目が覚める。カーテンの隙間が明るい。前の通りを走るトラム、釣り掛けモータの音がかすかに聞こえる。インバータ車も混じる筈だが、音域が違うのか、15階までは届かない。
 時刻は8時過ぎだった。良く寝た。昨日の睡眠不足をとり返した、ということになるのか。妻はあまり眠れなかったとか。
 カーテンを開ける。景色には期待していなかったのだけど、

 眺望は抜けていた。高層ビルが立ち並ぶ、香港らしい光景。案外と気に入る。

 真ん前のビル、屋上にあずま屋がある。えっ、あずま屋、と思ったけどこれも香港らしい景色。
 身支度をして朝食に出掛ける。どこに行く、何を食べる、あまり決めないまま出掛ける。結局、近くの茶餐廳に入る事にした。

 金記冰室という店へ。店内、辛うじて空席があるぐらいの賑わい。案内されると外国人と見えたのか英語表記のメニューを渡される。
 その中からSignature Menuというのがあったので頼んでみた。

 鮮牛肉餐 38HKD。飲み物を凍飲にしたので+3HKD。麺は何も言わないと通粉になる。マカロニ。それにトーストと目玉焼きが付く。1HKDが約14円なので、600円弱。香港に初めて来たのは2007年だったと思うけど、10年のインフレで40%も物価が上がって、割安感は全くなくなってしまった。
 食事自体は美味しく頂く。通粉と港式奶茶ですっかり地元に染まった所で一度ホテルの部屋に戻る。
 さて暫く香港観光なんだけど、手元の香港ドル不本意である。前回訪港した際の残りで200HKDぐらいしかなく、そこから朝食代を払い、チップを払っている。まずは両替優先。
 香港島でレートの良い所、と考えると銅鑼湾あたりに脚を伸ばすか、となるのだが、交通費のことも考えなくてはならない。そこで中環の環球大廈に行ってみる事にする。日曜日なので各国から出稼ぎにきているメイドさんが休日を満喫するために集まっているだろうが、まぁ大丈夫だろう。
 改めて出掛ける。
 地下鉄なら二駅だが、深い西営盤の駅ホームまで行き、なんてやっているぐらいなら、トラムに乗った方が早い。

 行き交う電車を捕まえる。あまり遠くないので1階席に留まる。座れない程度には混んでいる。地下鉄と完全並行の路線だけど、どこまで行っても2.3HKDという安さと、街中からすぐに乗れる便利さで、遅さをカバーしてよく使われている。
 中環までのショートトリップ。

 保存車120号が来た、なんて景色を楽しんでいると上環を過ぎ、ここ、という所で降りる。目的地、環球大廈の真ん前で下車。
 10時の中環。1週に一度のお休みを満喫するメイドさんがどんどん集まって来るところ。午後だとその辺り一帯に座り込んでいるので、その印象しかないのだけど、午前10時のメイドさんは動き回って、買い物をしたり、活発だ。
 両替商にも物凄い行列が出来ていた。送金機能もあるみたいで国元に送金する人たちで恐ろしい事になっているのだった。ちょっと並ぶのは無理。
 そこでここからフェリーで尖沙咀に行くことにした。尖沙咀ならお馴染み重慶大廈がある。
 中環のフェリー乗り場へ歩く。海の埋立が進んでフェリー乗り場は遠くなった。歩くことしばし、フェリー乗り場に到着。

 フェリーは3.7HKD。乗場からそのまま意識せず真っ直ぐ行くと上級船室の方に進むようになっている。 

 尖沙咀からやってきた船は混んでいたが、中環から尖沙咀ゆきの船は空いている。観光客丸出しではあるが、外の見やすい席に座り、つかの間の船旅を楽しむ。

 この時間の香港、見通しはあまり良くない。太平山の山頂も霞んでいる。空気が良くないからだろうが、この調子だと百万ドルの夜景も半額以下になりそうだ。
 対岸はすぐそこに見えていて、まるで川を渡る渡船みたいだけど、一応は海。それなりに揺れつつ5分程で尖沙咀に着く。
 尖沙咀のフェリー埠頭。予定外に来てしまった。両替がまだだが、妻は先に行きたい所があるというのでお供する。

 海港城というショッピングモールへ。少々買い物にお付き合い。

 改めて重慶大廈の地上階。両替商の集まるところへ。一番手前はレートが悪いので奥の方へ、奥の方へと進むのだが、生憎の日曜日。一番レートが良い店は休業だった。他は50歩100歩なので、適当な店で両替する。10,000円が715HKDになる。1HKDがほぼ14円。
 では改めて出掛ける。今度は自分のリクエスト。九龍半島側に来たのでこちらで新しく開業した地下鉄に乗っておきたい。

