深く青く暗く

 出張に出かける時かな、小田原の駅だ。もうすぐ新幹線が出る。慌ててエスカレータを掛け上がる。荷物が重い、足が階段にくっついた様になって離れない、ホームに上がると新幹線が出て行くところ、間に合わなかった。この電車、最終じゃん。どないするねん。ホームに居る男に声をかけられる。「荷物が重すぎるんだよ」
 目を覚ます。外は暗い。どうせまた4時だろ。寝るべし。
 妙に長々とした夢だったな、なんかまだいろいろな場面があったようだ、ふと思い出す。気が付くと横たわっている。土を盛っただけの粗末なホーム。立派な線路が通るそのすぐ横だ。京急の駅だ。どこの駅だか分からない。古めかしい路線図を見て、そこが横浜から二つ横須賀寄りの駅だという事が分かる。場面は深く続く階段に切り替わる。地下鉄の桜木町。本当に深く続く階段、当たりは暗く青い照明に閉ざされている。荷物をコインロッカーに閉まったままだ、取りに戻らないとなぁ。今から戻るのは大変だなぁ。一旦下まで降りてエレベータを使おうか。
 気が付くと7時だ。今日は会社、通常営業だ。行かねばならない。祝日の朝、駅前へと続く道は閑散としている。
 長い夢を見ていたようだ。京急の駅か。横浜から二つ言うたら日ノ出町やん。あんな粗末な駅ではないぞ。あの雰囲気は……、名鉄西尾線でみたような雰囲気だなぁ。桜木町か。地下鉄の桜木町は乗り降りした事無いな。地下深くへ続く階段、フロイティストが見れば性的な欲求不満の夢なんだろうなぁ。う〜ん。荷物か。なにか他に出てきた記憶がある。もうすぐ更衣室のロッカーだ、カギは、そうだカギだカギが出てきた。でも何だったっけ。桜木の場面はホームから外へ向かうのか、地上からホームへ向かうのかがはっきりしない。池袋が出てきたような気がする。西武線のホームに越後中里ゆきのスキー列車がいたな。池袋の駅の上に橋が掛かっていた。スキー列車に乗りたいけど荷物を取りに戻らなくてはならない。そんな記憶がかすかにある。荷物、荷物、荷物。荷物ってなんだろ。小田原にいた男はシャドーか。このシャドー、はじめて見るような気がする。誰だろう。こんな事を考えていても仕事は進む。その程度の仕事だけどだんだん仕事に忙殺され今朝見た夢は消えて行く。