【今日の駅弁】秋田比内地鶏こだわり鶏めし ¥950 株式会社関根屋


 南口の駅弁屋にはあちこちの駅弁、まぁ、東日本のエリアだけなのだが、が売っていて目移りがする。その中でいくつか秋田駅構内営業、関根屋さんの駅弁があったのでお買い上げ。朝の9時の段階で秋田の駅弁が売っているって事は、何時作ってどうやって運ばれてきたのか、定かでない部分もいっぱいあるけど、秋田代表が都会のど真ん中で頑張っているのなら敬意は払わなくてはならない。
 残念なのは比内地鶏の駅弁であること。明らかに大館駅構内営業花善さんの鶏めしにあやかっての商品であること。関根屋にも「わっぱ舞茸」という個人的には極めて評価している駅弁があるのだが、オリジナルで商売してくれないかなと思う。

 花善の鶏めしを忘れればそれなりに美味しい駅弁だし、じゅんさいはちょっと嬉しかったりするのだが、まぁ複雑な気分になる。

 発車時刻が近づくと階下でも相席がちらほら。天井、と言うか二階席からは子供が掛けているのだろうか、賑やかな雰囲気が伝わる。まもなく発車時刻。特急やら快速やら、いろんな電車に挟まれて、のろのろしずしず、列車はそろそろと走り出す。
 自分のボックスも三鷹で相席になり、立川で見た目に空席がなくなる。降りる人もいるのだが、乗ってくる方が明らかに多くなる。座れない人が空席を求めて右往左往。子供が団体でバタバタと掛けてゆく。電車はのろのろと多摩川を渡り、西へ。八王子でも乗ってくる人もが多い。
 高尾で多少の降車がある。先程の子供の団体も高尾までだった。それでも混雑したままで、列車は山へと入ってゆく。
 相模湖の後は大月。日帰り観光客の需要を考えるとこういう停車駅になるようで。どちらの駅も多少降りる人はいたが、車内はあんまり空いた感じがない。大月までだと列車もいっぱいあるからねぇ。
 冴えない天気のまま笹子峠を越えると勝沼ぶどう郷となる。心なしが案内が強調されて、確かに降りてゆく客も先程よりは多くなった。この先、甲府までの区間がこの列車のターゲットなのかも知れない。塩山でも山梨市でも観光客を降ろしてゆく。
 甲府で半分ぐらいの人が降りる。空席も目立つようになり、再びボックスを二人で占拠となる。どうしもてボックスで4人は辛い。気分的にも楽になる。

 余裕が出来たので写真を撮ろうかという気分にもなる。階下席殻の眺めは明らかに視点が低い。二階建車の下の席、何度か乗っているから慣れているが、中央線のしかも山の区間で眺めるのは久しぶりのこと。
 雨が落ちてくることも無く、12時ちょっと前、定刻に列車は小淵沢到着。外に出ると東京よりも明らかに涼しく、過ごしやすいのだけど、今日はもう少し高いところに行こうと思う。
 小淵沢といえば駅そば。ちょうど12時だし頂いてゆく。新宿を出るときに朝食として弁当を頂いてきた訳で、滅茶苦茶空腹な訳でなかったから二人で1杯のそばを分け合ってみた。

 一杯の山賊そば、って絵にも詩にもならない。
 山賊そばを食べている間に小海線の列車がやってくる。

 夏の間に走る野辺山行きの臨時列車。時刻表上は「八ヶ岳高原列車」と言う名前を持っているが、目の前の列車にも丁寧に愛称が表示されている。
 列車が入ってきて満席になり、そこに特急がやって来たから2両の臨時列車は立客大勢となる。お客さんは観光客が殆ど。目の前に立っている女子大生だろうか、は、テニスラケットを持っていかにもサークルの合宿という雰囲気。ハイヒールなんて履いている娘が混ざっていて、どことなく軽薄さの漂う清里に向かう列車に相応しい、といったら失礼か。
 列車はゆっくりと坂を登ってゆく。次第に白樺の林が点在するようになって中央線の雰囲気とまた違う景色になる。甲斐小泉甲斐大泉と閑静という雰囲気の別荘地で十数人ずつお客さんを降ろすと、また延々と上り坂。山の中をエンジンを唸らせ上り登る。エンジンが緩むと饐えた建物が現れて清里となる。お客さんが大勢降りてゆく。
 ホームが雨に濡れている。小淵沢よりも明らかに涼しい風が流れる高原の街。今日は日帰りなのでそんなに奥まったところまでは行けず、まずはキープ牧場まで脚を伸ばそうかと思う。