 これから乗るのは観塘線の延伸区間、油麻地駅から黄埔駅まで。開業したのは2016年の10月なので1年半経っているのだが、暫く香港に来る機会がなく、今日の初乗車となる。地下鉄、尖沙咀の駅からまずは油麻地駅へ向かう。2駅なのですぐに到着。荃湾線のホームの一層下に観塘線の駅がある。
 観塘線のホームに降りるとすぐに来たのは、一つ隣り、何文田ゆき。延伸区間の終点は黄埔なのだが、何文田〜黄埔間は建設限界の関係上単線となっている都合で2本に1本は何文田止まりとのこと。

 何文田止まりなので、黄埔の所はランプがついていない。
 何文田という地名、行ったことは無いけど馴染みがある。佐敦あたりで「何文田」ゆきのミニバスをよく見かけたもので。どこなのか分からなかったけど。
 そんな訳で一駅、何文田で降ろされる。 

 駅ホームに何文田の文字。結構沢山のお客さんが次の電車を待つ。今来た電車が引き上げ線に消え、まもなく黄埔が来る。

 間もなく終着の黄埔に到着。ここでは外に出てみる。割と近いのが紅磡駅という所。
 時刻は13時を過ぎている。そろそろお昼ごはんにする。駅前のショッピングモール。こちらにある

 詠藜園という所でお昼にする。この店、担々麺で有名な所だそうだ。
 お昼の混雑する時間。店も混んでいたが、入り口すぐの所に空きテーブルと一つあってそちらに案内された。

 通されて早々にお茶を出させる。注文は名物の担々麺。それに雲吞を単品で頼んでみた。

 割と早く注文したものが届けられる。


 担々麺は、日本の方が繊細で旨い店があるかも知れない。そんな気がした。
 さて、香港島に戻る。地下鉄で来た道を戻っても良いのだが、別ルートを試す。

 黄埔のランドマークらしい、船を模した建物。ここ黄埔はビクトリア・ハーバーがほど近く、ちょっと歩くと対岸に渡るフェリーも出ている。そこを目指して歩くのだが、海の匂いが全くしてこないこの界隈。道に迷って戻ったりしていたが、

 何とか紅磡のフェリー乗り場に辿りつく。気のせいか尖沙咀よりも視界がクリアなように見える。
 対岸、北角に向かう船が出るところ。駆け込みで乗る。どちらかというと地元民の足という風情。船の窓は曇っていて外は見えづらい。
 8分で北角に着く。

 結構大きい船だ。二階船室もあった。

 北角のフェリー乗り場は、生活の匂いがしてくるような所。魚屋を横目に街へ。すぐに地下鉄の駅がある。荷物が増えたので一度、西営盤のホテルまで戻る。混雑した地下鉄に揺られて少々、一旦ホテルに戻る。
 買い物で増えた荷物を一旦しまう。もう夕方と言うべき時間になっている。まだ寝る時間ではないので、もう一度出掛ける。

 ホテルの前からトラムに。向かうのは上環。降りた停留所の真ん前、スターバックスに入る。香港まで来てスターバックス、というのも難だが、

 マンゴードリンクを飲みたいそうで。折角なので同じものをお願いしてみた。

 これは日本のスタバにはないメニュー。

 目の前を走るトラムも日本には無い景色。でも広告は日本の物だ。
 マンゴードリンクを頂いた後、上環の上側へと登る。この辺りは九記牛腩があったり、G.O.Dがあったりでお馴染みのエリア。そのG.O.DやPMQ元創方に寄り道。気の利いたグッズを見て回る。妻が多少お買い上げ。

 G.O.Dの脇、映え狙いのお客さんでこの有り様。昔はフォトジェニックとか、そういう言葉をごく少数が使っていたよねぇ。

 個人的には、この街並みの方がよほどフォトジェニックだと思う。鋭角の建物、緩やかに曲がる道。良いなぁと思う。
 ちょっと歩くと

 こちらも映えかなぁ。

 解散して時間が出来たのか、先日、こちらで描いたばかり、らしいです。
 さて、そろそろ移動する。地下鉄の中環駅に。ここから佐敦まで行き、ちょっとした探し物。

 男人街の夜店が出始めた所。一つ一つ見て行って探し当てたのが、

 バンカーリング著作権的に怪しげなキャラクター物が多数を占める中、香港柄のものがいくつかあって、そちらをお買い上げ。1つ10HKD。
 時刻は19時を過ぎている。そろそろ暗くなってきた。夜景の時間と相成る。ビクトリアピークからの夜景。ビクトリアハーバーの夜景。色々あるけど、今回はまた、別の夜景。
 一度地下鉄で一駅、尖沙咀に戻る。ちょっと歩くと待っているのは

