旅先であるマレーシア、ジョージタウンのホテルで目覚める。外に見える街は雨上がり。夜か朝方に雨が降ったらしい。昨日は朝だけ雨で、昼間は日差しにやられた。今日も同じようになるのかも知れない。
朝食を食べにホテルの食堂に。昨日と少々違うラインナップがある。
チキンスライスなんてものがある。鶏を手を変え品を変えはイスラム国らしい努力。そのチキンスライスを含めて
こんな感じの皿になる。今日の発見は紅茶が実は美味しいということ。宗主国であった英国文化の名残かなぁとも思う。皿にあるカレーも美味しい。街と同じくお皿の上にも文化が混在する。
今日も一日、ペナン島と言うかジョージタウンに滞在する。昨日見なかったところを中心にのんびり過ごすつもりだ。一度部屋に戻ると出掛ける支度。昨日は朝の天気が悪かったので油断したが、今日は日焼け止めやら何やら入念に支度する。
まずはバスに乗る。コムタまで行かなくてもバスに乗れそうなのでバス停を探してみる。でも一方通行が複雑でJETTYへ行くバスの経路がイマイチ良くわからない。結局コムタに行くのが一番手っとり早く、バスターミナルを目指す事になる。
昨日と違う道でコムタへ。ジョージタウンを循環するCATを捕まえる。
バス停には時刻表が無いので正確に何時に来るのかは良く分からない。先客がいたから行ったばかりではなかろうと待つのだが
なかなか目的のバスはやってこない
結局20分ぐらい待っただろうか。ようやくやって来た。今日は座れる程度の混雑。バスは先程歩いたような所をぐるっと廻る。そして昨日歩いたマスジット・カピタン・クリン通りへ。
セント・ジョージ教会の脇で降りる。昨日と代わり映えしない感じだが、今日の目的地はここから路地に入ったところ。道を歩いて行くと緑色に塗られた大きな建物が現れる。
プラナカンマンションと言う名の豪邸である。
華僑の中でマレーの風習に適応して行った人たちを総称してプラナカンと呼ぶそうだ。商才に恵まれた華僑はマレーの地で成功を収めた人も多いそうで、中華式とマレー式が融合した豪邸はジョージタウンにも何軒かある。その中でも有名なのかブルーマンション。今いる所とは違う所だが、ブルーマンションは今はホテルとして営業していて、宿泊客以外が見学できる時間は限られるのに対して、こちらのプラナカンマンションは日中は内部を公開しているので、時間に縛られないプラナカンマンションへとやって来た次第。
門を入ろうと半分呼び込みに捕まる風になる。元々見て行くつもりだったから構わないけど、何にも知らずに街を歩いていて偶然たどり着いたのだとしたら、ちょっと閉口する感じではある。入場料は20MYR。手元のガイドブックには10MYRと書いていたので倍になっている。ちなみに昨日見学したコーンフォリス要塞も入場料は値上げしていた。マレーシアに何度も来ている訳でないから物価上昇を肌で感じる訳には行かないけど、多分、世界の常識、インフレ進行中なのだろう。
半ば強引に入場させられた感はあるのだが、中に入ると、おぉと思う。陰影に富んだ素敵な空間なのである。
入ってすぐに中庭があって自然光が入るようになっている。写真は二階から見下ろす体で。
周りにはいくつかの豪華な部屋。
二階に上がると東側の窓は赤いステンドグラス。射し込む光が部屋を赤く染めている。光の使い方がとても綺麗だ。値上げのことなど忘れて感心してしまった。
バルコニーから先程の入口を眺めてみる。手前の緑色に塗った方がプラナカンマンションとして公開している建物だけど、隣の家も似たような感じ。
個人宅にある寺院なんてものまで見て1時間弱だっただろうか。街を歩いているだけでは分からないものが見れたようで堪能する。ひとまず引き上げ。
次の目標はあまり決めていない。昨日歩いたマスジット・カピタン・クリン通りのもう一つ横の通りを歩く。Little Indeaとの間になるようだ。昨日から似たようなエリアばかりを歩いている。イスラム博物館というのがあったり、孫文、またの名を孫中山。この人の記念館があったりするらしい。そちらに向かおう。
