週末の木曜日は横浜に帰る。愛知から横浜は普通列車で概ね6時間の距離。6時に起きて東へ向かえばお昼には着くし、ダラダラして10時過ぎのスタートになると、横浜に着くのは夕方になる。
 できれば午後を有効に活用できるよう、朝一番の列車に乗りたかった。乗りたいのだが、二日飲み続けた次の朝。起きれる訳が無い。結局何時のも目覚ましでも起きれずにzzz。ようやく目覚めたのが7時半過ぎ。このぐらいの時間には浜松ぐらいにいると思ったのだけど仕方が無い。
 10時にはならなかったが動き出したのが9時。あんまり変わらない。特に何も決めないまま電車を乗り継ぎ、豊橋に出る。列車は空いているが午前中の郊外行き。ラッシュも過ぎた頃だから、こんなものか。
 豊橋での接続が「掛川ゆき」と案内されたからちょっと考え、また食べていない朝食を豊橋で済ませる事にする。

 何の事は無い、駅の立ち食いでうどん。駅弁業者である壷屋がやっているスタンド。そんなに美味しい訳ではなく、むしろダメな方に分類されそうなうどんである。出汁は濃い目の関東スタイル。

 1本落として浜松行きで東に向かう。この先、真っ直ぐ行っても横浜着は中途半端な時間なので、どこかで寄り道をしたいと思う。何も計画は無いが、寄り道候補の断片はある。

 何となく興津行きに乗ってしまったけど、さてどうしようか。行き当たりばったりで東へ向かう。
 興津まで行ってもつまらないので、どこかで後の列車に乗り換える事になる。清水辺りで降りて昼食というのが一番無難で妥当だけど、さっき豊橋でうどんを食べたばっかり。ちょっと食指が沸かない。

 何となく静岡で後続の列車を待ち、先に進む。富士で降りて富士宮に行ってみるか。吉原で降りて岳南鉄道に寄って見るか。今日は平日。岳南鉄道の貨物列車が走っているかも知れない。

この季節としては珍しく綺麗に富士山が見えて富士に着く。静岡からの列車は三島どまり。その後の熱海行きは富士始発らしい。何となく吉原で降りる気になる。

 降りてみると岳南鉄道の接続は良い。残念ながら一日乗車券は土休日のみの設定だったけど、何となく本吉原まで切符を買って、ひとまず線内に入り込んでみた。


 出発を待っているのは元京王3000系の7000形。車内はどことなく京王7000系、あるいは6000系あたりを思い出すような内装で懐かしい。スピーカにはKTRマークがあってここは3000系そのまま。冷房車だが、クーラは使われておらず窓が全開。風鈴が鳴っている。節電でクーラの使用を止めているようだ。
 吉原のヤードに貨物列車がいて、機関車はパンタグラフを落としている。調べてみると14時過ぎに出る列車のようだ。40分ほど時間が有る。どこかでその貨物列車を撮ってから、貨物の送り出し駅である比奈を訪れればいいかなと考えてみる。

 吉原の街は吉原本町の方が中心地に近く、本吉原は若干、市街地から外れている。歩いて吉原本町に戻って、ここで昼食を志した。そう言えば吉原には何かB級グルメがあったのではないか。
 うろ覚えのまま調べてみると「つけナポリタン」なるメニューがあるそうだ。

http://www.tuke-napo.net/

ナポリタンって事は喫茶店を探せばいいのかとちょっと歩いてみると、適当な店にぶつかる。貨物列車の時間は気になるが、店に入ってみる。昼下がり、店は空いていて客は誰も居ない。

 メニューには「つけナポリタン」なるものが確かにあり、注文する。結構時間が掛かって供されたのがこちら。

 パスタとスープ。それにサラダ。スープにパスタを浸していただくようだ。スープがトマトベースなのでナポリタンと言う事らしい。
 味は悪くないけど、スープが跳ねてちょっと気になる。油断するとズルズル音が出そうでそれもまぁ、気にしだすときりが無い。
 パスタに意外と時間がかかり、店の外に出ると踏み切りの音、貨物列車は行ってしまった。仕方ないので、貨物列車の行き先、比奈に向かう。着いて見ると

 先程吉原で見かけたED402と比奈の入換機、ED501が並んでいる。しかもパンタが上がっている。ED501がパンタを上げているのは初めて見た。

 ED501。1928年製というから製造後83年というとんでもないお年を召した現役機。これが生きている姿を見れるとは思っていなかった。 

 ED402。こちらは1965年製だからだいぶ若い。と言っても製造後46年。同期はだいぶ数を減らしているはずだ。

 ED501のパンタグラフ。狭い屋根に無理やり2個載せたその雰囲気がユーモラス。そして良く見ると載せているパンタは戦時設計のPS13。このタイプのパンタグラフは久しぶりに見たような気がする。
 2両の機関車に動きが出たのが15時前。まずはED501がコンテナ満載のコキ3両を牽引して

 岳南江尾側へ向かう。どうやら引込み線に入った様子。 

 それを追いかけるようにED402が岳南江尾側へ向かう。

 ED402が先程のコキを牽引して比奈の上り本線を通過してゆく。どうやらこのまま吉原まで行く様子。

 ED501が引き返して来た。そして

 ワム80000と繋がる。これは14時にED401が吉原から比奈へと連れてきた貨車。そのまま吉原側、日本大昭和板紙の工場へと押し込んでゆく。

 何度か汽笛が聞こえたけど戻ってくるのは15:20近く。乗務員が降りたのでひとまずお仕事終了、の様子。パンタは降ろさないからまだ仕事があるのかも知れない。時折コンプレッサの音が響いて、生きている機関車の息吹を感じる。

 元京王3000系の7000形がやってくる。そろそろ横浜に戻ろうかと思う。
 吉原に戻る。先程のコキは岳南とJRの間の授受が終わったようで、岳南の構内にはED402の姿だけが見えている。 

 授受の時には活躍したであろうDE10もひとまず休憩中。EF66の姿もある。吉原の駅。色々な機関車が見れるのは楽しい。良い寄り道になった。
 熱海行きの普通列車に揺られて、横浜への帰宅の道を再開する。 

 熱海の乗り換えでJR東のエリアへ。そろそろ夕方の帰宅ラッシュの時間帯。茅ヶ崎でまず第一波が来た。藤沢でもお客さんが入れ替わる。自分は戸塚まで。ここからは地下鉄に乗る。
 最寄り駅に着くと18時過ぎ。まだ明るい時間だと思ったら

 意外と暗くなっていた。確かに9月も1週間が過ぎて、そろそろ秋分の日も近づいている。当たり前の事に今更ながら思い至る事になる。