 観光巴士。
 世界的な観光地、香港には色々なツアーバスが走っているけど、今日乗るのはツアーバスでは無くてあくまで路線バス。でも普通の路線バスではなくて観光路線バスと言えばいいのか、尖沙咀と中環の天星埠頭を遠回りして1時間で結ぶバス。運賃は33HKD。路線バスとしては圧倒的に高いが、観光バスと考えると圧倒的に破格。
 次の出発、19:45。少々間があるが列が出来つつある。他にもツアーバスの出発があるみたいで、街で見かけるオープントップバスが何台か停車中。待つことしばし、出発時間の5分ぐらい前、灯りが点いてドアが開く。あくまで路線バスなのでオクトパスが使える。33HKDを引いてもらって車内へ。勿論2階席に座る。

 2階席はこんな感じ。
 行列は長いように思ったが、全員乗り込んでみると、空席が目立つ程度の乗車。普通の二階建てバスなら一番前が特等席だが、オープンエアのこのバスは、後ろの方が特等席に違いない。後ろに座る。
 ほぼ定刻、19:45。ペニンシュラホテルの脇からバスが動き出す。 

 結構なスピードで街へと飛び出す。そしていきなりハイライト。

 彌敦道を北上する。目的地は尖沙咀と海を挟んですぐ南の中環だが、香港を見せる事が目的のバス。まずは真逆へ。眩いネオンの下、一般車両に混じって走る。街を見下ろす感覚は路線バスの二階席と一緒だが、何の遮るものがないが故、新鮮な感覚を覚える。
 バスは旺角で左折、また左折して南へ下り始める。今度は地味な道だ。

 先程歩いた男人街の脇を通ると、20時。シンフォニーオブライツの灯りが行く先、ビルの谷間から漏れて見える。車内歓声が上がる。
 佐敦道にバスは入る。それこそ先程歩いた道。この辺りでもバスには乗る事が出来、降りる事も出来るけど、始発から乗ってこその価値。先程通った彌敦道と交差するとバスは紅磡へ。速度を上げて

 海底トンネルへ進んでゆく。制限速度70km/hに近い速度が出るから結構な迫力。遊園地の乗り物で日常の街を進むような、そんな錯覚を覚える。
 出た所は香港島銅鑼湾の近く。トラムの通りを横切る際に見えたのが、オープンデッキの観光トラム。妻と二人で盛り上がり、近くにいた地元の家族連れ、子供に怪訝な顔をされる。
 バスは名所に寄りつつなのでわざわざ銅鑼湾の時代広場の前を通ってから西へ。

 再びネオンの輝く繁華街。本当は中環では乗換の便利な所で降りるつもりだったのだけど、オープントップバスの旅が楽しく、最後まで乗り通そうと気が変わる。 
 バスは観光路線らしく太平山山頂へのケーブルカー乗場を経由して最終コース、金鐘から中環の高層ビル街へ。

 中国銀行タワーが真ん前に。
 高層ビルエリアを抜けるとこれから開発されるらしい天星埠頭がほど近くなる。

 ほぼたっぷり1時間。トラムツアーも楽しかったが、このバスも楽しかった。たまには観光バスというのも楽しい。

 天星埠頭でバスを降りる。真ん前がスターフェリー乗場。船に乗れば5分でバスの出発点、尖沙咀に戻れる。自分たちは香港島側にホテルがあるので中環のトラム乗場へ。とても5分では辿りつかない。

 中環から10分少々、路面電車に揺られてホテルの前へ戻ると21時近くになっている。夕食がまだなので近くの店に。近くなのだが、土鍋ご飯、こちらで言う煲仔飯の人気店とのこと。
 行ってみるとほぼ満席。でもたまたま空いた店の前、道路に面した所にあるテーブル席に通される。地元らしい男性個人客と相席。

 ビールがあるので頼むと、売り切れとのこと。セブンイレブンで買って来な、と仰るので遠慮せずに

 サンミゲルの500ml缶を頂く。その間に色々と頼んだものが出てきたので


 酒のアテになる。味はちょっと濃いめかなぁ、でも空腹も相まって美味しく食べられる。
 すっかり満腹になったところで

 注文を受けてから炊き上げるらしい土鍋ご飯、煲仔飯がやって来る。美味しいのだけど、食べ過ぎ。ちょっと食べ切れない。残念。お値段は300HKD程。
 食べている間にもお客さんの行列ができる。中には高級車で乗り付ける人もいたりする。21時半を過ぎてラストオーダーだったらしい。その後に来た人は断れていた。
 すっかり満腹になってホテルに戻る。時刻は22時。昨日香港に着いた時間だ、と思う。ホテルに戻ってもう1本ビール。23時前、早々に寝てしまう。