 盛夏の間は観光地めぐりのバスもあるそうだが、時間は有るし、涼しいからまぁいいや。駅前の観光地図で道順だけ頭に叩き込むと歩き出す。
 駅から右手に曲がると清里の残骸を横目にキープ牧場へ。

 いかにもバスに抜かれる。列車で来た人でバスは満員。立客も目立つ。こちらは涼しい風に吹かれての散歩道、というと優雅だが、踏切を渡ると上り坂になる。

 見た目には気持ちいい散歩道だが、じわりじわりと体力を奪うような坂道。次第に汗も吹き出るようになる。キープ牧場の敷地に差し掛かっても目的の清泉寮は遠い。結局20分以上歩いただろうか。バスに乗ると300円だが、その価値があるのかどうかは微妙なところだ。

 駅前と違って観光客の姿も多く、清里健在と言いたげなキープ牧場。ここの名物のソフトクリームを頂くことにする。

 単に濃厚と言うだけでは足りないような濃厚振りを発揮するソフトクリーム。350円也を揃いも揃ってみんなで舐める。確かに美味しいしここにしかないだろうなぁと思う。
 近くで地場の野菜を直売していて、なすときゅうり、じゃがいもを買う。各々150円。かなり安くてついつい買い物が嵩む。見知らぬおばちゃんが「クルマの人は良いわねぇ」と呟いていたが、おばさん、私たち電車なんです。どうでもいいけど。
 野菜売り場で朝採りとうもろこしの試食をしていて頂いてみる。朝採りなので生で食べれるそうだ。これが実に甘かった。濃厚ソフトクリームを食べた直後なのに、とうもろこしの甘さが勝った。後から口に残るのも、とうもろこしの方。これは凄いなと思う。
 行きは上り坂だったから帰りは下り坂。雨がちらついてきた。上り坂だったら心が折れたかも知れないけど下り坂だからあんまり気にしない。
 途中、キープ牧場のパン工房があって、少々パンをお買い上げ。これは明日の朝食になる。また荷物が増えたけど、下り坂だから気にしない。
 駅の近くの踏切まで戻る。清里駅に列車が停まっている。キハ110を4両も連ねている。

 先程乗った八ヶ岳高原列車が再び小淵沢からやって来て、入れ違いに4両編成が発車。

 団体列車だそうだ。ツアー客の高原列車体験乗車、みたいな企画だろうか。ローカル線でたまに団体客に乗り合わせる事があるけど、団体列車を仕立てる程にお客さんがいるのは珍しいのではないかと思う。
 清里人気健在、と言いたくなる列車を見送ったのだが、その踏切の傍らはこんな感じ。

 以前は観光客で賑わったに違いないエリアが廃墟と化している。奇抜なというか、なんと言うか、そんな建物が朽ちている。

 軽薄観光地の象徴みたいだったミルクポット。傍らの食堂は営業していて呼び込みが煩い(かなり)のだが、こちらももう放置みたいな雰囲気。15年ぐらい前に見た記憶があって、その時でも既に塗装がかなり剥げていた記憶があるのだが、それきり何も保守されていない様子だ。
 バブルが弾けて20年かぁ、と思う。 
 戻りの列車まではまだ時間がある。駅を挟んで反対側にも観光農場があってソフトクリームがある。農場の入口まで行ったが結構奥深い施設。中に入ると時間までに戻ってこれそうにないから、諦めて駅に戻る。
 その代わり

 駅の近くで営業していた喫茶店でソフトクリームを頂く。こちらは蜂蜜を掛けるのが売りだそうで、ソフトクリームがキープ牧場のものに比べると淡白(比べる方が悪いが)な所に蜂蜜のヘルシーな甘さが溶け合って、これはこれで美味しく頂ける。

 駅に戻る。列車を待つお客さんもちらほらいて、駅の中だけ見ていると悲壮感は無いのだけど、駅の周りをうろうろした後だと、衰退した観光地感が滲んでいる。滲んでいるのだけど、今日の清里は涼しくて何となく気に入った。避暑地はいいねぇと素直に思う。
 帰りもホリデー快速に乗る。それに合わせて15時半の列車で小淵沢に降りる。