イスラム博物館メインのつもりで来たが、着いてみるとイスラム博物館は門を閉じている。
仕方ないので隣の孫中山の記念館を見学。この人、世界あちこちを転々としているからホノルルの中華街にも銅像が立っているし、日本にも縁があるし、そしてペナンにもいた。あまりに旅先で出会う確率が高いので、我が家では親しみを込めて中山先生と呼んでいる。以上、どうでもいい話。
中山先生がペナン滞在中に過ごしたという建物。簡単にいうと当時の一般的な作りの建物、と言うことになるようだ。間口は狭いが奥行きがあるのは、間口の広さによって税金を掛けていたかららしい。
途中に中庭があって自然光を取り入れるようになっているところや、冷房がなくても十分に涼しい所は、先程見学した豪邸、プラナカンマンションと同じ考え方。共通の知恵なのだと言うことが初めて分かる事になる。
最後に記念館でお茶をご馳走になる。中庭のあるフロア、ソファーに座り、しばらくゆっくり。お茶は少々甘みを感じる。
お昼12時になる。午後は暑さ対策であんまり動き回らない方が良い。いったんホテル周辺に戻ってお昼ごはんと買い物。残った時間は休憩に宛がい、夕方涼しくなってから行動再開とする。
いったんバスに乗る。来る時に乗ったCATだと戻りはぐるっと廻り道になるので普通の路線バスを。今いるマスジット・カピタン・クリン通りもコムタ方面へのバスは走っていそうだが、バス停の位置が良く分からない。結局、昨日の午前中、バスを降りたLittle Indeaの入口に。
まもなくバスがやってくる。コムタまでは10分弱で運ばれる。
買い物とお昼がこの後の予定。昨日はコムタに隣接するプランギンモールとお向かいのGAMAに行った。昨日と同じところでは芸が無いので別のところに行ってみる。泊まっているホテルから見えるペナンタイムズスクエアというビル。
いかにも大きなショッピングセンターという感じの名前、そして見えている建物もなかなか立派。GAMAの横を抜けて大きなビルに近づく。どこか生気が無い。
中に入ってみると空き店舗が目立つ。4階にはSuperMarket coming soonのでっかい横断幕。今は何も無いらしい。買い物としてはどうやら空振り。
ならばと昼食を志す。2階にフードコートがあるようだ。
こちらもやっているけど生気が無い。閉じている店も目立つ。
お客さんはそこそこ居る。外国人たぶん居ない。ほぼ100%地元の人。
適当な麺類を頂く。値段も忘れたが思った以上に美味しかった。
買い物としては消化不良なので、もう一箇所の買い物候補に足を伸ばす。ニューワールドパークというところへ。ホテルを挟んで反対側なので少々歩く事になる。
こちらは大きな広場を中心に二階建ての建物が取り囲む、オープンエアなショッピングモール、なのだけど、閑古鳥が鳴いている。道路に面したスターバックスだけが気を吐いているといった所。暑かったので少々休憩したが、あまり長居はせずに退散。もう少し先にあるスーパーマーケットを目指す。
時刻は14時になる。日本なら一番暑い時間。マレーシアも暑い時間だが、時差の関係でもう少し遅めの時間が一番暑くなるようだ。いずれにせよ、そろそろ動き回るのは止した方が良い時間になりつつある。しかしもう少し先のスーパーまで脚を伸ばしたいとのことで、少々お付き合いする事になる。
そろそろジョージタウンの街もはずれになる様子。100年前は立派だったに違いない建物が廃墟と化していたりする。マレーシア第二の都市であるジョージタウンも人口で言えば60万程度の決して大きくない街なのである。
スーパーでの買い物に付き合い、いい加減暑いのでホテルに戻る。夕方までは小休憩して、涼しくなってから改めて動く次第。こちらの流儀に従った
