日曜日の朝。昨晩からの雨はやんだようだが靄の掛かったような世界が広がる。そして今にも降り出しそうな空。
 今日は京王を撮りに行く。空を恨みたい所だが、予報通りと言ったら予報通りの訳で、本来であれば撮る側が回避すべき状況ではある。そうは行かない縛りがあるのが、井の頭線の3000系。3、6、13日と引退前の運転が予告されており、この日を外す訳にも行かない。
 3000系というか、井の頭線自体がと言うべきか、自分にとっては決してホームグラウンドではなく、微妙にアウェー感が漂っている。勿論、大学進学以来からのお付き合いだから、過ごした年月は京王線と同じではある。あるのだが、初めて井の頭線に乗った日。明大前で京王線ホームから井の頭線ホームに降りると、どこと無く別会社の雰囲気が漂っていて、これが帝都電鉄の残滓かと妙に納得した記憶がある。そこからだいぶ年月が経って、井の頭線京王線と見てくれは同じになったような気がするのだが、でもやっぱり、と言う感覚は未だに一本の柱のように存在している。
 そんなこんなで葬送に参加できる資格が自分自身にあるのか否か、イマイチ消化しきれないのだけど、ひとまずは撮りに行く。
 日曜日、油断すると出かけるのがお昼近くになって、満足に時間が確保できなくなったり、出掛ける事自体が面倒になったりするのが目に見えいるが、11時には電車に乗っていようとターゲットを決めて動く。幸か不幸かその通りになって

 11:02の電車に間に合った。残念な4両編成は63運用、1469編成。南太田の界隈、昨日と今日はY校の文化祭で賑やかで、そのせいではないだろうが、4両の普通車は何時に無く混んでいる。
 横浜到着。以前のダイヤなら5分乗継、東横特急接続なのだが、このダイヤになると定刻で3分乗継である。勿論、微妙に遅延しているから3分も乗り換え時間はなく、東横特急には間に合わない。その後の急行に乗る気になれずに湘南新宿で渋谷に出る。渋谷に11:40過ぎの到着。
 ひとまず井の頭線に乗る。最悪1時間待てば目的の電車はやってくるわけだし、そのうち捕まるだろう。まずは下北沢。人だかりが出来ていて、何となくピンと来るものがある。

 目的の3728F、急行でやってくる。パンタの上が切れてしまったからこれは1時間後に再履修だ。その前に下り電車があるけど。

 下北沢到着。明らかに一般の人も写真を撮っている。一般の人が鉄道に何かある時にカメラが向けるようになったの、自分の見てきた範囲だと東横線桜木町廃線が最初の経験である。2004年の1月。鉄道趣味の一般化、言うより、カメラ付携帯が普及したから、なんでしょうかねぇ。
 ちょっと場所替え。今度は東松原だが、ここも人だかり。標準レンズでは撮れそうにないから望遠で切り取る事になる。

 折り返しは各駅停車だった。井の頭線のダイヤ自体が様変わりしていて飲み込めないのだけど、そういう運用になっているらしい。
 やって来た列車に乗ってみる。どうせ再履修。さらに奥へと入らないと上りは討てない。

 車内はさよなら3000系のポスターで埋め尽くされている。中吊りは3728Fのもの。窓上は各地に譲渡された3000系の写真が飾られていて、見ていて楽しい。6000系の時には無かった演出でちょっと差を付けられたようでもある。
 ありきたりだけど高井戸で下車する。人の壁が出来ている。半分予想通りだが、京王でこんなに人が集まるんかい、という気分も無くはない。 

 急行で3728Fが行く。半分やらせであるのだろうが、最期まで優等を張らせて貰って、幸せな最期、と言うべきだろうなぁ。
 3728Fが去ると先ほどの人垣が嘘のようになった。どうせなら引き続き撮りたいところなのだが、残念な事に時間が限られる。極めて遺憾ながら一旦改札外。コーヒーで休憩をして、今度は京王線へ転戦。
 競馬場線に行けば何かがヘッドマークを付けて走っているのだろうが、井の頭線のホームからエスカレータに乗ってしまうと連れて行かれるその先は、京王線上りホーム。結局、笹塚に行ってしまう。

 今まで撮る機会の無かった、都営交通100周年ヘッドマークを付けた10-440Fが撮れたから、まぁ良しとする。逆にこんなのが撮れたから妙に満足して本日終了という事にする。