バンコク最終日の朝がやって来る。5時過ぎに起き出した。

 まだ外は暗い。妻は昨日から丸一日体調を崩したまま。熱は多少下がったが、快方に向かったというよりは、昨日飲んだ薬が多少なりとも効いた、だけかも知れない。
 昨日のうちに曲りなりに荷物は作っているので、今朝は最後のまとめだけ。その間に夜が明け、バンコクに新しい一週間がやって来る。 

 BTSも動き出したようだ。
 お腹の調子は相変わらずなので、渋滞厳禁。道の空いているうちに動くことにする。6時過ぎにホテルをチェックアウト。空港に向かうべくタクシーに乗る。

 タクシーは来た時とは違う、南側の高速道路を行く。渋滞状況が分からないので何とも言えないが、距離だけからいうと遠回り、だったような気がする。空港の南側から迂回してスワンナプーミまで小一時間。早ければ40分ぐらいで着いた筈、だけどなぁ。
 7時過ぎ、空港に着いてチェックイン。妻の調子が悪そうなのに手続きの人が気付いて、色々と状況の説明やら何やら。搭乗の可否も含めて検討、だったのかもしれないが、幸いに搭乗が認められる。多少でも広い所を、と気遣ってもらえたのか、プレエコにアップグレードとなった。

 絶賛売り出し中だったのだけどね。
 空港でも車いすが準備される。押してくれる人まで付いた。
 優先レーンを経由して、サクララウンジに連れて行って貰う。ここで時間調整。お付きの人は時間を見計らって迎えに来てくれる、らしい。

 2月だか3月に改装して明るくなったサクララウンジ。何気に今日は月曜日。5月の連休は昨日までの筈だが、連休を海外で楽しんで日本に帰る体裁の人たちで、ラウンジ内は賑やか。


 食欲のない妻には悪いが、朝食代わりに軽く頂く。
 8:30を過ぎて、お付きの人が迎えにやって来る。まだ早いと思ったが、余裕がある分には良いのか。ラウンジを出る時にも、ラウンジ嬢が早いんじゃない?という事を声かけていたけど、結局、

 まだお客さんのいないG4ゲートに到着。よく見ると今日の客室乗務員が打合せ中だった。

JL32 JA709J B777-200ER BKK→HND


 帰りは羽田行きを予約している。待っているのはB777-200ER。JA709J。数を減らしつつあるシートコンフィグW51。しばらくベンチに座っていると、乗客が少しずつ集まって来る。
 出発時刻は9:50。30分前から搭乗開始となる。何しろ妻が車いす乗車中なので一番に乗れるのだが、病人はなかなか難儀。お手洗いに行ったりしていたので、後からゆっくりとなる。お付きの人は搭乗橋の果て。シップサイドまで車いすを押してくれた。
 機内はほぼ満席。今日は元々、エコノミークラス、非常口座席を予約していたのだが、プレエコの前から二番目、真ん中の島に二人並んで座る。地上から体調悪し、というのは引き継がれているようで、客室乗務員が色々と気にかけてくれる。
9:38、Doorclose。9:44、Pushbuck。窓が遠いので外の様子は良く分からないまま、9:50、Taixing。定刻より早めに順調に進む。10:03、Take off RWy16R。
 飛行機は順調に上昇してゆく。低い気圧が体調に影響を及ぼすかもしれない、と脅しは受けているが、隣りの妻は、今の所、地上同様にぐったりしたまま。10:12、ベルト着用サイン消灯。ビジネスクラスとの間に設けられたカーテンが閉められる。エコノミークラスとプレエコの間には境目なし。後方までほぼ満席のようだ。本来座るはずだった非常口座席にもお客さんがいる。
 機内サービス開始。

 エコノミークラス向けのお手拭きが配られたのち、  

 体温計を渡された。検温して欲しいと。測ってみると熱は37℃に下がっている。ようやく解熱剤が効いてきた、のかも知れない。
 まもなく飲み物が供される。折角のプレエコなので、

 シャンパンを貰ってしまう。
 11:05、機長さんから飛行状況の案内。現在、ベトナムのダナン上空を飛行中。東シナ海台北、沖縄を経て、羽田には定刻より20分早い17:40の着陸を予定しているとのこと。羽田の天候は晴れで気温は22℃だそうだ。
 このころから機内食のサービスが始まる。妻は相変わらずなので、当然、パス。自分だけ頂く。ビーフorチキン、という選択。典型的だが、人気はビーフの様子。

