晴雨のフリッカー




 列車は大沼から森へ。曇って来たなぁと思うとぱっと雨が窓を叩く。噴火湾が陰っていたのに気がつけば気持ち良く晴れ上がる。何とも不安定な空模様の下を列車は右に左に傾きながら北上する。エンジン音が轟くと一気に加速。なかなかアグレッシブな走りを見せる。

 海の間際から少し内陸、枯れた大地、時々集落が現れる中をひたすらひたすら北上すると長万部到着の案内。速度を緩まずなおエンジンを吹かす勢いで掛け続けてようやく駅になる。小休止。お客さん、増えず減らずで更に噴火湾沿いを駆ける、駆ける。ひたすら駆ける。
 走りは豪快そのもので飽きさせないのだが、何時までも続く噴火湾が単調で、先程飲んだクラシックも手伝って眠気を誘う。今日の昼間、寝てしまうのは避けたかったのだが、どうしてもうとうと。洞爺と伊達紋別の記憶がない。気がつくと東室蘭の到着する案内。

 指定席にもお客さんが増える。荷物を座席の上に置くなという注意も入る。
 再び疾走。空が晴れてたり曇ったり。隣の道路が濡れているなと思うとこちらの窓も雨粒が叩きつける。その繰り返しを見ているうちに虹が出た。天気は回復傾向だろうか。
 エンジンを吹かしては惰性走行を繰り返しているうちに苫小牧に到着。乗り換え案内に「各方面お時間がありますので待合室でお待ち下さい」なんて言葉が添えられる。50分ほど待ち時間があるらしい。冬のようなこの季節。確かにホームで50分は辛いだろうなぁと思う。
 今日は南千歳で降りる。苫小牧から10分少々。指定席車、東室蘭での大量乗車後、初めて動きが出た。意外と降りる人が多い。各方面、こちらは10分少々で列車がくる。ホームでお待ち下さいとの案内。ホームに降りると身を刺すような寒さに包まれる。10分でも待合室に行きたい寒さだ。
 長々と二日に渡って乗ってきた汽車旅もひとまず次が区切り。やって来たのは

 何の事はない、快速エアポート新千歳空港ゆき。手元の切符の目的地は新千歳空港である。一駅だから本当にすぐ。まもなく終着となる。

 沢山の空港利用客と一緒に改札からターミナルへ。これから名古屋に戻りますよ。