夕涼み観光

 まだこちらの時間で午後の4時。少し観光に出掛ける。台北の中心部にはバスで出ることも出来る。今度はバスを捕まえてみた。

 待つほど無くやって来たのは307系統のバス。台北車站の向こう側の中心地まで行くらしい。ひとまず乗車。妙に立席スペースの広いバスだけど座れる程度の乗車。
 タクシーと違ってメータを気にしなくていい反面、降りるべき場所に悩まなくてはならないから外の景色を半分必死に眺める事になる。そんな中で目に付いたのが

 檳榔の売店。噛みタバコ、見たいな物らしいですけど、この先、あちこちで見かける事になる。
 川を渡ると台北市内、相変わらず低い建物がどこまでも続く道の途中でバスを降りる。

 何か日本の地方都市を歩いているような気分になる。でも日本にこんな元気な地方都市は残っていないかもな。スクーターが街を闊歩し、そして街に溢れる。歩道に並ぶスクーターの列で前へと歩くのがちょっと厄介。そんな中を向かったのが

 お茶屋さん。店ではご主人が相撲中継を見ている。日本人と分かると日本語で応対。試飲、と言うには度が過ぎるて恐縮してしまいそうな程いろいろな種類のお茶を出してくれる。頂く前に香りを楽しむのが台湾流。本当に良い香りを楽しむ間に普通に30分ぐらい過ぎてしまう。
 お土産として実家用にお茶を少々買ってからさて移動。ここから少々歩くと地下鉄、MRT板南線の龍山寺駅がある。その途中に駅名の由来となった龍山寺があったのでちらっと覗いてみた。

 派手すぎてびっくり。地下鉄の駅に入るとちょっとしたショッピングモール。その中に、

 妙な噴水がある。風水の関係で設けたらしい。その隣は飲食店。中でカラオケ。おばさんの気持ちよさそうな歌い声が辺りに溢れる。

 さて、地下鉄。板南線で二駅行くと台北車站。ここで先ほどの淡水線に乗り換える。今度は北側。終点、淡水まで。相変わらず込み合う車内。北に向かうと高架になる。相変わらず、どこまでも低い建物が続く街並みが途切れない。30分以上乗って、意外とお客さんが減らないまま終点、淡水に。駅の中も意外なほどの賑わい。ここ淡水は夕陽の名所、なんだとか。


 暮色の深まる時間。あいにくと曇空の一日だったから殆ど期待せずに来たのだけど、海岸線、と言うか川岸かな、に出てみたら

 辛うじて見えた。本当に辛うじて。台北に到着してからずっと曇天だった事を考えたら、奇跡、といっても良いような淡水の日暮れ。
 もう少し街歩きをする。この時間、夕暮れを見に来たのか夕涼みに来たのか、川沿いの道は人人人だらけ。人の流れに乗っかり、時に逆らいながら歩く事になる。

 とにかく人の波。そしてどこまでも続く店の列。そんな店の看板に時々日本語も。ひらがなの「の」。香港で「の」の字は人気だったけど台湾もそうなんでしょうかねぇ。
 駅へと戻りつつ、ちょっと名物らしいものを。


 妙に長いアイスクリーム。これでも「小」です。お値段は10ドルだから日本円で30円。日本との物価差を考えても安い。アイス自体はかなり硬い感じ。逆に言うとぎっしり感があってたった10ドルでも食べ応えがありすぎ。
 もう一つ。アイスを食べてた横で売っていた海老の春巻きみたいな奴が気になって買ってみた。


 もう揚がっているのがあるのに、ちょっと待ってと揚げたてをくれた。二つしか知らない中国語のうちの一つ。「謝々」を使う事になる。
 さて移動する。再びMRTの淡水線。

 夕涼みからの引き上げ客で座席が埋まって発車となる。すっかり暗くなった高架から街の影を眺めつつ市街地へ。今度降りたのは剣潭。有名な士林夜市の最寄り駅。電車の窓からも到着直前、とんでもない人だかりが見えたのだけど、

 淡水なんて比較対象にならない程、沢山の人だかり。これ程の人ごみは台北に来てから始めてみた。歩くにも難儀。そんな中で屋台かどこかで買ったものを食べてる人がいたりして混沌の極み。ちょっと人ごみを避けようと路地に入ったら

 カキ氷の名店にぶち当たった。その予定は無かったけど急遽行列の後ろへ。行列は長いが回転も早いようで少しずつ前へ前へと進んで席に案内してもらえた。メニューの中から選んだのは

 珈琲雪片。60ドル。コーヒー味のカキ氷に練乳を掛けたもの。確かにこれは美味しい。結構量が多いので2人で1個とか食べているグループもある。近くにいた日本人と思しきグループは6人で2個だった。
 ところで。ここの店。他の店で買ってきたと思しきものを食べている人も目立つ。その中で激しく目立っていたのが馬鹿でかいフライドチキン。特に予備知識なく台湾に来た自分でも聞き覚えのある程有名なものだけど、

 店にぶち当たった。折角なので並んで見る。行列はくねくねと続くので並んでいるうちに

 揚げているところを見れたりもする。そして

 揚がりました!配給開始。こちらは1個50ドル。

 叩いて延ばしているらしくとんでもない大きさだけど、そんな分厚い訳でないから食べられるだろうとぱくつき、もう少しぱくつき。でも結構重い。何とか食べきったけど流石にお腹も一杯になる。時刻は21時。日本時間なら22時。朝から動き回ってきたから疲れた。もうホテルに引き上げよう。
 順当に行けば地下鉄で景安まで行ってタクシーだろうけどバスが台北車站を通るはず。乗り場がハッキリしないけどひとまず台北車站で降りてみた。何のことは無い、駅のまん前にバス乗り場がある。地下鉄の出口を出たところで307系統のバスが走って行くのが見えて、しまった!と思ったけどバスは待つほど無くやって来る。ひとまず座れたので安心。
 夜の台北市内をバスはぶっ飛ばしてゆく。先に行ってしまった同じ307系統に追いつき追い越し、しばらくもつれ合う。橋を渡った辺りから外の景色、バス停の名前に注目。車内、次のバス停の案内が無いのでここと思うところで停車ボタンを押すより他ないのだが、降りるべきバス停で何とか降りれた。やれやれ。

 ホテルに戻ると22時過ぎ。日本時間で23時過ぎ。4時起きだから疲れがどっと吹き出る。シャワーを浴び、ビールを飲み干す元気は辛うじて残っていた。そして撃沈。