蒼い絶滅危惧種

 この先、今日はまだまだ動く。都内で所用を片付けた後、向かったのは上野駅。時刻は20時15分。あと1時間で、秋田経由の青森行特別急行あけぼのが出発する時刻である。

 1時間前では案内はまだ出ていないなぁ、、、、と思ったが良く考えてみると2012年のあけぼのは上越線廻り。何時まで経っても自分に取ってのあけぼのは東北線から奥羽線に入る列車なのである。

 まぁ高崎線の案内にもまだ出ていないけど。
 列車が入ってくるまで30分弱。その間に夕食を買ったり、お酒を買ったり。上野駅エキナカが充実しているから夕食一つ取っても非常に迷う。本屋だって大きいのがあるから色々選べるが、お客さんが多くて荷物の大きなお客さんには少々優しくなかった。
 充実の高架ホームから地上ホームに降りる。

 上野らしい、旅情に満ち溢れた空間、と言いたいが発着する列車が少ない分、場末感も漂っている今日この頃の地上ホーム。でも啄木の歌碑と向かい合うかのように

 上野の癖に生意気な、みたいな店がある。ワインだけじゃなくて珍しい輸入ビールやらチーズやら。そんな商品が並んでいる。北斗星カシオペアで旅立つ人には似合いそうだ。
 さて、そろそろあけぼのが入ってくる時刻。13番線に行こうかと思う。

 発車30分前。お客さんはちらほら。カメラのお客さんもちらほら。待つことしばし、2021列車接近の業務放送。カメラのお客さんに緊張感が走る。

 客車を先頭に、ゆっくり、ゆっくりとあけぼのが入ってくる。



 到着すると仮のヘッドライトが外される。貫通ドアが閉められると夜行く汽車の顔が出来上がる。青い深いその顔は既に塗装が浮き上がっていて、なぜか幼い頃見た20系客車を思い出した。
 時間がたっぷりあるので、今日の編成を検分しておく。普段はやらないけど、こんな時ぐらいはいいだろと思う。

 EF64_1057-カニ24_102-オハネフ25_201-スロネ24_553-オハネ24_553-オハネ24_551-オハネフ24_7-オハネ25_211-オハネ25_32-オハネフ25_205

 金帯白帯改造車。混ぜ混ぜになった全10両編成が今日のあけぼの。懐かしく思えたのはオハネフ24の白帯車。金帯だとどこか別の世界の列車みたい。

 先頭に立つのはEF64上越線を行く列車としてはこのカマのエスコートは必須って事なんですかねぇ。あけぼの=東北線の印象が強いとさっきも書いたが、こちらにもやはり違和感。これはあけぼのの皮を被った別の列車じゃないかと思えてくる。
 先頭と最後尾でゆっくりし過ぎたので時間がだいぶなくなった。今日乗るのは

 こちらのA個室寝台車。極めて身分不相応だが、この機会を外すと永遠に乗れないような気がしていて、この際だから奮発した。寝台料金¥13,350ですからねぇ。それなりのホテルに泊まれるだけのお金をこの一晩に費やす事になる。
 あけぼのにA個室とB個室が付いたのは1990年だったか。その頃は地元の高校生だった訳だが、国鉄の臭いがぷんぷんしている秋田の鉄道にようやく見え始めた変化に思えた。まぁ乗る機会なんて無いし、何時か乗る機会があればいいな、ぐらいの淡い期待を抱いて20年以上経っている。念願かなって、では無いけど、想いが通って、ぐらいは言って良いかも知れない。

 こちらがそのA個室。狭いなぁというのが最初の感想。ついホテルと比べてしまった。でも列車の中で占有出来る空間と見れば相当贅沢な方になる。  


 アメニティまである。櫛に歯ブラシ、石鹸や化粧水、ウェットティッシュとか。
 写真を撮っている間に発車時間が来る。がくんと衝撃が来て地上ホームが流れ出す。懐かしいオルゴールとともに始まる車内放送。到着案内の後、秋田到着20分前まで放送を中断する事と、マナーに関する注意事項が告げられる。
 さて、こちらは食事にしましょうかねぇ。天竜峡のラーメンから9時間ほど。いい加減腹が減っている。

 先程、上野の癖に生意気なWINE&DINEで買ったスパークリングワインとサラミとチーズ。

 こちらはその前に買ったビアホールあけぼの仕様のビールと駅弁、それにハイボール(濃いめ)。
 まずはビアホールあけぼのを始めます。