【今日の駅弁】池上鐵路月台便當 NTD70 

 先程から何度か触れているが、池上の駅弁は台湾でも美味しいと有名な逸品。米どころの美味しい米を使っているから美味しいと聞く。コメの産地であるのも、先程からずっと見て来たとおりである。

 包みを見ると池上本店のほかに台東分店、鳳林分店とあり、鳳林分店謹製の物を手にしたようだ。まだほのかに温かく、空腹ではないけどしまう。

 ふたを開ける。ご飯の上におかずが並ぶ台湾にはよくあるスタイルの駅弁。何の変哲もない、捻りもないのだが、確かに美味しい。ご飯の上でふんぞり返るおかずたちが実はご飯を良く引き立てている。
 東部幹線に乗って池上弁当を食べない手は無いなぁと確かに納得させられる逸品であった。

 列車は暮れなずむ東部幹線を進む。電化と同時に複線化もされるようで右側に真新しい線路がずっと流れている。現れる駅は豊田に南平。ここは日野市かと思わせるような並び順で駅が過ぎてゆく。台湾の地名には日本統治の残滓なのか言葉のあやなのか、日本の駅名そのままそっくりの駅がかなり目に付く。先程の南平、豊田もそうだし、駅弁の池上だってそうだ。昨日の
 その駅のホームにはEMUなんて停車目標が掛かれていたりする。電化すれば非冷房車の普快も快適な冷房付区間車になるようだが、鐵路迷が乗らない東部幹線の普通列車ってどれだけの人が使うものかと考えなくもない。
 列車は暮れなずむ壽豐で今日3度目の待避。

 側線の佇むDR2700の開放的な運転台を通して客室の灯りが漏れるようになった。日本ならこの時間、通勤客の帰宅ラッシュで混雑する頃だろうが、ここ東部幹線の普快、穏やかな時間が流れている。その穏やかな時間を切るようにやって来たのは

 ディーゼル機関車が先頭に立つキョ光号。自分は流して撮ってみたが台湾人の鐵路迷はフラッシュを焚いて撮っている。台湾では走っている列車に向かってのフラッシュ撮影、特に何も言われないのだろうか、と思う。
 壽豐を出ると暗闇になる。すっかり夜行列車の体裁になったDR2700の中で鳳林で停車時間を聞いた台湾人鐵路迷と会話になる。自分の英語はおぼつかないし片言のやり取りには苦労する。が写真を見せ合ったりして意志疎通は何とかなる。
 その会話に苦労している間に、列車は大きな駅へと入っていった。時刻は19:25、終着の花蓮に到着だ。途中、多少遅れたようだが、花蓮には定刻の到着。

 列車はすぐに引き上げてしまうので早々に写真だけ撮っとく。初めてだけど懐かしいようなDR2700の旅。最初にも書いたが、この車両は7月の東部幹線台東までの電化により定期運用から撤退する事が決まっている。この乗車が最初で最後になるのが少々惜しまれる。
 自分はこの後、台北まで進む。10分後に出発する特急、自強の指定券を取っている。少々慌ただしい。先程の鐵路迷にお礼をいうと隣のホームへ。


 停まっているのは243列車。列車種別は自強という扱いだが、その自強よりも「プユマ列車」の方が通りが良い、台鐵自慢の特急電車である。昨日から客車、気動車、客車、気動車気動車と乗って来たが、ここで初めて電車が登場する。
 発車時刻は19:35。あと数分である。8両の電車は全てモノクラス。半分強の席が埋まっているのを見てから宛がわれた席に座る。


 日本車両で作られた電車は車内も日本の雰囲気そのもの。まもなく列車は発車する。ずっと非冷房、扇風機と窓の風にあたってきた身に冷房車はやはり心地よく、ホームの売店で買い求めた台湾ビールもすっと身に入って行く。写真に撮るのを忘れる程の速さでなくなる。
 列車は台北まで所要2時間5分。羅東、宜蘭、松山と停まって行く速達タイプ。その間に先程、鳳林で普快を抜いて行ったディーゼル自強、241列車を追い抜く。台湾では速い列車程人気が高くて、電車タイプの自強。初代のタコマ、二代目のプユマ共に指定券は取りづらいと聞く。今回、事前に抑えた指定券の中でも一番の難関かと思っていたのだが、今の所、6割ぐらいの乗車だろうか。
 花蓮台北の間、北廻線は非常に険しい山の中を行く路線で、できれば昼間通りたかったのだが、今は暗闇の中である。暗い窓にぼんやり流れる街あかりは退屈で、疲れもあいまって気が付くと寝ている。途中、宜蘭で席が埋まったのは薄ぼんやりと覚えているが、気が付くと台北市内の地下線を走っているようだった。まもなく台北に到着。

 1日半かけて台湾島を一周した。再び同じホームに立つ。
 今日は台北駅近くにホテルを取っている。この時間の台北駅。店はほぼ閉まっている。蒸し暑い外に出てちょっと歩くと今日のホテル。台北市内はホテルが高くてその中で駅に近くて安い所を探したら、まぁ、それなりの部屋。断りもなく窓がないのでちょっとがっかりする。
 疲れているが窓なしの部屋にいても仕方なくちょっと歩いてみる。夕食、と思ったのだがなぜか踏ん切りがつかず結局、ホテル近くのコンビニでビール。そして適当に食べ物を買って、部屋に戻る。味気ないなぁとは思う。
 適当に地元のテレビを見ていると旅番組。紹介されているのは


 南廻線の普快だった。この列車、もはや観光資源なのねと認識を改める事になる。