土曜日の朝、7時半に目が覚めた。昨日は2時半ぐらいに寝たから今日も6時間寝ていない。辛いが多少は慣れてきた。今日から一応は夏休み。予定はあるから満喫したいが、何とも頭の痛い夏休みである。そして今日は今日で、ちょっとした厄介ごとに取り組む。
 食事をしつつ、出向元のメールをチェック。さすがに昨日の23時に送った論文に対する指摘やらOK、NGの判断は返信がない。何か来るとすれば午前中遅くか、午後になってからだろうが、そこまで待てないので動き出す。
 まずは荷造り。キャリーバックの中身を総入れ替えする勢いとなる。論文原稿は一応は持っていこうかと思う。
 荷物を作ると11時。それでは出かける。でも荷物は持って行かない。妻は買い物だそうで一緒に外まで出たがすぐに分かれる。
 まずは散髪。この一ヶ月。気持ちに余裕が無く切りに行ってなかったが、さすがに伸びすぎた。普段なら歩いていく所だが、暑いし、時間もないので、二駅地下鉄に乗るつもりで出かける。でも結局

 バスにした。地下鉄を待って二駅乗ってまた歩いて、よりもバスの方が早かったもので。
 土曜日だし混んでいるかと思ったが、店はがら空き。すぐに切ってもらえた。後に続くお客さんが居なかったから会計して貰う頃には貸切になる。店の人によると三連休より長い休みは往々にして暇で、さらに夏の間は暑くなると客足が途絶えるそうだ。
 時刻はお昼過ぎになった。歩いて関内の駅に出ると、このシーズン初めての18きっぷお買い上げとなる。そして小さなカメラバック一つだけ持って改札へ。まずは

 根岸線E233系112編成の客となる。横浜に出ると下り東海道線の客となる。時刻は12:32。本当は一本前の湘南新宿に乗りたかったが、行き当たりばったりなので仕方がない。
 お盆休みの連休初日。単なる普通列車小田原行きも荷物の大きなお客さんが目立つ。どこか普段と違う空気が流れている。今日はこのまま西に下る。小田原行きでは途中で行き詰まるので、大船で一度降りてしまう。昼食のそばを大船軒で志す。まぁおいしく頂いたは写真を撮る事を忘れてしまった。

 その間にもう一本、小田原行きが行った後、熱海行きが4番線に入ってくる。伊豆へ向かう特急待避。この乗り継ぎ、何か嫌な予感がするのだが、さて。
 先ほど乗った小田原行きよりも荷物の大きなお客さんが目立つ熱海行き。隅っこのロングシートに腰を掛け、恥辱を綴っていると、列車はポイントをのっそりと渡り、平塚駅、待避線へと入って行く。そして「熱海行き快速アクティーの待ち合わせをします」と。
 アクティーからの流れは比較的接続が良いのだが、反面、人の流れに乗ってしまうので、混雑する。今日は特に人の流動が激しい日。出来れば混雑を避けながら西に向かおうと思っていたのだが、一番混む流れに乗っかってしまった。もっと言えば東海道線の利用自体、避けたかった。朝それなりの時間に出て中央線で西に行きたかったのだけど、それは仕方ない。
 平塚駅快速アクティーが入ってくる。グリーン車まで含めてほぼ満席。結局立たされ坊主で東海道を西に下る。今までにも増して荷物の大きなお客さんが目立つ。ツアーバスの制度が改められて、供給が減ったり、価格が上がった影響で、ツアーバスの利用者が18きっぷに戻ってきた、ような話はあるようだが、どうやら事実であるらしい。
 小田原で、前の電車から降ろされたらしい人を集める。海が車窓に広がると子供が歓声をあげた。賑やかな夏列車、の体だが、熱海まで来ると事情が変わる。
 熱海到着は14:07。確か14:13に浜松行きがあって、浜松17:00の新快速に繋がった筈だ。しかし、案内では
「ダイヤ乱れのため、遅れている13:55の島田行きに接続する見込みです」などと仰る。東海道線のダイヤ乱れ、なんて話は聞いていない。先程の東海道線の案内でも秋田新幹線終日運休や中央線ダイヤ乱れの情報は流していたけど、東海道線の情報はゼロ。もちろん会社が違うのは知っているけどねぇ。人がフォロするとか、施策はいるよね、と思う。
 その熱海に着く。


