東海道のもう一つの大動脈

 朝までゆっくり寝た。空は若干の曇り空。まぁ今日は京王線を撮りに行くわけでないから曇っていても良い事にする。
 今日は早い目に出先に戻る。それまでは家でゆっくりする。昨日持ち帰った洗濯物を取り込んで荷造り。出先では手に入れづらい秋田の日本酒なんかも詰めたからキャリーバックは一杯になる。
 手元不本意だなぁと思い買い物ついでで近所のコンビニに行く。ATMでお金を下ろすつもりがATMが無かった。ひとまず何とかはなるが、どうしようか。
 自宅で昼ごはんを食べた後、出先へ向かう。重くなったキャリーバックを引っ張り地下鉄の吉野町。やって来た電車、関内で座れる。そのまま新横浜を通り越す。この先の区間は殆ど縁のない区間。乗り潰しのために乗った94年以来の乗車だろうか。港北ニュータウン区間は地上に出るが、景色に全く覚えが無い。まぁ17年経ったニュータウンなんて様子も大きく変わっているに違いない。
 終点のあざみ野まで乗り通す。40分近く掛かっている。

 ここから歩いて東名高速の江田バス停まで行く。
 東名間、まぁ東の側は横浜なのだが、を行き来するようになって3ヶ月目。新幹線や在来線は何度と無く使ってきたが、他にも交通機関はある。バスと言うのも立派な選択肢の一つである。
 路線バスに限っても東京駅から名古屋駅まで昼夜問わず、結構な本数のバスが走っていて、在来線経由相当の運賃と所要時間で移動する事が出来る。他にも調べればツアーバスなんてのもあろう。
 とはいえ、横浜からだとバスは使いづらい。東京駅まで出てからバス。それなりに時間を費やす事になり 、あまり望ましくは無いと思っていた。
 東名高速は東京から西に向かうから、当然横浜の近くを通る。そして何箇所かバス停もある。例えば大和バス停。小田急江ノ島線東名高速の交差点近くにあるのだが、大和の駅からはそこそこ距離がある。荷物が重いとちょっと辛い。
 そんなこんなで生かしたいと思いつつも、機会の無かった東名高速バスなのだが、

 http://www.aeroprincess.com/memo11/m1105.htm#26

 ここの記事を見て「へぇ」と思った。本当に目から鱗と言うやつで、江田バス停というのは全く眼中に無かった。そもそも田園都市線沿線には疎いので江田といわれて地下鉄と結びつかないのだ。
 地下鉄のあざみ野なら乗換え無しの一本で行ける。それなら大和より楽に行けそうだ。そんな訳で東京駅14:00に出る東名ライナー53号を予約してきた。自宅を出たのが13:20。東京駅に行ったのでは間に合わない時間である。
 駅とバス停はそう離れていないようだが、とはいえ初めて歩く所。多少迷っても良いように考えたよりも1本早い電車で来た。そして想像通りに分かりにくい道で、地下鉄の入口を出たところでどちらに向かえばよいのか判別つかなくなる。つまり迷ったのだが方向が分かれば何とかなる。

 こんな所を歩いて

 最後はこんな脇道に。名古屋へ向かう旅行には相応しくないが、階段の上は間違いなく東名高速のバス停であった。しかも先客まで居た。
 バスが来るまで10分ぐらい余裕があるなぁと思っていたら、バスがやってくる。早いなぁと思ったのだけど

 富士宮行き

 大阪駅行き

 箱根ゆき
 結構賑やかだ。そして少々遅れて

 名古屋行きが入ってくる。自分と合せて2人乗車。後のバスを待つ人が2人残る。思った以上にバス停が使われているものだと感心する。
 先客は20人弱。2人連れでなければ1人で2席使える程度の乗り具合。荷物の大きな身にはありがたい所。
 バスは80〜90km/hぐらいだろうか、順調に流れる高速道路を走り出す。1000円高速がなくなる間際で道路が混んでいるのではないかと思っていたが、この時間の下り名古屋方面は順調である。
 時折右車線に出たり、左車線に戻ったり。トラックやら乗用車を抜かしに掛かるところもあって中々侮れない走りである。
 走ると早いがバス停があれば寄り道をする。特急なので全てのバス停に停まる訳ではないけど、大和に寄り、綾瀬に寄る。厚木と伊勢原で一人ずつ乗ってきた。予約している人、その場で運賃を払う人、半々だろうか。
 伊勢原を出ると特急らしく次は足柄まで客扱い無し。上り線が渋滞で詰まっているのに対してこちらは順調に流れて行く。

 車窓に御殿場線の線路を見下ろす。先月2度ほど通った道と絡み合いつつ、今日は西へ。
 久しぶりに足柄のバス停で停車。特に渋滞と言うわけではないが遅延が6分に膨らんでいる。ここでの乗降は無い。そして、休憩の足柄サービスエリアへ。

