有刺鉄線バトル

JA8763

 6時の目覚ましで起き出した。窓の外を眺める。朝霧。滑走路が見えない。まぁ飛行機が飛び立つ頃には晴れ上がるだろうと期待を込めて予想する。食事に行く。先客が一人。宿のオーナーさんがYS-11を撮りにきた人と紹介してくれる。関西の人だそうな。食堂には聖飢魔Ⅱのベスト盤。あした突っ込んでみるか。出かける。今日は空に上がった機材を撮りたいので北側で構えてみる。奄美へ向かうMD-81から今日の撮影が始まる。霧はすっかり晴れ上がり機体が輝きながら飛び上がってゆく。
 8時半。プロペラタイム。屋久島へ行くDash8-400、伊丹へ向かうDash8-400、そして種子島へ向かうYS-11。今日はJA8771がゆく。ついで沖永良部へ向かう機材がプロペラを廻し始める。心地よいターボプロップサウンドが茶畑に響く。沖永良部へ向かうのはJA8763。
 今日も一旦肥薩線を見に行く。9時過ぎのキハ58系2連。隼人へと下る軽やかな姿を眺める。山道をひた走り空港へと戻る。今度は羽田からやって来るJDの第一便に期待。でも現れたのは新塗装機だった。彼に恨みはないのだか3回続けて新塗装だと正直凹む。
 10時半過ぎ、ランウェイチェンジ。RWy16になった。ちょっと場所を移動して、北側地下道近くのフェンスそばに張り付く。天気が良いせいか飛行機を見物に来る人も多い。家族連れが一番多いけど、若いカップル、老夫婦なんて感じの人も割りといる。道路沿いのポイントが一番多いけど、今いる茶畑の奥まで迷い込んでくるクルマもいて同業者かなと一瞬考える事もある。
 午後になり日の向きが変わる。ターミナル側に行ってみようと思う。場所探し。おとといのテニスコートのところは数人既に張り付いて定員いっぱいだろう。諦めてもう少し先に行って見る。道ですれ違う車の運転手に声を掛けられた。「○○さんですか」と。知り合いのいる筈の無い鹿児島の道の真ん中で行き成り名前を呼ばれるなんて思っていなかったからビックリするが、朝、宿で顔をあわせた関西の人が吹き込んでくれてたらしい。丘の上は行かれましたかと聞かれるので行っていないと答えると霧島が綺麗に見えて良いですよと薦められる。何時までと聞かれて明日の昼と答えると、まだ何処かでお会いしましょうと。
 折角なので丘の上に行く。殆どRWy16エンド。っーか宿から歩いて行けるな。ほんと、霧島連山が良く見える素敵な場所だ。ターボプロップの音が聞こえる。おや、YS-11だ。今の時間に何処に行くのだろう。こっちまで来てくれない。エンドだとその危険があるのは承知していたから仕方ないけど。
 暫く間が開く。その間に温泉。今度は溝辺にある温泉だ。今いる場所からは4〜5キロぐらい。町の施設らしい。昼下がりに入りに来る人はいないらしく空いていた。入湯料\200。こちらは単純泉だ。疲れた体に広々としたお風呂とお湯が心地よい。
 写真なんてどうでも良くなってしまうけど何をしに来たのか分からなくなるので撮影に戻る。今度は丘の上とテニスコートの間。こちらは空いている。霧島はしっかり見えるのでここで撮影。誘導路が目の前だ。広角で撮る飛行機、ってのも良いもの。羽田じゃこんな事は出来ない。MD-90が行く。パイロットの手袋が左右に動いている。手を振ってくれてるんだ。正直驚く。どうリアクションしようか迷って手を振りかえしたけどぎこちなかったな。
 先ほど飛んでいった行先不明のYS-11が戻ってくる。そして種子島へと飛んでゆく。本来13:35発が15:20となっている。公式には使用する機材の遅れと言う事になっているけど、訓練飛行か何かをやっていたのかねぇ。
 昨日、雨の中夕方までお付き合い頂いた地元の人がやって来た。今日はクルマに奥さんを乗せている。用事の途中にでも寄ってくれたらしい。良く居場所が分かるよなと思うけど使用するRWyと日の向きで大体想像がつくんだろうなぁ。暫く話をしてお別れ。また鹿児島でお目に掛かるような気がする。
 16時45分、種子島への出発便。同じ頃、先ほど遅れて飛んだ種子島からの折り返し便が着陸。出発機と到着機、二機四台のターボプロップの二重奏。遅れたおかげでめったに見る事の出来ない光景を見ることが出来た。その折り返し便まで待つ。夕暮れ次第では反対側に動いてシルエットにしようかと思ったけどまだ明るい。ほんのり赤く照らされた着陸機を迎えたのは定刻より少し早い目の18:20のこと。
 折角三脚を持ってきているし、夜景を撮りたいとも思ったけど疲れてしまい、日が沈むまで待つ気力がわかない。メシでも食って時間を潰す事も考えてみたけど、ジョイフルの駐車場、一杯だったので諦めてしまった。宿に引き返し酒を飲んでいると日が暮れて暗くなってくる。概ね30分粘れば良かったらしい。
 気が付くと腕が傷だらけになっている。有刺鉄線に引っ掛けたのだ。有刺鉄線バトルか(笑) 真っ赤になった日焼けが痛い。