 副菜が充実している。



 蕎麦にサラダ。もう一つはメニューによると「タイ風 ポメロとココナッツのサラダ」だそうだ。ツーサラダ。中は八朔みたいな実が解してあったので、

 王道フルーツと合わせてツーフルーツとも言えなくない。

 人気のメインは牛肉のガーリックペッパー炒め炒飯添え、とある。炒め×炒め。

 そして、外地発でもハーゲンダッツ
 食事を頂きコーヒーで〆ると飛行機は東シナ海を飛行中。妻は水だけ貰って今日三度目の解熱剤。熱を測っていると38℃に戻っている。薬の効き目が無くなると元の木阿弥。実力で熱が下がっているのではなかった。
 トレーが下げられしばらく。

 お好きな時にどうぞ、とパンが配られる。それを合図に飛行機は減光。寝ている人がいる脇の窓、シェードが閉められた。寝て行け、と言う事らしい。背もたれを少し倒して目を瞑る。
 目覚めると14時。バンコクを飛び立って4時間。地図を見ると、 

 九州本土が近づいている。日本時間なら16時。もう夕方だ。14:40、あと45分でベルト着用サインが点灯する旨の案内。軽く揺れる。機内は店仕舞いの様相。その中で、乗務員が妻の所へ。羽田に連絡して車いすを用意してくれる、とのこと。熱を測るとやはり38℃を超えている。申し訳ないけど、検疫所に寄って頂く事になる、そうだ。まぁ仕方ない所。
 時計の針を2時間進める。時刻は17:18になった所でベルト着用サイン。既に外には地上が見えている様子。軽く揺れながら降下してゆき、17:28、Geardown。まもなく17:32、Landing、RWY22。17:39、Spot in SP114。
 皆さん降機されてからご案内、と言う事でしばらく待つ。

 客室乗務員が散らかった毛布やら何やらをまとめ始めている中でしばらく。シップサイドに車いすが運ばれて来て、降機。地上係員が今度は2名付き添いになる。車いすで運ばれて、検疫の相談所へ。熱を測って貰うとまだ38℃。検疫所の医師による問診となった。症状を説明しつつ、バンコクで貰った診断書も見て貰う。
 検疫的に問題となる状況ではない、との結論と、治療が‍始まっているので、貰った薬を飲んで頂ければという言葉を貰って解放。いわばタダでセカンドオピニオンをやって貰ったようなもの。空港で病院に寄ろうかとも思っていたが、このまま真っ直ぐ帰る事にする。
 まっすぐというのは最短時間最短経路、と言う事。つまり羽田からタクシーに乗る。入国審査を速攻で受けると、荷物の返却。既にJALの地上係員が二人分のスーツケースをピックアップしてくれている。
 係員には調印には行かずにタクシーで帰宅する旨を伝える。すると2人ともたくし乗場まで付き添ってくれた。一人が車いすを押し、もう一人は、横浜方面のタクシーを抑えてくれるという調子。
 こちらとしてはただただ恐縮。最後にお礼を伝えて羽田空港を後にする。狩場線の花ノ木まで、とお願いしてタクシーは夕方の首都高速へ。

 国際線ターミナルからだと横羽線経由なのね。狩場線に入って花ノ木で降りて自宅まで誘導。家の前に付けて貰ったのは19時ちょっと前。羽田から40分弱。国内線ターミナルからの方が速いだろうが、それでも速い。
 荷解きの前に籠城の準備。妻は2日間何も食べてないが、相変わらず食欲は無い。さすがにどうかと思う状況で、ちょっと調べて、経口補水液を買いに行く。それとペットボトルのスポーツ飲料。バンコクで貰った薬は食前だったり食後だったりするのだが、経口補水液を食事とみなして飲む。熱が40℃あった昨日よりは多少気力が戻っているようだが、まだまだダメダメな状態。明日は会社、休んでもらう事になりそうだ。
 自分は明日出社。お昼の弁当やら何やらを自分で準備して、最後に妻用に明日炊き上がるようお粥の準備。荷物は少々片付けで23時過ぎ、就寝。