マクドナルドのドライブするー、VIPというシールをフロントガラスに貼った車。あちこちで見かけたのを一枚撮ってみる。スターバックスのドライブスルーともども、3台に1台ぐらいは貼ってあったかな。こんな制度がこちらにあるのかどうかは知らない。
夕方までホテルの部屋でごろり。16時半を過ぎてから出かけようかという気になる。そろそろ日が翳り始めて、多少外は涼しい風が吹いている。
再スタートはおなじみ、コムタのバスターミナルから。今度はジョージタウンを少し離れて、ペナンヒルを目指す。
ペナンヒルはペナン島の最高峰。標高830mほどの山頂となる。熱帯のペナンでは避暑地であり、麓からはケーブルカーも通う。そのペナンヒルへ夕涼みに行こうという企画。麓のケーブル駅まではバスのお世話なる。そんな訳でコムタのバスターミナル。
バスは204番に乗れば良いことは調べている。204番、乗り場はどこかなと探していると、各地に向かうバスの発着案内を見つけた。204番、というか200番シリーズは2番乗り場かららしい。そして次の204番はまだJETTYにいるようだ。ここまでは自力で分かった。
そこまで分かった所で外国人に声をかけられる。ペナンヒルに行きたいんだけど、と。片言の英語で、204番のバスだ、ここから出るよと答えると、コストは?と聞かれる。バスは7kmまでなら1.4MYR、それ以上は2MYRである事は知っている。でもペナンヒルまで何キロあるかは知らない。たぶん2リンギだと答えると今度は何分?と。良く分からないけど7km越えだからなぁと20分か30分と答えておいた。かなりいい加減。まぁ大きくは間違っていないだろうけど。ちなみに相手、妻によるとオーストラリア人だったらしい。OKをオーカイと言っていた、とな。自分は気付かなかった。
204番はまだJETTYに居る。その間に
時間が有るのでたくさん来るバスの中から、広告つきの車両を少々。
結局、204番が来るまで20分少々。
バスはJETTYあたりから乗ったと思われる人で既に満席。先程のオージー以外にも外国人観光客が多数乗っている。勿論地元の人も多い。みんながみんなペナンヒルまで行くわけではなさそうだが、どうだろうか。
昼間歩いたタイムズスクエアの前を通りバスはジョージタウンを離れて郊外へ。快調にと言いたい所だが渋滞気味の道路をのろのろと。それでも郊外に行くに従い順調に走れるようになってくる。次第に山がちになり登山風になる。あたりは郊外の住宅地といった景色。
住宅地にも屋台街のような所はあり、そろそろ商売を始める体で準備が進んでいたりする。さらに高い所へと進むと道路のどん詰まりに当たる。
そこがペナンヒルのケーブルカー乗り場だった。山の向こうへとずっと線路が延びて行くのが見える。
切符売り場には多少の行列ができている。並んで切符を買う。外国人料金は往復30リンギ。10リンギでふつうにご飯が食べられる事を考えると、結構なお値段がする。マレー人価格は半分以下であるらしい。切符を買い求め、乗り場に並ぶ。数分で
結構大きな車体のケーブルカーが現れる。
この車両。スイス製のせいか、車内に仕切はないもののコンパートメントみたいな形状になっている。先頭が一番人気で中程には空席。座れたけどせっかくなので先頭に乗ってみた。車内はどんどん人が増えて満遍なく車内が埋まった所で出発。ぐいっと上に引っ張られる。
線路は改修されているみたいで、古い線路跡に真新しい枕木とレールが延びている。どんどんと上に引っ張り上げられると共に、思い切りのけぞるような体で上を見上げる。古い線路跡が両側に膨らみ、すれ違いポイントの用に見えるが上から下る対となるべき車両は見えない。どうやら線路の改修をすると同時に路線を延長したらしい。
ようやく新しい線路が両側に膨らみ、対となるケーブルカーとすれ違う。さらに線路は山の上へ。改修前の終着らしい所に先代のケーブルカーが保存されているのを横目に、さらに上へと登る。頂上駅に着く頃には10分近くが経っている。なかなか本格的なケーブルカーであった。
