【今日の空弁】五種の穴守おこわいなり ¥699 日本エアポートデリカ株式会社

 
 
 朝食なので軽めの一品をと、選んでみる。何か壺屋の季節の稲荷みたいだが、都会の品物だからか、ちょっと洗練されている感はある。
 
 飛行機はその壺屋がある豊橋の上空に差し掛かっている。三河湾へと出てゆくルートは伊丹へ飛ぶその時と同じ。大阪行きの空旅三河湾までくれば後半戦。時刻は8時過ぎ。関空の到着は8:45、まだ45分ある。
 
 三河湾から伊勢湾へと差し掛かるあたり、雲が出てくる。まもなく
 
 窓の外、青空の下に白い雲が広がって行く。先程までの良い天気が急に変わった。日本と言う国は狭い割には本当に変化に富んでいる。
 飛行機は高度を落とし始めると間もなく雲の中へ。少し揺れる。8:15、あと5分でベルト着用サインが点灯する旨、案内が流れる。 
 
 また晴れ間が見えてくる。8:21。時間帯から行くともう奈良の盆地辺りまで来ていても良い頃。8:23、ベルト着用サインが点灯する。あと20分で着陸とのこと。窓の外に大阪湾が見えてくる。海岸線に工場地帯。堺の辺り、みたいだ。空港には近いが、まだ20分掛かるのか?と思わなくはない。
 
 再び分厚い雲が湧き出る。飛行機はまだ西へ向かっているようだ。雲を抜けて地上が見えるようになると  
 
 淡路島が見えている。随分西まで来たが更に西へ西へ。ようやく旋回を始めた時には
 
 徳島まで来てしまった。相当引っ張られた。関空に着陸する経験、多少無い訳ではないが、ここまで西に連れてこられた記憶は無い。管制の都合なんだろうなぁとは思うけど。遅れ気味の時にあまり嬉しい事では無い。
 飛行機はようやく東に旋回する。
 
 今、横断してきた大阪湾をまた戻る。飛行機はいよいよ高度を落としているから今度こそ着陸なのだろう。右へと旋回してゆくと最終コース。
 
 ようやく関空島が姿を現す。8:46、Landing、RWy24L。ずいぶんと遠かった。
 飛行機はゆっくりとスポットへと向かう。 
 
 東は曇り空。でも
 
 北は少々の青空。空模様がはっきりとしない大阪にようやく降り立つ。
 
 外に出てみると羽田で飛行機に乗り込んでから1時間50分が経っている。徳島から引き返しだと、今日は高松まで飛んだも同然ではあるのだが、時間は掛かる、燃料は余計に喰う。航空会社にとっても乗客にとっても関空ってあまり嬉しくない空港だねぇと言う事を今更ながら実感する事になる。まぁ、ハミングバードは楽しかったけど。
 定刻よりも遅れての到着。予定していた電車には間に合わない。今日は余裕があるから間に合わなくても構わない筈なのだが、当初のルートに拘って、挽回策を講じてみる。
 
 目の前にいる関空特急はるかに乗ってみる。関空の開港と同時に登場した列車であり車両だから、関空と同い年の今年21歳。今まで関空に行く時は南海だったりJRだったり、リムジンバスも利用経験はあるが、この列車は初めての利用。高価という印象があり敬遠してきた。天王寺までの自由席特急券は650円で南海のラピートより高いのは事実。今日もラピートにすれば良かったとも思ったのだが、それは自由席特急券を買い求めた後だった。
 席に座る。飛行機より広いし楽だが、20年の間にリニューアルは行われていないようで、座席はだいぶ草臥れている。94年製って自分の中では新車なのだが、新車感覚が崩れてゆくのを感じる。
 列車は1割もお客を乗せないで発車する。途中、和泉砂川でお客さんがそこそこ乗って来る。途中駅からの利用が想像以上に多い。阪和線国鉄103系が闊歩する中を淡々タタンと駈けてゆく姿は十分に新車ではあるのだけど、そろそろリニューアルでもしたら?というのが正直な感想。関空の低迷と調子を合わせざるを得ないんだろうけどねぇ。
 天王寺に9:50。十分に間があるので今日は関西線を逆行して奈良。更に木津まで行ってみる。ここから目的地へ向かおう。
 
 片町線、と言いたくなる電車で西へと反転する。片町線自体はご無沙汰だが、最近何かと縁のあるエリアをこの電車で抜ける。片町線から眺める車窓は案外と田舎の景色。長らく非電化で気動車が走っていた長尾から東の区間はとにかくとして、ずっと電車が走っていたあたりも畑が広がっていたりするのでへぇと思う。先週は片町線と平行して走る京阪線の沿線に来ているが、こんな景色は見た覚えがない。
 それでも京橋に近付くにつれて沿線に住宅が目立つようになり、お客さんは増えてゆく。立ち客が目立ち始めると都会の電車の匂いがしてくる。
 電車は東西線を通り抜けて尼崎へ。もうお昼近くになっている。目的地まではあと一駅。
 
 戻る形、ではあるけど。
 ずいぶんと遠回りをしたが、それでも今日は余裕を持って目的地に到着する。約束は午後。お昼は辺りを見渡してから
 
 ちょっと不思議な名前の店でカレーを頂く。どのあたりが上等なのか、確かな事は良く分からない。
 午後から打合せ。色々とお願いごとをすると2時間ほどで終了となる。今日はこれでおしまい。横浜に戻る事になる。2時間のために大阪に出てくるのはバカらしいのだが、2月25日、26日に合わせて打合せをしようとするとちょっと難しい。なかなか難しいものである。
 帰りは延びないだろう予測はついたから飛行機を予約している。勿論、関空ではなく伊丹からの便である。多少バッファは持たせており、かつ予約変更は効かないので、搭乗までにはかなりの余裕がある。正直、大阪なら新幹線の方が融通が利いて良いと思う。
 
 東海道山陽緩行線、なんて言い方はしないのだろうが、各駅停車で一駅、大阪に出るとまだ15時半。ちょっと思い立って寄り道をする。駅の外、地下街を遥か彼方。北新地の駅の方が近いぐらいの所まで。東西線で動いた方が良かったかなと思いつつも
 
 こんな地下街なので知った道を歩かないと迷いに迷うかも知れない。ようやくたどり付いたところで
 
 赤星を。大阪の立ち飲み屋でサッポロビールを前面に出す店は珍しい。勿論自力で開拓できるわけは無く、サッポロビールの公式サイトで紹介されていた所だ。以前一度、交通科学館に行った帰りに寄ったので今日も寄ってみた次第。
 
 じゃこ天を頂くと長居はせずにこれで退散。来た道を戻ると今度は阪急の駅に出る。長居をしたつもりはなかったけど往復の時間は長く、
 
 宝塚線の急行にたどり着くともう16時である。30分程。大阪の地下街をウロウロしていた事になる。
 阪急とモノレールで伊丹の空港へ。
 
 空港に着くと16時半の羽田行きが出ていったばかりの時間であった。搭乗機の出発までまだ2時間。かなり余裕がある。早々に保安検査を受けてラウンジに入る。出張での飛行機利用、往路ばかりで復路の利用は久しぶり。今回はラウンジで飲める。
 
 ラウンジでビールを頂きつつ、溜まっている恥辱を進める。2時間あるのでそこそこ進む。追いつくそうで追いつかないのが困ったものだが。
 17時半の羽田行きのお客さんが出て行ったところで空席が出来て、また人が増えてくると18時過ぎ。そろそろ18時半の羽田行きの搭乗が開始になる。