昨日よりは少し早めに起き出した。まだ7時前だから普段よりも少々早い、ということになる。今日も札幌滞在だがちょっとしたショートトリップを考えている。

 外の様子、路面は雨に濡れている。今日も天気が悪いらしい。今年の北海道。天気が冴えない、というよりもおかしい。
 身支度をしてから、昨日買っておいた惣菜パンで朝食を済ませる。

 手が込んでいる惣菜パン、280円。札幌の食は奥が深いと感心する事になる。
 さて。出掛ける。地下鉄で二駅。札幌駅へ。到着すると8時過ぎ。今日も一日散歩きっぷを買ってから、

 改札の中に入る。列車の発車までは少々間がある。
 連休中の札幌駅。通勤列車が閑散とする一方で、

 函館へ向かうスーパー北斗は9両を連ねている。連休らしい姿を眺めていると

 これから乗る苫小牧ゆきの列車が6両で入ってくる。少ないお客さんが降りてゆき、その傍らで後ろ三両の切り離し作業が進む。発車は8:28。まだ10分程時間がある。
 列車はがら空きのまま発車時刻を迎える。千歳線の札幌口。快速電車が便利な区間なので普通列車に乗った記憶が殆ど無い。その普通列車。札幌市内の南端、上野幌で特急退避となる。

 待っていると先程札幌駅で見かけた函館行きのスーパー北斗がやって来る。あっという間に過ぎ去っていった。
 次の北広島では快速エアポートに抜かれ、そして千歳でも10分停車。

 快速エアポートに抜かれた後もゆっくりと待避。何かと思ったら特急列車が駆けていった。ステンレスの馬面はスーパーおおぞら。札幌を30分以上後に発車した列車である。
 千歳でのんびり停まった後、南千歳へ。ちょうど空港からの快速エアポートがやってきて対面乗換えが出来る。この場面だけ見ていると良く出来ているダイヤと思えるが、空港の帳尻を合わせるために延々停まっていた気がしなくは無い。
 空港からのお客さんが増えて列車が少々にぎわう。そして

 車内と裏腹に景色は北海道らしいというか、人気の無い所を走ることになる。でも南に行くにつれて天気が少し良くなってきた。
 苫小牧に10時前。札幌から1時間半掛かっている。ここで乗り換え。

 待っているのはキハ141系。札沼線電化で札幌を追われた50系客車の生き残りがこんなところに居た。


 車体は状態がよくない。あくまで私見だが北海度の車両は往々にして保守が良くないように思われ、錆で塗装が浮いていたりする事をよく見る。この車両も札幌に居た時はここまで酷い状況では無かったと思うので、海沿いを走る室蘭線の立地が悪さしているのかとも思うが、良くわからない。

 乗った時は空ボックスもあったがすぐに席が埋まり立客も出る盛況となる。札沼線を追われたキハ141系が苫小牧ー東室蘭に安住の地を得られたのは、電車3両では輸送力が大きすぎる、つまりがら空きだったからと聞くけど、今日を見る限りは3両でもいいんじゃないかと言う気がしてくる。
 特急を一本やり過ごしてから列車が発車する。立派な線路を淡々と走る。元々札沼線ではそんなに速度を出さなかった筈だが、加速して行けば意外と走る。
 相変わらず冴えない天気。北海道の平原、何とも沈んだ景色が続く。その中にちらほら馬が放牧されているのが見受けられるようになり、白老の駅に着く。


今日はこちらが目的地。今日も鉄道に乗るよりも観光がメインの一日。
 北海道の観光地を巡るには何と言ってもクルマが便利で鉄道だけで行ける所はなかなか無いのだけ。二日前に行った余市醸造所みたいに駅からすぐ、という場所は珍しいのだけど、今日これから行くところも比較的駅に近い。白老の駅を出て、線路を渡って裏側へ。

 保存されている蒸気機関車を横目に道なりに行くと湖が見えてくる。

 その湖が目的地、では無く湖の畔にある

 ポロトコタンが今日の目的地。アイヌの歴史や風俗を伝える博物館は札幌にも函館にもあったがこちらは屋外型の施設。大きな湖の村、というアイヌ語名の通り、湖の畔にアイヌの村を再現した施設だそうで。

 入場料が750円。 入ると6軒程、萱か何かで作られた家が立ち並ぶ。そのうちの1軒で11:15からアイヌの踊りや歌を披露するそうで、それまでは奥の家屋を見て回る。つもりが、家屋自体はイベント会場みたいな扱いらしく、ここで展示をしている訳でないのね。
 実演の時間が近づいたので会場の方へ。その途中、

 どこかで見たような犬だが、某CMに出演中のお父さんのお子さんだそうである。記念撮影を一緒にどうぞ、というイベントを開催中。犬がじっとしていられるのは20分が限界だそうで、まもなくイベント、終了となる。
 さて、実演の会場へ。比較的大きな家の1/4が板張りのステージ風、アイヌの家の中が再現されており、

 囲炉裏の上には鮭がずらっと並ぶ。残りの土間にはイスが並べられて観客席といったところか。席の所々にはストーブがあり、火もちゃんと点いていた。
 観客席が満席になるとちょうど時間。アイヌの衣装を着た彫りの深い男性が出てきて、まずは家の作りや調度品の意味を解説してくれる。囲炉裏の火は一年中絶やさない事や窓の持つ意味など、展示物を見ているだけではわからない事ばかりである。

 こちらはアイヌ女性の入れ墨とその意味についてをパネルを使って解説中。
 ついでアイヌの古式舞踊実演。

 まずはアイヌ語による子守歌の実演。次に


 アイヌの楽器演奏を二つ。小さな方、アイヌ語ムックリと言うそうですが、500円で売っているそうで。買って帰ってもなかなか難しいそうですが。
 〆はイオマンテリムセ。イヨマンテ、の方が通りが良いだろうか。

