スモーキーな世界へ

 荷物を受け取ると11時10分過ぎ。そのまま駅に向かう。午後は少し観光をする予定である。窓口で一日散歩きっぷを買い求める。

 今度のエアポート快速は11:34。何時も混んでいる印象が強いエアポート快速だが、今日は空席が目立つ。飛行機は混んでいた、と思うのだが、団体客が多いのか。レンタカーの利用者が多いのか。とにかく、空いた列車で移動開始。
 今年の北海道は5月になっても春が浅い。どことなく冬の続きみたいな景色が流れる中を走ってゆく。

 札幌の街が車窓を流れ、駅に着くと大多数のお客さんは下車。今日はその先へ乗り続ける。再び札幌の街。白い藻岩山が霞んでいる。

 列車は石狩湾沿いに走る。波の押し寄せるその海岸線はやはり寒々しい。そんな中を駆け走り街が現れると終着小樽。1時間少々で到着する。
 今日の目的地は小樽ではないが、次の列車までは少々時間がある。その間に食事を済ませる。

 ありきたりだが駅近くの三角市場へ。
 ネットで調べた一番の人気店は行列ができているがそれ以外の店はそこそこ入れる。あまり時間に余裕もないので、適当な店に入ってしまい、適当な海鮮を頂く事にする。

 丼が供される前のあてとして貝ヒモが供された。適当にぱくつきながら丼が来るのを待つ。まもなく到着。

 ウニとイクラとサーモンで¥1800。観光地価格かも知れないけど満足する。それと、味噌汁が旨いわ。

 食事を頂き、駅に戻る。乗り継ぎの列車は既にホームで待っている。

 函館線の倶知安ゆき。2両つないだ列車に席を見つけて落ち着く。まもなく快速エアポートがやってきて乗り換え客が駆けてくる。一通り席が埋まると発車時刻。気動車はエンジンを吹かす。小樽の街を背に列車は坂を駆け上がる。蒸気機関車の頃は難所だったと聞く小樽から先の区間。確かに小樽を出てすぐに登り坂になるのは大変そうだなぁと思う。

 塩谷の駅。残雪が思い切り残るその様に驚いたりしていると、20分ほどで余市に着く。この辺では大きな街だからか、沢山お客さんが降りる。自分たちもここで下車。

 列車を見送る。

 余市ニッカウヰスキー醸造所がある所。そこの工場見学が今日の目的。天気は優れず、雨らしきものもちらついているが、幸い醸造所は駅のすぐ近くである。

 昭和初期に作られた醸造所。その歴史を感じる入り口のすぐに工場見学の受付がある。そちらで見学の申し込み。見学は無料で出来る。14時半からのガイド付きのコースでお願いする。時間までは待合室に。荷物はコインロッカーに預けることが出来る。コインロッカーも無料。
 バスツアーの団体さんが案内された後に個人客の案内。

 まずは待合室にあるパネルで製造工程の説明から。その後、工程順に建物に案内して説明するのが本来らしいのだけど、団体さんのグループと個人客と二組、同じ時間に案内しているので多少順番が入れ子になる。



 創業当時の、今は使われずに保存されている建物を中心に説明がある。樽の作り方なんて説明があったり、醸造したてのウィスキーから、5年もの、10年ものなんてウィスキーの香りの違いを嗅がせてくれるような体験型のイベントもある。意外と時間がかかって一通りの見学に40分ほど。最後は試飲となる。売り出し中の新商品と、余市シングルモルト10年もの。それにブレディングの17年ものの組み合わせ。癖のあるシングルモルト、まろやかなブレンディング。それに比べると新商品は若いかなぁと思う。

 1人一杯ずつだが、チェックしている風はなく、とはいえシングルのウィスキーを何杯も飲めるわけではないので、一人で何杯も飲む人はいない様子。自分達も二人で各種1杯ずつ。15時40分ぐらいに引き上げる。駅に戻ると次の列車間で20分といったところ。バスターミナルも兼ねている駅は意外と言ったら失礼かも知れないが賑やか。観光案内所に物産販売なんて店も併設されている。そちらで妻がジェラートをお買い上げ。ワインのジェラートにりんごのジェラートだそうで。一口頂いたがさっぱりとした味わいで美味しかった。
 時折雨のぱらつく余市の駅。5分ほど前に改札が開いてホームで列車を待つ。意外と言っては失礼だが行列は長い。

 やってきたのはどうやら先程と同じ気動車倶知安まで往復して戻ってきたらしい。車内は比較的空いていて、余市からのお客さんでボックスが全部埋まる体。列車は春浅い函館線を駆け始める。遠くに鈍い海を望み、振り返れば枯色の山。時々黒くなった雪の塊。そんな中を20分ほど。丘陵に建物が増えてくると小樽の街。

 小樽からは札幌に向かう。すぐに接続の快速エアポート。結構な混雑で座れない。お客さん、大学生が目立つが、途中駅ではスーツケースを持ったお客さんも乗ってくるから空港利用客も結構いるのだろう。立ったままで石狩湾を眺める。手稲で座れたので札幌市内、藻岩山は座って。札幌で下車となる。
 今日は札幌宿泊。取っているホテルは地下鉄で二つ先。初乗り区間だが二人分の地下鉄運賃とタクシー初乗り料金を秤に掛けタクシーに乗ってしまう。水っぽい札幌の街を少々走る。案の定、初乗りで到着。ホテルにチェックイン。

 部屋で旅装を解く。少しゆっくりする間に日が暮れてくる。

 夕食に出掛けようとしたら外は雨が降っていた。
 北大に近いせいか学生向けの安そうなお店が多い。

 辺りを散策して、どこか個性的なスープの店に入る。スープカレーが目当てだが、スープカレーだけじゃなくて色々とスープを取りそろえている、らしい。

 結局はスープカレーを頂いたのだけどね。適度にスパイシーで美味しく頂ける。
 食事の後は明日の朝食の買い物。地下鉄の駅の近くにパン屋があったから行ってみたら、

 20時以降の売りきりセールで40%引き。長い総菜パンを三つ買って¥291という破格。北海道は食事の物価が安いと常日頃思っているが、北海道価格、炸裂であった。
 セイコーマートでも買い物をしたが、想像以上に安くて驚きつつ、ホテルに戻る。
 買ってきたビールを軽く飲む。1本、もう1本と飲む間に眠くなって来て早々に就寝。明日は天候、回復するだろうか。