台湾南部、高雄のホテルに朝が来る。8月15日の金曜日、外は良く晴れているようだ。
 丸々一日高雄にいるのは今日だけである。特にプランは無いのだが、居心地の良いこの街を満喫できればうれしい。
 ホテルは朝食付きなので、食べてゆく。8時以前が空いててお勧めとエレベータの中には張り紙が出ていたが何だかんだと準備ができると9時近く。確かに混んでいた。大陸からのお客さんが多いのだろうか。
 
 そんなに期待していなかったが、それなりに充実している。洋中それなりに。さすがに和はない。
 
 この後、もう一つ朝食があるので控えるつもりだったけど、ちょっと食べすぎたかも知れない。
 荷造りをしてきたのでそのままもう一つの朝食へ出かける。目の前の道を歩いて地下鉄の隣の駅、市議会の方へ。5月に泊まったホテルの前を通り過ぎてまもなく、
 
 湯包の店だ。6月に一人で高雄に来た時も訪れたかったのだが、今回は再訪出来る事になった。
 湯包の店が二軒並んでいて、選べるのはどちらか一つ。悩ましい所だが、交差点側の店にする。 
 
 湯包を一人一つずつ。1個12NTD。それに豆乳を頂く。ひとまずこれで朝食は満足。台湾は街中のちょっとした食事が安くて美味しくて嬉しい。
 さて観光。今日は午前中、客家の博物館を見る事にした。昼間は暑い台湾では、暑いさなかはできるだけ体力を使わない観光が望ましい。だからこそ夜市が賑やかになるのだろうけど。
 客家の博物館へはバスで行くのが便利なようだ。異国のバスは分かりにくくて使いづらいのだが、地下鉄が2本しかない高雄の街歩きではバスを上手に使う事が時間的にも運賃的も望ましい。幸い、グーグルマップで行先検索をするとバスの系統や時刻を教えてくれる。異国のバスのハードルを下げてくれる頼もしい味方である。
 湯包の店から歩いてバス停へ。待つことしばし、
 
 205系統のバスに乗る。高雄のICカード、IPassを使うとバスの運賃が無料になるというキャンペーンは継続中。今回も運賃ゼロNTD。
 バスは高雄車站の前を迂回してから西部幹線の線路を地下で抜けて高雄市の北側へ。目的地へはバス停から少々歩いての到着。
 
 博物館は当たりはずれが大きい。ここは地元の小学生が連れられて見学に来ているのが賑々しい。それを差っ引くと閑古鳥が啼く感じだろうか。
 客家というのは台湾に居ついた大陸系の少数民族、ぐらいの知識しか自分にはない。ちなみに全家はファミリーマートの事。
 どこの国でも少数民族の生活文化は博物館の対象になるようだ。北海道にアイヌの博物館が散見されるのと一緒か。
 
 
 農耕民族であるようで、こういった農機具がたくさん展示されている。稲作をやっていたという事は、それなりに条件の良い所に住んでいたのかなとは思う。
 見学には20分もあれば十分であった。この後の事は決めていない。たまたま地下鉄の駅まで行くバスがあったので乗ってしまう。
 
 紅線の後驛まで。日本統治下に駅裏とでも呼ばれていたのかなと思い起こすような名前。場所的には高雄車站の北側一体にあたる。
 スーパーがあったので涼むのを兼ねてちょっと買い物。気合いを入れて観光というよりもだらだらとした感じになっている。異国でだらんとする休日。個人的にはとても好みである。
 荷物が増えたので一旦ホテルに戻る。捷運で二駅。  
 ホテルに戻るとちょうど12時。朝が早かったのでまだ空腹ではないが、
 
 ホテルの宿泊者は何時でもいくらでも食べられるサービス品の中からプリンを。宿泊者で無くてもチェック入らない感じなのだが、ホテル側が大目に見れるような実績がお客さん側にあるのだろう。
 プリンを食べながら、作戦会議。お昼ご飯の方針とその後の何となくの行程がまとまる。結果として決まった通りになる必要はないけど、何も決まらないのにこの暑い中動き回るのは辛い。
 今度もバスが便利。先程乗った205系統を南側に向かう事になる。バス停に立っていると
 
 こんな軍用車両が次々と走って行く。積んでいるのはどうやらポンプらしい。先日爆発事故のあった一体が、大雨で水に浸かってしまったそうだが、排水任務が完了して?引き上げる所、と推察。爆発事故に続いて大雨の被害も市内各地に出ているそうで、高雄加油、つまりかんばれ高雄の文字も市内で目にする。
 
