【今日の駅弁】いなりすし ¥420 株式会社富陽軒


 そんな訳で二食連続のいなりずし。東海道筋では先程食べてきた豊橋駅壺屋が稲荷寿司の王者だが、どんなものだろうか。

 ごくごく普通のいなりずし。先程の壺屋と比べると味はシンプルだけどふんわり感に乏しいかなぁ。なんだかんだと王者壺屋の実力を知った次第。

 列車は進行方向を変えて富士から身延線へと分け入る。車窓に富士が見えたら良いのだろうが今日は雲の向こうに隠れている。走りは明らかに衰えた感。ゆっくりと山裾へと吸い込まれてゆくように近づいていく。
 富士宮で初めて降車客。静岡からだと乗り換えなく使えるし50kmに収まるから使い勝手が良いのかも知れない。

 浅間大社の鳥居が流れる。背景に富士山が見えればなぁと改めて思う事になる。
 列車は西富士宮運転停車。行き違いのため停車と案内があり、しばらく待って上りの特急ふじかわが現れる。後で時刻表を見ると本来は富士宮ですれ違うはずの列車で、西富士宮には臨時の運転停車だったようだ。上り特急遅れのため4分遅れと放送がある。
 この辺りの身延線富士宮の市街をぐるっと廻りつつ山へと張り付いてゆく。先程は右側に見えた富士の裾野が

 今度は左の車窓に移って行く。富士山が見えない事には変わらないのだけど。列車は富士宮を出てから更に速度が衰えた。腫れ物に触るかのようにゆっくりゆっくりと進んでゆく。
 見そびれた富士山の後は左手の車窓、列車の名前にもなった富士川が見えてくる。

 左手の車窓にちらちらっと富士川が見えるようになる。蛇行する川は石ころが目立ち、流れは細い。今日は大人しい表情だが、2011年にはこの辺り、台風の災害で長期間の運休になっている。切通しには落石検知用のネットが目立つ。物々しい雰囲気の中を、列車はゆっくりゆっくりと走る。
 腫れ物に触る30分。時折彼岸花の真っ赤な姿が見えて秋を感じていると、ひさしぶりに駅に着く。30分も停まらない列車なんていかにも特別急行という風ではあるけど、先程の富士宮から24kmしか離れていない。
 列車は何時の間にか山梨県に入っている。富士川の谷間を縫いながらゆっくりと走ってゆくと路線名にもなった身延。少しお客さんが降りてゆき、代わりに乗ってくるお客さんも。

 窓ガラスの向こうに蜂か何かが張り付く。山間のローカル線らしい光景だが

 この蜂。身延を発車した後も風圧に耐えて張り付いている。一つトンネルを抜けるところまでずっと付いてきていた。
 列車はこまめに停まり、お客さんを降ろして乗せる。谷間が広がってゆくと列車の速度も上がるようになる。

景色に田圃が目立つようになる。カーブの続いた線形も多少はよくなり速度は上がる。なぜか沿線には彼岸花よりもコスモスが目立つようになる。多少北に来たからか、別の理由があるから七日は分からないが、光の色も含めて秋景色の甲府盆地をふじかわは走る。
 線路がカーブして立派な中央本線が寄って来ると終着の甲府となる。列車は2分遅れ。お詫びが添えられる。

 静岡や富士からのお客さんが半分ぐらい。残りは身延線内で集めたお客さんだろうか。急行富士川時代から延々と続く伝統の列車だからかも知れないが、結構根付いているものだなぁと感心する事になる。
 手元の切符はJR東海管内、甲府まで有効。切符を最大限に生かすなら目の前にいる富士行きの普通列車に揺られ富士に戻り、さらに御殿場線経由で神奈川県の国府津まで、という手段もあるのだけれど、幾ら時間があっても足りなさそうな方法は避け、素直に中央線経由で横浜を目指す。切符は別払い。指定券券売機で横浜方面までの切符を買う。甲府からの切符にするとスイカ区間は途中下車前途無効になるので、一駅手前、身延線金手からの切符にしてみた。関内まで¥2,210。二日間有効の切符となる。
 中央線のダイヤは乱れている。特急のあずさが遅れる旨、構内放送が盛んに告げる。その影響で後続の普通列車も遅れたのだが、こちらは構内放送では一切触れられない。
 やって来たのは3両編成の115系。しかもスカ色である。国鉄時代の匂いがぷんぷんする列車に乗り込む。軽やかなモータ音と少々草臥れたボックスシートを楽しむ事になった。
 列車は空いている。ビールでも片手にしてたならちょうどいい感じだろうが、昨日は飲み過ぎたし、さすがに見合わせておく。

 甲斐大和で特急退避。がら空きだった車内はハイキング帰りらしい行楽客で少々賑わいをみせるようになっている。乗っている列車を撮り、席に戻ってしばらく、   

 勢い良く特急が通過してゆく。長い長い特急列車は先程乗っていた身延線特急とは桁違いに立派に見える。 特急のあとを追いかけてこちらも立派なトンネルを東へ。トンネルを出た先でもハイカーを集めて列車は大月へ。元京王5000系が見えたら降りようかとも思ったが、大月の駅に停まっている電車は二本とも元205系。残念としか言いようが無い。
大月からは中央線の快速電車に乗り換え。中央本線普通列車が3両で中央線の快速電車は10両。編成が延びた分、がら空きとなる。極めつけに空いたのだが、それでも東京に少し近づくにつれて席が埋まり出す。大都市の引力と言うものを見せ付けられる思いがする。
 相模湖で特急退避。長時間停車となる。15:49に着いて16:01の発車だそうだ。早々に特急が過ぎて行き、なお停まる。もう一本来るのかと思ったら空退避であった。高尾でも意味無く5分停まる。ずいぶんと時間をロスした感がある。これで八王子の接続がギリギリだったら、許さないところだ。
 その八王子。横浜線の乗り継ぎは余裕を持って快速列車、まぁ許容範囲かと思う。

 横浜線205系はH17編成で一時間ほど揺られる。横浜線は遅い印象が強いが快速にあたると八王子-桜木町も1時間掛からない程度で走ってくれる。ずいぶんと速くてまだ明るいうちに横浜に帰ってこれた。
 切符は関内まで買ってあるが桜木町で下車する。ここからは、何となくバスにした。近所へ向かうルートがいくつか合って乗り場に迷うが

 選んだのは神奈中の船20系統。直前に来た京急の110系統を見過ごしてのご当選。尾上町羽衣町と進むルートはお客さんが多く、バス停ごとに人のが乗ってくる。途中で席を譲る、なんて事になる。こうしてみると途中であまりお客さんの乗ってこない平戸桜木経由の路線の方が吉野町までは早いのね、と言う事が良く分かる。それでも一応は18時には自宅着。
 家に帰って夕食をいただきながら多少飲む。多少が少々になりずるずると飲みながら深夜まで。