駅からはペナン島の南側の方が一望できる。山を下って行くケーブルカーを見送った後、少し先の方まで行ってみる事にする。
800mの山頂にほぼ近いようで、先程まで居たジョージタウンよりは明らかに涼しい。英国植民地となった頃は避暑地と言う位置づけだったそうだ。香港で言うとビクトリアピークみたいなもの。香港のビクトリアピークは心持ち涼しいかなぐらいだが、ペナンヒルは納得のいく涼しさで心地よい。
少し山の方へ。ジョージタウンが見える。
天気が冴えないのが残念だが、ジョージタウンと海を挟んでバタワース。今日は少し暗くなるまで居てみようかと思う。暗くなる前に少々散策。
こんな看板、観光地らしいベタな物だが、東京よりもムンバイの方が遠いのか、とタメになる事は間違いない。インドって遠いんだなぁと言うことが初めて分かる事になる。
さて夜景の見えそうな所でしばらく暗くなるのを待つ。1時間ほど掛かるだろうか。夜景ねらいなのか三脚を構える人も居る。こちらはそんな準備はないから、柵を使って頑張るよりほか、無い。
だんだんと街灯りが点るようになり、辺りも少しずつ暗くなって行く。ほぼ1時間。
納得の夜景になって撮影完了。三脚組も撤収を始めた。
時刻は19時50分。そろそろジョージタウンに戻る。
帰りもケーブルカー。夜に山を下りるケーブルカーは行きと同じようにお客さんが乗っていても、どことなく気だるい空気が漂っている。ビアマウント帰りの高尾山ケーブルみたいな雰囲気で、先程乗ってきた長い道を下る。途中すれ違った登りのケーブルカーはさすがにがら空き。今からだと避暑というより寒さ体験会になるかも知れない。
そして再びのバス。発車待ちのバスが居て、座れないけど次のバスが何時なのか知らないから乗ってしまう。これがなかなか動かないまま、5分、10分。運転士もどこかに行ってしまったので、
写真を撮ってみる。
そのうち次のケーブルが来てバスは混雑。気だるさが倍加したところで発車となる。元来た道、住宅地を戻って行く。日本人の家族連れが後ろに乗っているみたいで、話し声が妙に通る。
帰りはコムタまで行かずにタイムズスクエアの所で降りようと思う。沿線の景色をしっかり眺めていたらここだという所にあたり、下車。ペナンヒルから30分ほどで戻れた。
ホテルへショートカットの道。昼間は無かった舞台が出来ていて、素人なのかプロなのか分からないが歌謡ショー状態になっている。そんな賑やかな所を通り過ぎると、昨日の屋台。こちらも賑やか。夜9時のジョージタウンはこれからが一日の本番、みたいな勢いである。
今日は昨日入った屋台の向かい、肉骨茶の店に入る。このお店も夜の方が賑やか。
メニューにビールがあったので頼む。Tigerの缶だが、出てくるだけ有り難い。
そして肉骨茶を。茶と言いつつ濃厚なスープである。モヤシ炒めとご飯と揃ったのでちょっとした夕食になる。スープをもう少し飲みたい所で、店によってはスープはいくらでもお代わりできる店もあるけど、ここはそうでは無いらしい。残念ながらお暇する。
これでホテルに戻るのは難なので、やはり屋台へ。昨日と違うところに行ってみた。
昨日の所よりは空いていて、各屋台も整然と並ぶ。道端で無ければフードコート風でもある。この屋台、にぎやかに酒を飲み交わすグループがいれば、夕食を食べる人たち、お茶だけの人もいて、色々な目的に使われていることが分かる。
例によってTigerの大瓶を一本取る。食べ物は何にしようかと悩んで結局
サテー。昨日と同じく見合わせになった。サテーは5本で3リンギ。昨日よりも遙かに安いが内容もそれなりに貧弱。そして
こちらは妻が頼んだチャークイティオをお裾分けで頂く。
肉骨茶に始まるささやかな夕食もこれで1時間ほど。街はまだまだと言うよりこれから賑やかになりそうな雰囲気だが、ホテルに戻る。明日に備えて軽く荷造り。ジョージタウンのやり残しはいっぱい有りそうだが、明日は次の街に移動する。