 目の前にいるのは3両編成の電車とそれを取り囲む人、そして人。もちろん車内にも、人垣が出来ていて、乗り込む余地はありそうにない。車掌の案内、「発車まで車内出お待ちください」などと仰るがとてもとても、である。
 キャリーバックを持っていれば乗れないかもしれないが、今日は非常に身軽なので、乗ろうかと考える。状況が見えないときは進めるうちに先に進むのが吉だ。
 ドアの奥に足を掛ける事も出来なかったが、明らかに奥には余裕があるので乗れると踏める。まもなく発車の案内が流れ、明らかに外からの圧力が掛かった。車内に入り、もう少し奥まで入れた所でドアが閉まる。乗る事を諦めた人たちに見送られ、島田行きは発車する。
 立っているのは辛いし、人が多すぎて冷房は利かないし、いいことは全くないが、列車は20分遅れで走り出す。20分前の列車が20分遅れならば、こちら側からすると定時に他ならない。これなら影響はないなと思っているが、そうは行かなかった。
 列車は走り出す。案内によると「東田子の浦駅で貨物列車が安全確認を行った影響」と仰る。安全確認ぐらいならまぁ、20分遅れのまま島田まで行く、興津始発の列車は所定で出るだろうから、静岡からの乗り継ぎに要注意、ぐらいに考えている。
 乗り降りはあるが、降りの方が多いので、少し中に入れる。だいぶ中に入れると楽になる。三島でも沼津でも降りる人の方が多かったからだいぶ楽になった。しかし、沼津で停まったまま動かなくなる。5分、10分、ようやく発車。30分延となった。この異常、現在進行形の異常なのか?とそんな疑念が頭をよぎる。
 沼津で車掌が交代したようで、案内の声が変わる。東田子の浦で貨物列車が安全確認を行った影響で30分遅れです、とのこと。そして、東田子の浦の手前で一度停止するそうだ。何か変な印象を受ける。人が多すぎるのか冷房が全く効かない車内、頭の上にクエスチョンマークを浮かべたまま、列車に揺られる。目の前に座る親子連れがJR東海を批判している。かなりの歳の息子がうるさくて閉口なのだが、耳をそばだてるとどうやらこの列車の前が数本、運休しているようだ。単なる安全確認、というには大事過ぎるなぁと思う。
 東田子の浦の手前で一旦停止。運転士が安全確認を行うまでお待ち下さい、なんて案内が流れて間をおいた後、最徐行で動く。踏切でJRの係員が監視をしている。ここを通過すれば、通常運転だろうかと思う。遅れは35分に拡大している。
 富士の手前でまた徐行。遅れが拡大する。隣のホームに静岡行きがいて軽く客を乗せている。ダイヤ乱れに巻き込まれた富士始発の列車だと思ったら、何の案内もなく、静岡行きが発車して行く。そして案内。「信号が変わるまでお待ちください」だんだん自分も腹が立ってくるのがわかる。何か誤魔化されていないか?
 遅れが38分に広がる。今日に限り行先を用宗に変更します、と言う案内。その案内が流れた途端、いすに座っている人が一斉に検索を始める。その検索は意味ないよなぁと思いつつ時計を見る。蒲原で15時20分。浜松17時、間に合うよなぁと。
 何度か行先変更の案内が流れたが、途中から「静岡の二つ先、用宗」と言う言い方に変わった。用宗ってどこ?的な苦情があったのかも知れない。
 興津で折り返し列車の姿が見えた。定刻なら浜松ゆきに違いないが、行先表示は愛野。愛野で降ろされても仕方が無く、乗り換えは見合わせ。でも列車の姿を見て、降りて行く人もいる。まぁ興津始発なら座れると言う考えもある。自分は身の振り方を静岡で考える事にする。

 熱海で列車に乗った頃に比べれば楽になったとは言え立ちっぱなしで静岡まで。もうすぐ16時になるところ。この駅も混乱している。目の前のホームには静岡止まりが居て、これは富士で逃げられた電車。用宗ゆきの発車の後は、愛野行きが続く。浜松行きは16:03、そして5分遅れだそうだ。16:10に出るならまぁ有りかなぁと思っていたが、浜松ゆきは20分遅れの案内が入る。その瞬間、浜松まで新幹線に乗ってしまえ、と決める。
 急いで浜松までの新幹線を押さえる。ひかりだと混雑していそうだが、こだまなら座れるだろう。幸い、15:56に名古屋まで行くこだまが発車する。EX-ICで自由席を押さえても何の嬉しさもないが、ひとまず乗ってしまう。

 ホームにはN700系が停まっていた、663A、Z42編成となる。8月10日、土曜日の新幹線なんて座れなくてどうしようもないイメージだが、静岡で乗る午後のこだまには多少の空席がある。前の方なら窓側に十分座れた。