 暗い中で結構動きが激しくて、輪になって事もあって写真としては撮り辛い。良く分からない写真になってしまった。
 実演が30分程で終了。最後は会場拍手となる。
 さて残った施設を見学してゆく。

 いわゆる博物館。この類の博物館は函館でもみたような気がする。一通り見学。12時をちょっと過ぎた所でお暇する。

 さて。白老といえば白老牛が有名。出来れば賞味したい所だが、有名な店は自動車じゃないと行けない所ばかり。どうしようかと思ったのだが、駅から割と近い所に一軒店があったので行く事にする。先程歩いてきた道を戻り、駅を通り過ぎる形で歩く事になる。

 やってきたのは牛の里と言う店。連休のせいか駐車場は車で埋まっているが、一応は席に通された。この時点で12:40ぐらい。1時間少々後に、苫小牧ゆきの列車があるのだが、それに乗れるだろうか。
 折角なのでステーキのランチセットを注文する。ロースとランプを一人前ずつ頼んで、分け合うことにする。

 メニューには焼き肉もあり、そのせいかテーブルには炭火が焚かれている。その火の暖かさを感じながら待つことしばし。う〜ん、何にもこない。向かいの新しいお客さんのテーブルにはすぐに新しい炭火と金網が来たが、ん、あの金網、焼き肉用だよね。まさかと思うが聞いてみる。
「ステーキって焼かれて来るんですよねぇ」
「いえ、お席で焼いていただきます」
「金網、無いんですけど」
 何か知らないけど放置されている。この時点で注文してから30分過ぎている。
 文句を言ったからかどうか分からないが、まもなく金網、そしてお肉のセットが来る。そろそろ列車の時間が気になる頃だが、

 ステーキランチセット、これから火を通すの図。

 網で焼いていただく。さすがに美味しい。美味しいが時間が気になった分だけ味もぼやけてしまった。
 ずいぶんと焦られて貰ったが、発車時刻の15分ぐらい前にお会計まで行く。さて、駅へ戻ろう。今度は別の道、踏切を渡って海側に出て駅へと歩く事になる。

 白老のあたりの室蘭本線。日本一長く直線が続く線路という事でちょっとは知れている。確か28km続くんだったか。今日この日に28km先が分かる訳ではないが、見える限りまっすぐ、起伏も無い線路というのはやはり珍しい。珍しいが単調である。長い列車が左右に曲がったり上下に曲がったり、ウネクネするのが好みである身には、どこか物足りない。
 こんな観察が出来るぐらいの余裕を持って白老駅に戻る。今度の苫小牧ゆきの改札と共に室蘭行き普通列車の改札もやっている。苫小牧行きに乗り遅れたら、登別の方にでも行こうかと何となく考えていたのだけど、

 実際には同じような時間に普通列車が発着しているのだった。もし乗り遅れていたら白老で身動きを取れなくなる所であった。

 さて、苫小牧行きは先程と同じ、札幌から都落ちしたキハ141の2両。小さな二重窓ごしに先程見学したポロトコタンが流れ、そして杜台が流れてゆく。放牧された馬がちらほらと。

 苫小牧で乗り換え。まっすぐ札幌に戻れば16時ぐらいにはなる筈だが、今日は何となく、新千歳空港に寄ってみる事にした。明日、飛行機のお世話になるのでどっちみち空港には行くのだが、手元の切符を生かして、なおかつあんまり時間も掛からない場所、というと手っとり早いのが新千歳空港だったのである。

 妻がソフトクリームを食べるのに付き合った後、ターミナルの中を一巡り。いつの間にか小さなミュージアムが出来ていてちょっと覗く。



 次に展望デッキに出てみた。今回は望遠レンズを持ってないから本格的な写真撮影、とは行かない。ほんの軽く数機撮ってみる。

 目の前にJA009Dがいる。009Dが最後のぐるぐるだった頃に千歳で見たことを思い出す。

 見慣れない飛行機が降りてきたと思ったらANAB787。習熟飛行の一環でやってきたようだ。

 EVA AIRはキティジェットで千歳に。北海道+キティって台湾の人にとっては最強の組み合わせ、なのかも知れない。
 寒いし天気は冴えないから早々に引き上げ。快速エアポートに始発から座って、札幌に戻る。着いてみると17:40過ぎ。

 向かいのホームにスーパー宗谷なんて列車が停まっている。連休中らしく6両に増結している。これに乗って稚内に行きたい所だが、そんな衝動に従うと明日以降の予定がぐちゃぐちゃになるのでやめておく。
 地下鉄に乗り継ぎでホテルに戻る。すっかり夜になった。夕食は改めて地下鉄で薄野へ、とも思わなくは無いのだが、この辺りも学生街だからか居酒屋やら食事の出来る店は充実している。交通費を掛けなくてもいいやと言うことで近所で済ませる事にした。

 大学が休講中だからか学生街の飲み屋は閑散としている。適当に歩いて入った一軒も店の中は空いていた。
 この度、国民栄誉賞を授与されたあの人のサインがなぜかある。もう15年以上も前の日付が書いているが、こんなところまで来たのかなと思いながら、通された席でメニューを見て、飲み物ほかを適当に注文。



 店が空いているので刺身も焼き物もどんどん出てくる。 あっという間にテーブルが満載になった。一通り注文したものを頂くとこれでまぁいいかぁという気分になりお暇する。
 でも何となく物足りないので〆に

 ラーメン。こちらの店は結構混んでた。
 最後は開いていたスーパーで少々買い物。普段使いの食材を買って帰る。ホテルに戻ると21時前。

 まだ雨は降っている。どうも冴えない北海道旅行だが、明日で最終日。