軽く食べて飲んでゆっくりしていると時刻は14時。そろそろ搭乗開始の時刻。搭乗口に向かう。
既に搭乗が始まっていて行列は少ない。待っていたのは国内線仕様のA320。アルバイトでの遠出という不思議な運用である。もちろんモノクラスでの運用。ブリティッシュエアウェイズのA319で見たような、3列席の真ん中一席をテーブル扱いとする嘘ビジネスクラス、なんて運用は無い。日本の航空会社でそんな事をやったら、苦情の嵐に違いないけど。
機内に入る。入口に雑誌が並んでいる。新聞の提供は終了したはずだが、雑誌は継続していたのか。ちょっと不思議な扱いだ。新聞を頼んだ人は丁寧に断られていた。
7割ぐらい席が埋まっただろうか。3席全て人が埋まった所は少ない様子。14:11、Doorcloseとなる。テレビモニタの無い機材なのでエマージェンシーデモは実演となる。その間に、14:15、Pushbuck。14:19、Taixing。地上係員に送られて滑走路へ向かう。発着の激しい空港だが、敷地に余裕があるからなのか、全く持って滞る事無く進んでゆく。14:28、Take off RWy33R。
北側に向けて離陸し、くるっと旋回してゆく。ちょっと間違えると緊張の領域だが、そんな間違いをする訳もなくまもなく左手にソウルの街が見え始める。金浦空港らしい滑走路が見えて14:35、電子機器の使用が許可となる。
3時間ほど前は霞んでいたソウルの街だが、この時間は上空からでも見渡せる。金浦空港と思しき滑走路。漢江は茶色く濁っている。雲の彼方は北の国の筈だ。
成田着陸が16:35と案内された後、14:36、ベルト着用サインが消灯する。時差は無いから2時間弱の空の旅だ。免税品の販売は15:40までとも付け加えられる。早速、機内サービスの準備。とはいえ、仁川-成田の機内食は凄く簡単だから
箱を渡されておしまい。羽田-金浦がしっかりとした、獄普通の機内食なのに差が激しい。客単価が安いからコストダウン、と言うこともあるかも知れないけど、使用されている機材が国内線機材だから、同等のサービスを展開出来ない、という事情もあるかも知れない。
路線があるだけマシと捉えるお客さんがそれなりにいれば、路線は細々と続くだろうし、こんな路線無くなってしまえというお客さんが多ければ、路線は無くなる、かも知れない。
中身はこんな感じ。搭乗前に軽くお腹に入れてきたから、簡単な機内食でも十分と言えば、十分。味もまぁ、よほど間違えない限りはそれなりに美味しく出来上がるラインナップだから、大丈夫。
ビールを貰い、機内食を摘みに飲んでいると機長さんから、飛行状況の案内が流れ出す。現在、飛行高度10,700mに向けて順調に上昇中、とのことだが、30分ほどすると揺れ始めて成田着陸まで続くそうだ。成田の天候は晴れ、気温は31℃と報告。
朝鮮半島が離れて行き、日本海へと差し掛かる。揺れる、と脅されたが今の所はとても穏やかなフライト。海の青さと白い航跡。やや単調なフライトでもある。
青い海がいつの間にか白い雲に覆われた。
揺れが始まる。意外と大きく揺さぶられる。そしてベルト着用サイン点灯、15:21。大きな揺れが二度三度と続いて乗務員も着席となる。窓の外に目を向けるとさっきまでの青空が消え、黒々とした雲が視界一面に広がっている。
ソウルは気温25度。成田は気温31度。この季節、その間に横たわるものといえば梅雨前線に他ならない。飛行機は今、その梅雨前線を横切ろうとしているのである。
揺れがどうやら収まってきた頃、窓の外を見るとうっすらと地上が見えていた。どこを飛んでいるのか定かではないが、梅雨前線自体は抜けたのだろう。15:59、ベルト着用サイン、消灯。
薄っすらとした地上は少しずつ自己主張をし始める。海岸線が見えた。左手に海岸線?どうやら茨城県大子の上空から太平洋を見ているらしいことが分かる。仁川→成田は何度か搭乗しているが、静岡から房総半島を廻って成田へと向かっていたはず。羽田拡張だったか横田空域の開放だったか忘れたけど、航空路が見直しになったような噂は耳にしており、その影響らしい。
那珂湊と大洗が見える。大洗の港に居るのは苫小牧へのフェリーだろう。茨城県の海岸線といえば、大震災で津波の被害にあった所だが、4ヶ月ほど経って上空から見る限りでは一見、平穏。もちろん、上空から見ているだけでは文字通り上から目線であり、実際の事は現地で見ないと分からないだろうけど。
鹿島の工業地帯を遠くに望みつつ、海岸線から離れてゆく頃、ベルト着用サインが点灯する、16:07。どうやらこのまま着陸となる様子。水郷の田園が少しずつ近づいてきて再び耳の空気抜きに苦しむ事になる。今度は二人で。3日のソウル滞在の間に風邪をうつしてしまったらしい。
着陸待ちなのかしばらく同じような所をぐるぐる廻っている気配があったのだが、エンジン音と景色が変調してどうやら着陸の様子。16:19、Geardown。緑色の田園が鮮やかさを増すと地上もすぐそこ。16:22、Landing、RWy16L。
B滑走路から第二ターミナルを横目に延々Taixingしてゆく。誘導路にクランクがあったり、広々とした仁川から着いて見ると成田の窮屈さが際立つようだ。
沖留めかなぁと思ったものの着いて見るときちんと搭乗橋があった。16:29、Spot in SP56。
揺れた。耳のエア抜きは出来ない。でも、無事に到着。
久しぶりの海外だったから成田も久しぶりである。空港を歩いていると
立入り禁止のエリアがちらほら。震災の影響で破損しところだ。震源に近い分だけ影響は大きかったのだろう。最も、成田だって震源からはうんと遠い筈。今度の地震の凄まじさを物語る。
入国手続きをする。税関の手続きも勿論成田で。でも明日の仕事は横浜ではない、愛知でだ。ここからまた移動となる。