 座れたし速いし、新幹線ばんざい、なんて思えてくるが、事の発端はどうやら東海がなにやらやらかしたからみたいだし、その対応として余計なお金を払うのは半分詐欺紛いみたいにも思える。複雑な気持ちを反芻していると30分で浜松到着。17時の新快速どころか、1本前の普通列車に乗れる時間である。
 改めて在来線に向かう。切符売り場に大行列があって、どうやら袋井で花火大会があるらしい。在来線は運行が乱れる中で臨時列車も運転していて混乱している。遅れている熱海行きが花火のお客さんをたくさん乗せて発車した後、臨時の愛野行きが出て行く。

 その直後に豊橋方面から列車が到着。折り返し岐阜行きとなる列車。どうやら定時と思ったら
「遅れている新居町ゆきの発車後に発車します」なんて案内。18きっぷ一日分の別払いをした人間の行為を裏切る、重ね重ねの対応だが、どちらかと言うと諦めモードに入りつつある。そういえば遅れの原因。「東田子の浦駅での信号機故障」と言っていた。名古屋あたりからみれば静岡がやらかした事は他人事だから包み隠さず言えるのだろう。でも、安全確認と信号機故障とはずいぶんと違う。最初から信号機故障と言ってくれれば、影響度合いを計れただろうにと思う。18きっぷを利用していて何かあった時には、救済処置はありませんというのが基本で、どんな判断をしても自己責任ですよ、というのはよく分かるのだけど、自己責任を求める以上は、正確な情報はお願いしたい所。異常の影響が収束しつつあるのか、継続拡大するのか、その判断材料ぐらいは提示してほしいと思う。
 岐阜行きはじりじりと遅れる、隣に電車が来て、これが定刻なら16:01の新居町ゆきらしい。乗り換え客がやってきてこちらの電車も席が埋まる。しかし一向に隣の列車が動くことがないまま「信号が変わり次第、発車します」の案内。結局、15分遅れて発車となる。ダイヤ通りなら17時に浜松をでる新快速が気になる頃合いだが、たぶん、新快速も遅れるのだろう。
 さすがに浜松以西にダイヤ乱れの要素はなく。結局接続待ちをしたような形の岐阜行きは13分延を引きずりながら西へと向かう。そろそろ日も陰ってきた中を西に。ただ、熱海で一緒になった大集団より先行した分、車内は落ち着いている。その事がありがたい。
 列車は岐阜まで行くが豊橋で新快速に乗り換える。

 13分遅れた間に、本来接続する列車は発車している。次の新快速は本来浜松発なのだが、今日はダイヤが乱れているので豊橋始発だそうだ。乗り換えとなるが8両つないでいるからか、難なく座れる。ようやく静岡地獄を抜けた感がある。
 今日は金山まで乗り通す。着いてみると18時半。結果として予想の範囲に収まったが、無理無理収めたって方が正しいのかも知れない。列車を降りると改札をでる。
 金山で降りた訳だが、金山が目的地ではない。すぐに名鉄の改札へ。今日は

 特急に乗る。中部国際空港行き。指定席にしてしまう。先程の新幹線より安いから気軽に使える。海外に行くらしい大きな荷物の人に混じって、30分少々、伊勢湾が見えてくる頃には日も暗くなった。
 中部国際空港に19:08到着。この夏休みのスタート地点にようやく立てる。
 お出かけの予約をした時は昨日一昨日の状況など夢にも想ってなかったので9日まで普通に仕事をする前提で、10日の中部発、なんてチケットを取っていた。状況が変わった後に変更が出来れば良かったのだろうが、そんな融通の効く運賃ではないし、改めて取り直そうとすると予約が一杯でどうしようもなかった次第。第一区間の放棄というのもどうかと思い、出直してきた次第。
 小さなバック一つで航空券の控えを提示、第一区間のチェックイン。乗り継ぎ先は改めて、との案内で、この区間の手続きとしてはすぐに終わる。
 一度展望デッキにでてみる。

 国内線側には見事にANAばかり。

 国際線側はたまたまだがデルタが並ぶ。まだ乗る飛行機は来ていないようだ。それではセキュリティエリアの中へ。10日の土曜日だが空いていて、すぐに完了。そろそろ空腹で、空弁でも買おうかと思ったのだが、この時間帯、売り切れであった。仕方がない、ラウンジでぱくつく事にする。

 国内線のラウンジ。中部の場合は二社共同というあまりい無い形態。最近は赤い方も青い方もラウンジの改装やらサービス強化に努めているが、ここのラウンジは置いてゆきぼりであった。


 お世辞にも素敵とは言えないつまみでビールを一杯、一杯、もう一杯。だんだんと人が少なくなって行く。

 搭乗開始の案内で席を立つと最後の一人になっていた。