。11:17、Taixing。那覇までの飛行時間は3時間10分とのこと。一昔前の新幹線、東京-大阪の所要時間と同じだ。気温は20℃と言うから、厳冬と初夏ぐらいに季節が違う。11:23、Takeoff、RWy19R。ひどく緩々と上昇。この先、2,250kmの道のりに備えて相当たくさんの燃料を積んでいるに違いない。千歳線、沼ノ端の駅を眺め、苫小牧の港が見えると北海道ともしばらくお別れ。
 上昇してゆく。薄雲が出ている。軽く揺れた後にベルト着用サインが消える、11:32。滑り出しは順調なフライト。NHKニュースがはじまる。放映されるのは6時のニュース。11:40、どこかの海岸線が見える。後でナビゲーションマップに映し出された航跡によると亀田半島を横切った様子が見えたらしい。最初は日本海にでも出たのかと思ってた。今度は半島。これは津軽半島。右側に座っていれば函館山と竜飛岬が見えたかもしれない。
 津軽平野上空
 写真:津軽平野上空、岩木山が見える
 雪景色の津軽平野、そして岩木山が見えた11:46、操縦席から飛行状況の案内が流れる。この先、佐渡を20分後、大分、鹿児島を経由して那覇へと向かうとの事。高度は11,000m、対地速度は810km/h。那覇到着は定刻より遅れ14:35となるそうだ。飛行機は白神山地へと差し掛かっている。
 11:52、男鹿半島、戸賀湾が見えたのを最後に日本海へと出る。この先陸地が見えるとすれば佐渡能登半島ぐらい。最も、雲が出てきて陸地を隠している。見えているのは海ばかりになる。ドリンクサービスが始まり、空弁を開ける人の姿も目立つようになる。この先、沖縄まではまだまだ長い。12:40ごろ、映画を放映し始める。1時間半ほど放映するそうだ。終わる頃には奄美の辺りか。機内減光。窓の外は相変わらずの雲。落語やら洋楽やら、普段は聞かないプログラムを聞いてみる。
 12:54、雲の切れ目に雪山が見えた。一体どの辺りだろう。案内からすると新潟の辺りはとうの昔に過ぎている。北陸かもしれないけど、時間的に合わないかな。雲が段々取れてきて、山ばかりでなく辺り一面が雪景色である事が分かってくる。千歳を離陸して1時間半。半分は飛んできたのにまだ雪景色。日本は雪国なんだなぁなんて普段首都圏に居ると絶対に思わないような事を考える。だんだん雪が消えて来て、羽田を発って以来、久しぶりの雪の無い景色が見えてくると、大きな街に差し掛かった。川が幾重にも分かれて海へと注ぐ。三角州って事は広島の街か。時刻は13:07。さっきの雪景色は中国地方だったか。
 広島市上空
 写真:広島市上空をゆく
 まだまだ先は長い。瀬戸内へと進み出た機体の窓から島々を眺める。船も通り過ぎてゆく。1月にQ400の伊丹-松山で眺めた景色だけど、今日は高度が高すぎて、いまいち現実感が無い。13:17、飛行機は佐賀関から九州へと入り込んでいる。すっかり雲の無くなった列島後半。眼下に九州の山地。ダム湖がうねる様子が見え、視線を延ばしてゆくと宮崎平野日向灘
 霧島か桜島でも見えないかなと思っていたけど、気が付いたら石油備蓄基地が見えてる。薩摩半島の喜入だ。間もなく九州ともお別れ。これから先は沖縄へと弧を描く島々が機窓のお供になる。知覧が見えた。どうやら弧の右側を進んでくれるらしい。機体左側に島々が見える事になる。先ずは薄っすら種子島が見え出す、13:37。屋久島はもう少しはっきりと見える。島の頂上、谷筋には雪が残っているようだ。これが沖縄へ行く際に見える最後の雪景色かもしれない。
 しばらくは地図上、小さな島々が点在している。YS-11奄美へ、沖永良部へ、与論へと飛ぶ時には一つ一つを眺め、喜んでいたのだけど、今日ははっきりと分からない。諏訪之瀬島あたりの噴煙ぐらい見えたらな、なんて考えても見たけど甘かったようだ。次に島が見えてきたのは14:02、奄美大島の南側に点在する島々。そして徳之島と沖永良部がぼんやり過ぎてゆく。映画が終わる。搭乗から3時間、長かったフライトも間もなく御仕舞い。20分後に着陸と案内が流れる。高度7,000m、対地速度700km/h。
 沖縄本島上空
 写真:沖縄本島が見えてくる 空も青さを増す
 ナビゲーションマップ
 写真:映し出されたナビゲーションマップ 赤い線が3時間掛けて辿ってきたルート
 14:23、ベルト着用サインが点灯。左に割りとはっきり見え出した島はどうやら沖縄本島のようだ。一度右へと旋回。小さな島が幾つか過ぎてゆく。高度がだんだん落ちてゆく。モニタは機外カメラに切り替わった。モニタに映し出された景色が少し右左にと揺れている。左斜めに那覇の市街地が大きくなる。水色に輝く海が手に取るところまで近づいている。不意に陸地、離陸待ちの飛行機、空港だ。14:37、Touchdown、RWy18。
 Spotに着く。「千歳行きにお乗り継ぎの〜」なんて声は聞こえないけど宮古ゆきと羽田ゆきはいる様だ。交代の乗務員の姿も見える。まぁ千歳→那覇、ほぼ4時間立ちっぱなしの乗務を休憩なしに往復では確かに辛いだろうしなぁ。