ネコ丸焦げ

 今日で仕事も御仕舞い。すっかり取り掛かるの忘れてた仕事も一応片付けて、やれやれと思っていた午後2時過ぎ、突然、目の前が真っ暗になった。廻りも真っ暗。どこからか悲鳴。設計の居るフロア、全域停電。非常灯の微かな明かりだけが点っている。うわぁ、今やっている仕事、最後何時保存したっけ?
 嘆いていても仕方が無いので出来る事をやってしまおう。最終日だし、掃除か。机の上の書類やら何やらを整理し始める。どうせ今日の夕方やらねばならなかったのだし、丁度いいか。
 しばらくの間は使えていた電話も通じなくなる。水も止まってしまった。工場全域停電らしい。現場を見に行く。階段が真っ暗で手探りじゃないと降りられん。何時もいろんな機械の動作音で煩い工場がやけに静かだ。
 3時過ぎ、口コミで帰宅命令が出るらしいと言う噂が聞こえだす。まずパートさん、次に女性社員、で16時を過ぎても電気が復旧しなければ全社員帰宅だとか。電気戻っても仕事する気にならないし、さっさと帰りたい。結局16時ちょい前、帰宅命令。「変な終わり方だね」「今年らしくて良いんじゃないの」日が翳っていよいよ薄暗くなったフロアで言いたいこと言い合って今年の仕事は御仕舞いになる。
 更衣室に向かうと現場ではまだ仕事をしている人がいる。情報が来ないそうな。設計は全社員帰宅命令が出たから帰って良いじゃないの?と言うとそれなら帰ると。異常事態の伝達系統が機能していないなぁ。シナリオが書かれた避難訓練を幾らやっても結局意味なさげ。
 まだ16時。このまま真っ直ぐ帰っても仕方ないので後輩を飲みに連れてく。17時前、空いている店が無くて困ったけど1軒見つけて入ってみた。さすがに時間が早くてまだ誰もいないや。飲み始めるのが早いと出来上がるのも早い。8時過ぎぐらいには帰宅したような気がする。
 後で聞いた話ですが、場内の変電施設でネコが焦げていたらしい。