JL732 JA8077 B747-400 HKG→NRT


 時計はまもなく14:45。既に最終のご案内が流れている時刻。搭乗券とパスポートを提示して機内へと進む。帰りもファーストを予約している。静かな機内に入り込む。先ほどラウンジで見かけた2名と自分で全部で3名。行きと違って犯しがたいような雰囲気だ。
 早速担当者からご挨拶。毛布と新聞を頂く。新聞、ラウンジで衛星版を読んできたから、今朝成田から積んできたものがもしあれば、とお願いするときちんと出てくる。毛布は最近みることの無くなった旧JALロゴのものだ。
 14:55、Door close。成田までの飛行時間、3時間50分とのこと。航路上、天候は良好とのこと。Pushbuckは15:01となる。まずは順調な滑り出し。15:06、Taixing。先ほど博覧館で見た時と同じRWy25である。43番スポットから滑走路端まではすぐ。いったん停止、キャセイを先に滑走路へと送り出した後に、JL732も滑走路へと歩み出る。一度停止。しばしの間。そしてフルスロットル。15:14、Take off RWy25L。
 順調に上昇する。左へと旋回してゆくとまもなく、15:18。あっけなくベルト着用サイン消灯。 

 窓の外を見ると、島々の浮かぶ海。いくつもの入道雲が浮かんでいる。香港の街、青空とビルの間にいつも入道雲が見えていたことを思い浮かべる。
 お手洗いに立つ。ビジネスクラスとの間のカーテン、既に閉じられているから後ろの様子は分からない。
 席に戻る。定員12人で乗客3人だから1人で4席、という訳じゃないだろうが

 1A、2K、3Hとぱらぱらとお客さん。隣の2ACは空席となっている。試しにとって見た。こうして隣を見てみると古くてもファースト。随分と広い。

 180°旋回。完全に向きが変わると、一路成田へ。
 軽くゆれが来たがじきに治まる。15:28、サービス開始。まずはウェルカムドリンクが運ばれてくる。普段ならシャンパンとオレンジジュースの二択だが、今日はシャンパンだけ。今日の客は全員飲む客、そういう事になっているらしい。

 心の中で苦笑いしつつ、シャンパンを頂く。
 テーブルがセットされる。今日はドリンクと食事のメニュー、両方同時に渡された。ひとまずドリンクのオーダー。何となく和食を試したい気分であり、そこから繋がって飲み物は焼酎。森伊蔵がある。どうされますか?との問いに一瞬、芋はお湯割りの格言を思い出したが、慣れ親しんでいるロックで頂くことにする。

 まもなく、ロックグラスとおつまみ、皿で供される。飲みながらもテーブルにはポメラが並んで恥辱の続き。ポメラが物珍しいようで、「何でございますか?」と。そのぐらいの会話を交わす余裕がファーストの機内にはある。
 16:02、機長さんから飛行状況の案内が入る。高度10,700mを対地速度890km/hで順調に飛行中とのこと。成田までの所要時間は3時間50分とのことで定刻よりも早い20:10に成田着陸。スポットに入るのは20:15頃と言う情報も添えられる。成田の天候は晴れで気温は29℃、とのこと。
 グラスが空けば次が注がれる。注がれるから飲む。その繰り返しが際限なく続くといつまで経っても食事に移らないから、お食事をお出ししてもよろしいでしょうか?と。

 16時をちょっと過ぎて食事開始。まず押し寿司を頂く。香港で作っているのかな。結構美味しい。もう少し大きくてもと思うけど、続きがあるし、これで良いのか。
 食事を頂きながら外を眺めると台湾が見えている。

 雲が多いがわりとくっきり台湾の大地が見えている。何時も通る度に見えても霞んでいることが多いから、これはと何回か写真を撮っていると
 「何か珍しいものが見えてますか?」と。サービス中だが、殆どお客さん一人に乗務員一人、だからまぁ良いんでしょうね。香港線から台湾が見えるなんて珍しくは無いのだけど。

 お椀が出てくる。鱧かな。少々酔いの廻りつつある体には嬉しい。
 お膳が出てくる前に、ご飯と味噌汁は後ほどに致しましょうか、と確認があった。自分自身は飲みながらでもご飯、あれば食べないことはないのだが、まあ、一般的にはお酒と白米を一緒に頂く人、まず居ないからなぁ。後にしてくださいとお願いする。

 食事を頂く間に台湾が離れてゆく。先島諸島の西側を東へと急ぐ。快適だし、あんまり急いでくれなくてもいいのだけど。まもなくメインが運ばれてくる。

 非常に上品な味付けで、外国積込の和食でもここまで出来るんだと感心した。しっかりチェックが入っているのだろうし、そもそも日本食がブームを経て外国でもしっかり根付いているからかもしれない。でも半分「こんなものかぁ」と言う気分もある。美味しいんだけど、感動が無いと言うか何というか。贅沢になったものだと苦笑いする。 
 飲みながらゆっくり食べていると、窓の外、飛行機が飛んでいることに気付く。時刻は16:39。