 真昼の1時。だいぶ待ってからバスがやって来る。乗り込むと冷房が強く効いていて生き返る心地がする。残念ながら乗っているのはほんの数分。バスを降りるとまた熱気に襲われる。
 住所を頼りに目的の店を探す事しばし、路地に入ったりしたのだが、たどり着いてみると
 
 交差点の一番目立つ場所にあった。魯肉飯の店だ。日本人の旅行記で評判がいい所を妻が見つけて来た。まもなく午後2時と言った所だが、店はそこそこ込んでいる、
 注文票に食べたいものを記入して店員に渡す形式はすっかりおなじみ。普通の魯肉飯に、牛バラ肉を載せた魯肉飯。
 
 
 
 ちゃんとしたレストランでなくても美味しく食べられる台湾ならではの逸品に満足する。
 さて引き続き観光。暑い盛りなので涼しい所、と思い、すぐ先に見えている
 
 高雄89に足を伸ばしてみる事にした。どんなガイドブックにも必ず出てくる高雄最高層のビルである。
 すぐ先に見えるビルまで歩く。10分ぐらいでビルの前には着く。エントランスから入ってみたが、どうやら入口が違うらしい。係員に聞くと間違える人が多いのか、日本語の案内図を出してくれた。
 それに従い、裏側のホテルロビーへ。ドアマンに聞いたら恭しく案内された先が更に勝手口みたいなところ。恭しいのかバカにされたのか分からないが、入口で入場料を払うと125NTD。結構な金額で、恭しく接せられる理由はあるなぁと思う。
 エレベータで上に上がる。最高層階の展望室。
 
 高雄港方面(逆光)
 
 高雄車站方面、そして
 
 三多商圏方面(事故現場)
 高いだけあって見通せて楽しいがちょっとガスっているのが残念。そして物の見事に閑古鳥が啼く。それなのに何故か何故だか日本語の聞こえてくる率が高い。高雄の観光客、圧倒的に大陸客が多いのだが、ここだけは別天地である。
 
 売店があって軽い飲食もできるようだが、閑古鳥が啼いている。何も買わずに座っていても文句を言われない。そして柔らかいクッションの椅子に沈むと少し疲れが染み出てくる。何時の間にか寝てしまったようだが、全く文句を言われなかった。
さすがに退散したのが16時過ぎ。地下鉄の三多商圏目指して歩く。その途中、百貨店の
 
 スクーター置き場。朝晩走り回るスクーターの数が尋常でない分、昼間の駐輪場もこんな景色になる。これだけで台湾って事が伝わるかも知れない。
 
 その中にあった一台。これもやっぱり、痛車、って言うんですかね。
 さてその百貨店に寄る。フードコートの一角に、妻が行きたがっていた店が出店しているそうで、立ち寄った。
 
 フードコートの中。念の味寿司という看板が見えるが、なんて読むのだろうか。
 
 そんな訳で高雄牛乳大王のパパイヤミルクを頂く。ミルクもフレーバーも普段は縁遠いが、旅先で飲むそれは何故か何故だか美味しく感じる。
 少々寄り道になったがいい加減ホテルに戻る。軽く休憩を取る間に日が暮れてゆく。
 
 今日3回目の外出は辺りが暗くなってから。今日は火鍋の店を予約してくれている。高雄では初めてのきちんとしたレストランを志す。
 
 予約の時刻は19時半。それより早めに出る。店の場所は美麗島と高雄車站の間ぐらい。少し迷ったが早めに出たので予約の時間には余裕を持って到着。
 恭しく迎えられる。高雄では初めて入店するかも知れないレストランである。
 
 今日は迷わず火鍋を。そして
 
 今までの店ではあまり見かけないビールがここには普通に置いていた。
 今日の店では一人当たりいくらだったか忘れたが、最低頼まなくてはならない金額が設定されている。この店が特異な訳でなく、台湾のきちんとした店だとそういう運用が多い。肉に野菜にキノコの盛り合わせと頼んでいってひとまずクリアしておく。
 
 スープは煮込まれた野菜と一緒に提供される。具材も入ってしまうので結構お腹いっぱいになる。ごはんも無料だから、最低価格は高いお肉でクリアして、無料の野菜とご飯でお腹いっぱいに、というのが最適解かもしれない。
 ずいぶんお腹が一杯になった。六合夜市に寄り道をせず、ホテルにまっすぐ戻る。明日は朝が早い。荷造りをして、就寝。