ソウルの中心地から少々西側にずれた、麻浦にあるホテルの一室で目が覚める。日曜日の朝、8時過ぎ。時差は無いけど日本よりも西にあるソウルだが、さすがに4月も中ごろなのでこの時間帯、しっかりと朝がやってきている。
 まずは朝食。昨日見かけたお店の中からスンドゥブを食べられる店に向かうことにする。
 街を歩くと目に付くのが

 桜の花。韓国で桜の花というのは歴史的な経緯もあってあまり好まれないような話を聞いたことがあったけど、意外とあちこちで咲いている。昨日乗った地下鉄では、桜の名所紹介も見かけたから韓国人も桜はそれなりに喜ぶものなのかなぁと認識を改めた次第。

 昨日の夜見かけた店に到着。本来は焼き肉屋さんらしいのだけどスンドゥブも有名らしい。先客が何組かいて同じようにスンドゥブを食べている。


 先に出されたキムチを頂いているとまもなく煮え立った鍋が運ばれてくる。ちょっと辛さに欠ける感じはあるけど、それなりに美味しく頂ける。
 ゆっくり朝食を頂くとちょっと移動。今日も日用品の買い物がメインになる。何しにソウルまで来ているのか、と問われそうだが、ベタな観光をするつもりはないもので。
 地下鉄6号線で三角地まで行くと4号線に乗り換える事が出来る。北に行けば昨日歩いた明洞だが今日は南行きで一駅。新龍山の駅で降りる。ここはKORailの龍山駅前。地上に出ると

 辺りは再開発を行うようで古い街が囲われ取り壊しの真っ最中だった。数年後には大きなビルが一つ二つと出来るのだろうか。個性の無い街がまた一つ出来るのだろうなぁと思う。
 龍山にはE-martと言う大きなスーパーマーケットがあって、食料品を中心に買い物をしておく。キャリーバックの余力を思い浮かべながら一つ、もう一つと。
 他にも探し物があったのだがそちらは首尾よくなく、諦める事になる。一旦ホテルに戻ろうと思う。その前にと試しにKoRailの駅の方によって見る。

 湖南線や長項線の列車に混じって京春線の春川ゆきの列車が見える。最初に韓国に来た時に乗った京春線だが、電鉄化が完了して、この春から急行電車というべき優等列車が設定されている。乗ってみたいが今日はパス。
 一度ホテルに戻る。13時過ぎ。今度は昼食を志す。昨日の夕方も行った新村に妻の行きたい店があると言うのでそちらに。昨日は2号線と5号線を乗り継いだが、ちょっと遠回りで、6号線で孔徳から二駅、広興倉から歩けば近そうだ。もっと言うと多分バスなら直行出来そうだが、調べる時間が勿体無く、ひとまず電車で行く。
 電車で二駅。そして地上を歩く。中心からはだいぶ離れているので建物が低く空が高い。甲州街道の下高井戸の辺りを歩いているような気分になる。新村までは500mをちょっと越すぐらいの距離なのでまもなくそれらしいエリアに着く。目的の店は焼肉屋。新村は学生街なんだそうで、安くて美味しいお店が多いそうだ。以前も一度、明洞の辺りに泊まって新村まで食べに来たけど、今日はもっと安い店。

 こんな店構えの所でお客さんが満員。

 皆さん立ってお肉を召し上がっているが、立ち食いの焼肉屋である。そして人々の中心には

 ドラム缶がどんとそびえる。題してドラム缶焼肉。この言葉で検索するとお店が見つかります。
 韓国での焼肉に付き物のサンチュはなし。メニューは骨付きカルビただ一品。そしてお酒だけ。立って食べて飲んでさっと帰るそんなお店。店内は地元の人7割。日本人観光客3割。

 骨付きカルビ二人前をドラム缶に乗せて貰い、切ってもらう。あとはこちらで焼き加減チェック。

 ドラム缶の上で肉をひっくり返している間に焼けてくる。焼けたらひたすら食べる。もう少し欲しくて二人前追加。今度の方が量が多いような感じもする。また焼けたら食べる。流石に満腹。この間、30分少々。隣で飲んでたおじさんも既に退散していて、このお店、回転がものすごく良い様子。


 さて。昨日は買い物をするだけだった新村を少々ぶらぶら。明洞と同じような化粧品のお店に妻が吸い込まれる。観光客相手で有る意味擦れた明洞よりもゆっくりと落ち着いて品定め出来るそうで。
 桜並木も見える新村の街をぶらぶら。疲れたのでコーヒーショップに寄る。スターバックスのような外国資本のお店から聞いたことの無い地場のチェーン店まで。韓国もここ5〜6年でコーヒーショップが増えた。新村の街にもたくさんあるが、今日は知らない地場のチェーン店らしい店に入る。アイスコーヒーで注文は通じた。
 出て来たのは

どうみてもアイスコピですなぁ。頂いたけどやっぱり薄かった。3、000ウォンぐらいの価格帯だとコピになっちゃうんでしょうか。
 さて、またホテルへ。今度はバスを志したみた。孔徳の街で見かけた系統と同じバスを新村でも見かけたもので。地図でみると、新村の5差路、その道の一つをまっすぐ行くと孔徳の交差点に出る。

 新村の交差点を行き交うバスはややこしくて知らないとバス停を探す所で迷いに迷いそうだが、妻が持ってたスマートフォンでバス停の場所を調べてくれた。迷わず交差点から少々外れたバス停にたどり着く。
 バスは空いていて座れる。ソウルでバスに乗るのは初めての事。ハングル表記しかないバスに乗る事のハードルは高い。乗ってしまえば地下鉄と同じくTーMoneyが使える。これはありがたい。

