【今日の駅弁】鱈めし ¥1,100 株式会社ホテルハイマート

 ビールを買ってしまったし、急行型のボックスシートだし、駅弁の立ち売りはいる。夕食との兼ね合いは非常に気になるが買ってしまった。後のことは後で考えよう。

 蟹の駅弁と鱈の駅弁があって、立ち売りの人に「鱈の駅弁は全国的に見ても珍しい」と言われてじゃあと買ってみる。高いなと思うがまぁいいや。

 中身はこんな感じ。棒鱈の煮付けに焼き鱈子の組み合わせと言う変わり親子丼的弁当。鱈も鱈子も美味しく頂けるけど、みんながみんなご飯の友達みたいなおかずなのでちょっと困る。結局梅干しを食べるためのご飯が残らない。

 16時を過ぎると車内も人が増えてくる。おおむね1ボックス1グループぐらいの感じになって発車時刻。短い冬の日が弱々しくなる頃である。まもなく日本海が見えてくる。海はおとなしいが色は鉛色。

 トンネルに入って出ると更に薄暗い日本海がそこには現れる。
 トンネルの中にある筒石の駅はみた記憶があるがそれ以降が全く覚えていない。気が付くと糸魚川。既に外は暗く、そしてお客さんがたくさん降りて車内が空く。次に気が付いたら越中宮崎である。もう富山県入り。
 車窓の灯りで浮かび上がる雪以外はなにも見えない暗い道。少しずつお客さんが増えて来て賑やかになる。この電車の富山着は18時。富山まで遊びに出る人たちかと思ったらみんな魚津で降りていった。魚津で十分事足りるんだなぁと妙なところで感心する。もちろん代わりに乗り込んでくる人もいて、再び一駅毎にお客さんを集める。

 富山には定刻の到着。新幹線を迎える準備に忙しい富山の駅は様子がすっかり変わっている。今日はここまで。富山に泊まる。10年前ならもう2時間、3時間と頑張るだろうが、最近は日が暮れたらとっととどこかに投宿したくなる。朝も10時ぐらいに出るのが嬉しいが、10時ー17時で18きっぷ移動だといくら何でも一日に移動距離が短すぎる。朝ぐらいは頑張らなくてはならない。
 長々と続く仮設通路を通って改札の外へ。ここちらも自分の知っている富山駅とは様子がだいぶ違う。完全に仮設の駅舎。
 駅にほど近いホテルにチェックイン。すぐに部屋を出る。富山が今日の目的地なのだが、富山に泊まるためだけに来たわけでなく他に目的はある。駅前を走る路面電車である。
 全国各地で路面電車を見直す動きはある。既存の路面電車をテコ入れだとか、新しく路線を通そうとか。既設のテコ入れはとにかく、路線の新設はかけ声だけで出来た試しがないのだけど、富山だけは新しい路線を作るところまでやりきった。既設線をショートカットして環状線にしたてた方法なので新規開業としてはたかだか1kmちょっとではあるが、新設は新設である。今から3年前、2009年のこと。
 自分は一度は全線完乗を果たしたが、その後に出来た富山の路面電車、まだ乗っていない。全線完乗のタイトルを剥奪されたままとなっている。
 実は開業したのを放置している路線が他にも2つあって、全部で3路線、乗らないとタイトル奪還にはならないが、3つのうちの一番遠くにある富山の路面電車に乗るのが今日の目的である。
 ホテルの前に路面電車が通っていてちょっと歩くと電停がある。環状線の電車は10分毎。早朝夜間は間隔が開く。未乗線に暗くなってから乗るのは少々気が引けるが、どうせ市街地の路線だからあたりの様子は分かるはず。今回は目をつぶる事にする。

 路面電車がやってくる。低床式のLRVだ。既設路線は昔ながらのチンチン電車という風情の電車だから、非常に対照的な電車が入り交じって走る事になる。

 連接車の座席が半分埋まるぐらいの乗車で既設線を行った後、新設の路線に入る。環状線は一方通行で富山駅前から反時計回り、一周20分という路線。既設線を含めて自動車の軌道敷乗入が禁止されているようで、速度は遅くても確実に走る。渋滞しているクルマを確実に追い越して行く。路面電車の方が早い訳でこれは珍しい光景かと思う。
 新設の電停でも乗り降りがあった。一周20分の半分を来たがそろそろお客さんが入れ替わったようだ。今度は立ち客も出始める。
 既設線に戻ると富山駅前へと戻る。定刻なら20分だが少々渋滞があったので22分掛かっている。富山駅前でもだいぶ人が降りる。またお客さんが入れ替わった様子。

 ホテルの近く、先程乗った電停で下車する。これで一周200円。これで未乗線区は一つ減ったことになる。残りは日暮里舎人ライナーと横浜市営地下鉄グリーンライン。どちらも首都圏だからその気になれば年内にも全線完乗を果たすことが出来る。
 まっすぐホテルに戻るのも難なので、軽く飲んで帰る。地の魚とちょっとした酒が飲めれば長居をするつもりはなく、ホテルの近く、良さそうなところに声をかけるが、少し間を置いてから予約で一杯、と断られる事1軒、もう1軒。次お願いしますと言われるものの、次は無いよなぁという気分。3軒目でようやく入れた。

 生ビールと料理を3品。とりあえずの所から一品頼んだのだけど実際にはほぼ同時に来た。

 一品一品もう少し少なくても良いよなぁと思うが基本2人以上で来る店なんだろうなぁ。

 酒も料理も美味しかったが、値段もそれなりに張る。

 ホテルに戻ると20時過ぎ。時折電車の音が届く部屋で今日はゆっくりする。