懲りずに

夜寝る前に日曜夕方の高速バスを予約した。金曜日の仕打ちを考えると無謀と言ったら無謀であるが、毎週の往復に新幹線ばかりを使い続ける訳にも行かない。多少の手当ては出ていても、抑えるところは抑えないと行けないわけである。
 朝、起きてみると9時を過ぎている。毎度の事でやっぱりかと思う。京王線に行って帰って来ると4時間。10時に一度出かけようと身支度をしたのだが、どう考えても慌しく、結局、諦める事にする。そしてゆっくり朝食を作り始める。
 さて。京王線へ出掛けないとなると夕方までは余裕がある。そこで出掛ける事にする。歩いて隣の駅、井土ヶ谷へ。多少写真を撮っていこうかと思う。京急を撮るのもしばらくご無沙汰している。


 1時間少々撮影。もう少し撮りたい気分もあったが、後々が支えるので早めに切り上げ。帰りは一駅電車で。
 一旦帰宅し、お昼と身支度。持って帰って洗った洗濯物やら、纏め買いしたお酒やらをキャリーバックに詰め込む。新幹線に乗るよりも2時間早い午後4時前、家を出る。
 地下鉄であざみ野。前回辿った道を今日は迷わず江田のバス停まで。着いてみると17時。バスは17:03。どうせ遅れてくるのだろうが、さすがに遅れる事を前提に動く事は出来ない。
 江田のバス停には何人も先客が居る。他の交通機関との接続を全く考慮していない場所なのに、良くまぁ集まれるものだと少々、感心。バス停がもう少し便利な所にあれば、もっとお客さんは増えるだろうなぁと思う。

富士宮行きの富士急行
 
 静岡行きの京王バス東。中央道かと思ってしまうようなバスが続く。それにしても週末のこの時間になって京王のロゴを見ることになるとは思っていなかった。
 
 数分遅れて名古屋行きの特急55便が到着。持って来たキャリーバック、今日はトランク預かりとなる。先日の53便よりも席が埋まっていてざっと7割の乗車。夕方の便の方が混む。当たり前と言えば当たり前の現象ではある。
 
 大和、綾瀬と予約を持って乗り込んでくるお客さんがいて結構使われている様子が見て取れる。逆に綾瀬で降りるおばさんも居て、皆さん器用に東名高速バスを使いこなしているようだ。
 ほぼ8割の乗車で伊勢原を出る。次は足柄まで停まらない。道は空いている。若干の遅れはあるものの順調に西へ向かう。松田を過ぎる頃から日が差してくる。横浜は曇り空、出てくる頃には霧雨だったが、西に行けば行くほど天気がよくなるのか。
 東名足柄のバス停で先を行く小田急の箱根行きに追いつく。結構な駆け足だが、こちらは次は足柄で休憩。箱根行きはもちろん御殿場直行なので置いてゆかれる。足柄には先程見かけた富士急に京王、途中綾瀬かどこかでこちらを抜いていった静鉄のバスもいて弾き出されたJRバスは少し離れた駐車場に向かう。
 10分休憩。出発は18:13と案内された。コンビニで夕食代わりにパンを買い、バスへ戻る。戻ってみると
 
 隣に遠鉄のバスがいる。横浜発着という珍しい路線で、山下公園16:20→YCAT16:50→21:00浜松というバス。運賃は片道¥3,500となる。選択肢の一つかなぁと思ってたのだけど、まだ使った事は無い。窓のスモークで車内の乗り具合は良く分からないが出入りしているお客さんの様子からすると結構混んでいるようだ。
 出発時に運転士から運行状況の案内が入る。東京都内混雑の影響で10分遅れで運行中との事。一方
 
 こちらによると5分遅れ。まぁ、前後のバスに比べれば順調に走行中と言ってよいに違いない。
 バスはさらに西へ。沼津を過ぎると左手には駿河湾伊豆半島が見える。穏やかな光の下、ほんのり赤く染まる景色が見て取れる。一方、自分の座る右側。富士山が見えてしかるべきだがこちらは雲に沈む。どうやら天気のせめぎ合うその真ん中を走っているようだ。フロントガラスを雨粒が一瞬だけ叩く。

 
一年で一番日の長いこの季節。19時を過ぎてまだ明るさの残る空を横目に走る。市街地に入ると東名静岡。インターチェンジ横のバス停で運転士交代となる。前に「スーパーライナー 名古屋駅」の表示を出したバスが居て、まもなく出発してゆく。東京駅を30分早く出た17便のようだ。なんと、30分早いバスに追いついてしまったが、ここから先、こちらは各駅、あちらは特急だから、さすがに逆転はあるまい。
 ここで乗車があり、いままで空いていた隣が埋まる。見た目に空席が見当たらなくなった。
 運転士交代の時、会話が洩れ聞こえてくる。
「かなり頑張ったんですけどねぇ」
「前便が30分遅れてきたからノンビリ構えていたら、殆ど定時でびっくりしたよ」
 そして
「前便、酔っ払ったお客さんが絡んできて10分停まっていたんだって」
 なんて話しも洩れ聞こえる。勿論
「この先、吉田と浜松北、三ケ日で乗車があります」とか
「トランクの荷物、舘山寺と上郷、栄で降ろす作業がありますんで」
 なんて引き継ぎに相応しい会話もある。そうそう、乗客は36人だそうで、新しい運転士がお客さんの数を数えて「36人、間違いないです」なんて事もやっている。
 引継ぎの停車時間は10分だが、8分ほどで動き出す。19:23、殆ど定時と言ってもいい。
 
 そんな訳で公式記録は東名静岡定時出発。ほのかに明るさの残る車窓に安倍川が流れてゆく。
 すっかり暗くなった東名高速。数分毎にぼんやりと浮かび上がるバス停一つ一つ、丹念に停まってゆく。そして灯りの点るバス停に、一人、また一人とお客さんが居たりする。焼津西で2人乗車。
 大井川で1人乗車するときに「補助席になりますがいいですか」なんて運転士の声が出た。バスの補助席が使われるのを見るのは久しぶり。次の吉田で3人降りて補助席の人も無事座れたけど、中々な混雑のまま西へ向かう。
一人降り、二人降り、一人乗りと言う調子で少しずつお客さんが減る。減っても見た目には混んだまま。予約を持たずに乗り人も多く、決済に手間取ったり、降りる人の荷物を降ろすためにトランクを開けたりと、走りは快調ながらジリジリと遅れてゆく。
 浜名湖のサービスエリアで2度目の休憩。今日は10分休憩で出発は20:57と案内された。殆ど全ての人がバスの外へと出る。何か用事があるわけではないけど、狭い車内よりは外の方がいい。
 
 駐車場でツアーバスのキラキラ号と隣り合う。キラキラ号の行き先は「小倉・博多・長崎」とある。長崎ゆき。随分遠くに行くんだなぁと感心と言えば感心。窓ガラスにスモークが貼ってあって車内の様子は分からないが人の出入りが激しいのは良く分かる。
 10分休憩の8分ぐらいのところで点呼が始まる。そしてぴったり10分、20:57にドア閉め、出発。隣のバス、ドアに「出発20:55」とあってここで追い抜く事となる。真正面から見える車内には4列座席が並んでいて、あのバスで長崎までは行きたくないなぁと。