 登ってくる列車がやって来て

 下る列車がやって来る。今度は定期列車のようで、席は既に埋まっていた。清里からのお客さんは仲良く立って山を下ることになる。窓の空かない車内が蒸している。清里の心地よい空気に想いが飛ぶ。
 列車はエンジンを軽く吹かしただけで、坂を転がり落ちてゆく。木々の間に垣間見える別荘地を眺め、駅に停まっては軽くエンジンを吹かしを繰り返すと、だいぶ下ってくる。右手から中央線のぶっといレールが近づくと小淵沢到着の案内。
 階段を渡った中央線のホームは人で溢れかえっている。この後、特急あずさとはまかいじ。そしてホリデー快速、3本を続けて送り出すのだが、中央線のダイヤ、少々乱れているのだそうだ。
 単線区間すれ違い遅れのため松本方面からの列車に遅れが出ておりますと案内される。中央線の東京近郊で何か起きると下り特急が遅れて諏訪の辺りまで行き、単線区間のダイヤを乱して上りの特急に影響し、遅れた特急が半日後の東京近郊区間の中央線ダイヤを乱す。なんて事を聞いた覚えがある。その類が起きているのかと思ったら、今日は諏訪の花火で臨時列車が出ており、混雑とあいまって遅れが発生しているのそうだ。

 新宿行きのあずさが6分ほど遅れて到着。つづいて

 横浜行きのはまかいじが来る。こちらも6分遅れ。はまかいじが出て行った後もホームは混雑していて、どうやら始発のホリデー快速を待つ人らしい。

 その後にホリデー快速が入ってくる。富士見あたりからの回送だろうか。
 また階下かなと思ったのだが、乗ってみると二階席のボックスを確保できた。しかも意外と空いている。空きボックスはないが今の所、相席になっているところは無い。ホームが混雑しているように見えても、小淵沢のホームが狭い所に売店やら何やらいろいろ建っているから一見しっちゃかになっているように見えるだけで、実は何事でもなかった、と言うことの様子。

 相変わらず天気の悪い中央線を今度は二階席から眺めての旅となる。
 甲府でたくさん人が乗って来て見た目に席が埋まった。帰りもこの列車狙いの人、意外と多い。小淵沢から遅れた分を丹念に引きずったまま夕方の気配が濃くなる甲府盆地を行く。清里の歩きで疲れが出たのが、しばらくぐっすり。気がつくと笹子峠を越えている。車窓を雨が叩いていた。
 大月は雨に濡れていた。ホームにたくさんの人が待っている。車内放送が座席に荷物を載せるなと注意喚起。空席を求めて通路を行き来する人が溢れる。二階席に立つのは収まりが悪いのか、人の波が引けると列車は発車。まだ18時前だが、今日は外が薄暗くなった。
 今日のホリデー快速。今日に限らないのだろうが、行きも帰りも混んでいる。息の長い列車だし、すっかり定着している感があって、こんなに人気があるのなら、もう一本走っていても良いよねと考えるのはオタの悪い癖かも知れない。冷静に考えるといろいろハードルが高い割りには利益に結び付かず、多分無いだろうなあと思うけど。これだけ乗るならなぁ、とどうしても考えてしまう景色がここにはある。
 列車は相模湖まで停まらない。途中、四方津だっただろうか。先行する普通列車を追い抜く。抜かれた普通列車はがら空き。まぁ同じ値段なら早いほうに乗るよなぁとは思う。
 遅れたまま相模湖到着。一応は観光駅扱いなのだろうが、乗ってきたのは近隣の学生らしい人たちが殆ど。たまたま来た列車がホリデー快速だから乗っちゃったの体である。「グリーン車と指定席車両はデッキにお立ちでも料金を頂きます」なんて案内が繰り返される。二階席の通路にも立客が出る。
 遅れが若干広がって高尾からの電車区間に入り込む。河口湖から来るホリデー快速だと、高尾から先、電車区間でお客さんが増えることが良くあるような気がするが、6分遅れの八王子、7分遅れの立川と降りる人の方が多かった。意外と落ち着いた姿になって新宿への最終コースを辿る。
 三鷹では7分延だった。このままで行きますと新宿には19:03到着の見込み、なんて案内が流れていたのだが、どこでどう取り戻したのか、意外と早く大カードが流れてゆく。新宿に着いたのは18:58、だったか。ホームに下りると湿気た空気が体にまとわり付く。決して暑くは無いのだが、やはり高原の空気とは比べ物にならない。都会に戻った気分になる。
 接続良く19:04の湘南新宿に乗れたので横浜の自宅には20時の到着、
 持って帰った野菜は早速食卓に並んだ。きゅうりはサラダに。ナスは味噌汁に。ジャガイモはじゃがバターになる。帰宅してからも楽しめる、充実した小旅行になった。