 距離はあるが、ほぼ同一高度である。一眼を使って撮ればもっとよく撮れたかもしれない。どこの航空会社か分からないが、しばらく併走して飛び続けるからさすがに飽きた。お膳に戻ってしばらく、さすがに視界から消えている。
 感動がないと言っても勿論それなりには美味しい訳で残さず頂く。いや、漬け物だけはご飯のために取っておいた。
「ご飯とお味噌汁、お持ちしてもよろしいでしょうか」
 との事だったので用意してもらう。一緒に梅干しが付いてきたのは、これは乗務員さんの機転で出てきたもの。

 香港線は炊き立てコシヒカリサービスの対象外だが、それなりに美味しく頂ける。

 最後はデザート。「お飲物、同じものをご用意いたしましょうか」と聞かれたけど、もうお酒はやめておこう。ちょっと休みと宣言してコーヒーにしてもらった。デザートとフルーツを一つずつ貰う。ウェルカムドリンクを頂いてから、2時間が経過している。

 飛行機は奄美諸島の西側を進み、種子島屋久島の辺りで島の連なりを東へと抜け出ようとする。どちらかの島が見えないかと目を凝らしてみたが、どことなく靄っていてはっきりとは分からない。
 食事が終わってからずっと恥辱を続けている。香港からの帰路、もう飛行機は鹿児島をかすめて高知の南を飛んでいるのに、目の前の小さな液晶の中ではまだ香港の街。折角の なのにねぇと思うが、仕方がない。

機内が薄暗くなった。時計を見ると17:55。あと1時間少々で成田到着というタイミングである。疲れてお休み、なんて人も多いに違いない。窓の外を眺める。だいぶ日が傾いて、空が赤みを帯びている。日本時間なら19時になるところ。夜の帷を迎えに行くように、飛行機は全力全速、東へと飛び続ける。18:10、軽く揺れた後、案内が入った。あと55分で成田空港到着とのこと。日本時間では19:10と告げられる。成田の天候は晴れで気温は27℃だそうだ。入国手続きの情報がモニタで流れるようになると帰ってきたという気持ちがまた一つ湧き出る。
 妙に喉が乾いた。アルコールという時間でも気分でもないので水を貰う。珍しくコールボタン何てものを使ってしまった。水をお願いするとグラスで運ばれてくる。ビジネスクラスでも水を頼むとペットボトルで出てくるから、さすがファーストクラスは大したものだと感心するが、全く持って足りない。直ぐに飲み干してしまった。もう一杯行頂く。もう一度頂くとさすがに「まもなくベルト着用サインが点灯いたしますので申し訳ありませんが、ペットボトルでお持ちします」とのこと。結局それも最後には飲み干してしまったけど。
 18:47、ベルト着用サインが点灯する。あと15分で着陸だそうだ。右手に銚子の灯りが見えて房総半島へと差し掛かる。18:54、機内減光して左へと旋回してゆく。真下でGearの落ちる感触。19:00 Landing RWy16R。ジャンボの巨体がすっと減速してゆく。日本時間で20:01と案内された。この時間帯、本館側に入るかサテライト側に入るか、それ次第で横浜へのバスが1本変わってくるから手に汗握りながらモニタを眺める。最後の最後、右に曲がってしまってサテライト決定。20:08、Spot in SP94。

 最後に1枚。JL731〜732がB747-400で飛ぶのも9月いっぱいの筈。今日が恐らく、最後の搭乗、なのだろうなぁ。

 サテライトから本館側に移動して入国手続き。そして税関。一人旅だと妙に突っ込みを受けることが多い。じっとパスポートを見られたが質問はなく、解放。外に出てみると、20:24。帰りはリムジンバスにしておく。20:30にもバスはあるが流石に慌ただしく、20:40にしておいた。それでも飛行機の到着が定刻20:20で2バスに乗ったのが20:40なのだから立派なものだ。

 横浜行きのバス、1タミへと回り込む間に結構な混雑になる。子供連れの姿も目立つのはやはり夏休みの影響か。しばらくバスの中で恥辱を綴るが疲れて眠る。気がついたら、車窓遠くにみなとみらいが浮かんでいた。
 1時間半をちょっと切る勢いでYCATに戻る。疲れていて京急で南太田から歩くのも、横浜で地下鉄の駅まで歩くのも難儀だ。タクシーという選択肢がとても魅力的だったのだが、バスがいた。港61系統。これなら自宅のすぐ近くまで行く。
 ノンステップも荷物持ちにはありがたく、楽に乗り込む。しばらく間があって発車。桜木町までは自分一人。乗客が増えたのは関内のあたりから。バス停を降りれば自宅までは徒歩3分。時間は掛かるが、楽であった。帰ってみると23時近い。