 見慣れない街をバスは走る。道は混んでいるが停滞しているわけではないから、地下鉄で乗り継いだり、6号線の駅まで歩いたりするよりは早そうな雰囲気。まもなく見覚えのある場所が現れて、孔徳の駅近く。交差点を過ぎて少々の所にバスは停まる。

 乗るときに撮りそびれたので写真を撮っとく。バス停の前にはE-Martがある。今朝、龍山まで行って入った店だが、孔徳にもあったか。この辺り、なかなか侮れない街だ。
 手元のガイドブックに孔徳市場という項目が一項目あったのでちょっと寄ってみる。豚足を食べさせる店がまとまっているのと、天ぷらの店が有名らしい。試しに路地に入ってみると呼び込みが激しい。今は新村の焼肉でおなか一杯なのでもちろん豚足は食べられず、スルーする。
 表通りから一本入るとそこは商店街。

 E-Martなんてでかいスーパーが近くにあるからか閑古鳥が啼いている。傾き始めた太陽の日が穏やかな商店街を照らしている。先程の喧騒とはうって変わって別世界。
商店街の通りと別の通りを歩いてホテルの方へ戻る。  

 日本を意識した居酒屋。数年前から増えてきているような気がする。軒先に日本酒が並ぶが、紙パックでは、どうも‥‥。
 ホテルに戻ると16時半ごろ。これから一度出かける。再び買い物のお付き合いとなる。今度は5号線を南に向かう。麻浦からすぐ漢江を越えると漢江の中洲、汝矣島となる。汝矣ナル駅の駅で乗降多数。漢江で何かイベントをやってきたのかも知れない。
 目的地は1号線の永登浦だが、5号線の永登浦市場から歩く。地図を見ると500mぐらいしか離れていない。それなら新吉の長い乗り換えを歩くより楽だし早い。

 永登浦市場の駅で地上に出る。建物が低くなり、空がうんと高い。ずいぶんと郊外に来た感じだが、永登浦の駅の方に歩いてゆくと雰囲気は一変。そこにTimes Squareというショッピングセンターがある。ニューヨークの本家は知らないけど、その名を抱く建物は世界各地に幾つかあって、東京は新宿南口。香港は香港島銅鑼湾。それに比べると随分と外れにあるもの。

 雰囲気は香港と少々似てますかねぇ。
 こちらでかなり長い時間を費やす。外に出るともう真っ暗な頃。今度は1号線の永登浦駅に。まだ続きがある。1号線の電車に乗り、ソウルの中心地に向かう。日曜日の夜に都心に向かう電車は空いている。今日の何本か乗った電車の中で初めて座れた。
 下車したのは東大門の駅。次濃くは21時を少々廻る頃。夕食がまだなので、頂いてゆく。清渓川の近くにあるタッカンマリ通りに。夜遅くまで賑やかなソウルの街だが、日曜日のこの時間。タッカンマリ通りは閉じた店が多い。その中でも営業中の店は揃って有名店。一番のお店は行列多数だったので、その隣のお店に入る。


 こちらも混雑していたが、席は空いておりすぐに通される。メニューはタッカンマリ一つしか無いから、すぐに運ばれる。

 鶏が丸々一羽入った鍋。運ばれてきてから店の人がハサミで捌いてくれる。そしてその場で煮込まれる。

 トッピングの餅やジャガイモ、ねぎと一緒にグツグツと。
 鍋の写真を撮っていたら隣のテーブルにいた日本人のおばちゃんに「写真を撮り忘れたから撮らせてくれ」と頼まれる。断る理由は無いのでどうぞとなったが、こんな経験は初めてである。

 ビールを飲みながら待つ。地元の人は基本的に焼酎と一緒に、みたいだ。
 火が通った所で頂く。お肉は柔らかくあっさりしていて美味しく頂ける。そして鍋のスープ。出汁が出ていてもっと美味しい。
 二人で鳥一羽なので結構食べ甲斐がある。でも、折角の出汁が勿体無く、最後の締めに

 麺を頂いた。鶏の出汁がしっかり絡んで、実に存在感のある味。
 ところで、このお店で見かけたこと、二題。
 その1。隣のテーブルの日本人観光客。ツアーで来ていたようでお会計はコンダクターがやっていた。追加のビール代、コンダクターさんは「5,000ウォンです」って言っていたけど、実際の値段は4,000ウォン。差額はコンダクターさんの取り分、なんでしょうかねぇ。
 その2。お会計をしていた地元客がレジの人と思いっきり喧嘩を始める。何時までも何時までも終わらない。ヒアリングが出来る妻によると会計の品数が違うという所から大喧嘩になったそうで。ずーと喧嘩していて、外に出て行って喧嘩の続きをしていた様子。
 さて。この後は今日何度目だろう、お買い物。

 東大門近くの光照市場に。ここは卸問屋街なのだけど、小売もやっている。夜の9時から営業というその界隈は見事なまでに日本人だらけ。確かに物は安かった。
 23時を過ぎてホテルに戻る。東大門歴史文化公園を5号線が通る。さすがに23時の地下鉄は空いていて座ってホテルへ。麻浦の駅に戻ると、23時半。
一日半、麻浦のホテルを起点に行動してきた。地下鉄でどこにでも行けて、足元もそこそこ賑やか。そして空港との行き来も便利。今回の宿泊地、悪くない選択だったように思う。

 疲れているのだけど、少々気がたっている様子。昼間買っておいたビールを飲みきりまだ足りずに買い足しに行く。もう一本飲んでいると時計が1時を過ぎる。明日は起きられないなぁと思いつつ寝たのが、確か1時半を過ぎた頃だった。