 休憩10分。サービスエリアの建物に近い駐車場についたので買い物も出来なくは無い。折角なので何か買ってもと言う気になるが、自分ひとりしか居ない所に土産物を買っても仕方ないのでやめておく。コンビニがあったので覗いてみるとATMがしっかりとある。午前中下ろせなかった預金を下ろす。高速バスに乗っててATMが使えるとは、過剰に便利な世の中だ。
 休憩の後、再び動き出す。まもなく御殿場のバス停。インターチェンジへ降りてゆくと出入口をショートカットするような道があってバス停がある。3人降りて1人乗る。乗ってきた人は豊田までと言ったように聞こえる。
 裾野は乗降無し。この後は富士、清水、静岡だから在来線の特急並みの停車頻度、と言う事になる。特急バスの名に相応しい、のかな。

 晴れていれば富士山の見える区間だがずっと曇りがちの日だから当然今日は姿は見えず。由比の海岸線も薄ぼんやりとした海が流れてゆくだけだった。
 乗車して2時間で静岡は普通列車の移動より若干早いかもしれない。清水に16:42、2人降りて1人乗る。乗務員交代のある静岡には16:52の到着。10分延だそうだ。ここでは7人も乗ってきたから結構な数の座席が埋まる事になる。
 乗務員交代で10分時間を取っている間に、先程江田で見かけた大阪行きのダブルデッカーともう1台、全部で2台の大阪ゆきがやってきて先に出てゆく。こちらは遅延が15分に膨らんだ。静岡から先は各停留所に停まりますの案内が流れる。
 静岡県内はまだまだ先が長い。自分でハンドルを握ろうがただ単に席に座っているだけであろうが、静岡の距離は変わらない。東名高速から眺める静岡の景色は意外とアップダウンが激しい。

 茶畑がどこまで行っても現れて、後ろに下がってゆく。雲行きの怪しい中、時に追い抜き車線に討って出たりしながら、名古屋行きのバス、想像以上に激しく走る。その割にじわりじわりと遅れが膨らむ。浜松西の時点で17分延。そしてこの先、豊川付近を先頭に11km渋滞なんて予告が出ている。

 景色がはっきりしないなりに夕暮れが迫る頃、浜名湖を臨む。二回目の休憩は浜名湖サービスエリア。夕方18時を過ぎて混雑するサービスエリア。大阪行きに昼特急が2台停まる所を通り過ぎバス優先エリアに車体を休めた。18:26で40分まで休憩だそうだ。

 日曜夕方のサービスエリアはとんでもない人ごみ。何か買い食いでもと思わなくはないが、なぜか富士宮焼きそばにとんでもない行列が出来ていたり。結局止めておく。早い目に席に戻る。18:40発車とのことだったけど2分ぐらい前から運転士による乗車確認が始まって、時間が来る前に出発。遅れ気味だから仕方ないか。
 浜名湖のバス停で一人お客さんを拾う。この時点で26分延。予約をしていた人はこれで全てだったようで「空いている席はご自由にお使い下さい」と言う放送が初めて入る。そして

 渋滞にはまった。最初の11km35分からは緩くなっているがそれでも渋滞は渋滞。流れてはいるものの、じわりじわりとしか進んでゆかない。 
 渋滞途中の三ケ日でお客さんが一人乗車。定刻から30分遅れている。高速のバス停で来ないバスを延々待つ気分というのはどういったものだろうと思う。
 県境のトンネルを抜けた辺りで渋滞は解消する。しかしこの先、豊田ジャンクションを先頭に14kmという渋滞が予告されている。遅れる見込みという案内が流れる。音羽の時点で19:17。33分延。本来ならもう目的地についている筈の時間だが、日曜の夕方、高速道路。仕方ないと言ったら仕方ない。
 しばらくは鬱憤を晴らすように追い抜き車線を走っていたバス。まもなく渋滞の最後尾に着く。
 
 事故渋滞だそうだ。予告によると通過に1時間とのこと。車内のどこかからため息が。人のため息なんて聞きたくも無いが、ため息をつく気持ちは、まぁ、分かる気がする。
「名古屋方面へお急ぎのお客様、本宿バス停より名鉄線をご利用下さい」の案内で本宿バス停。遅れは50分まで膨らんでいるが、降りる人は誰も居なかった。日曜日の夜。誰しも早く家に帰りたいところだろうが、別払いをしてまで早く着かなければならない切実な人はそもそもバスを使わないのだろうなぁと思う。
 赤色灯が見えてきて事故現場と知る。美合のパーキングエリアのちょっと手前でクルマ3台による玉突き衝突。前2台が凹んでいる。ここを境に道路は流れ出す。1時間の渋滞、ではなかったが岡崎についてみるとほぼ1時間の遅れに膨らんでいる。ここで1人乗車。来ないバスを1時間待っていた、というより1時間前のバスが来ちゃった、という所か。
 渋滞は解消してそろそろ降りるバス停が近づく。乗るバス停で悩んだのと同じように降りるバス停も散々悩んだ。今住んでいる所は尾張というより三河と言った方が間違いないエリアなので、名古屋駅まで行くと行き過ぎなのである。手前で降りるほうがずっと出先の家には近いのだが、中途半端なバス停で降りてもその先の脚が無い。タクシーが常に待っているバス停も無くはないが、タクシー代を払うのでは何のためにバスに乗ったか分からない。
 そうなると乗る時と同様、多少歩けば駅があるところで降りることを考えるわけで、候補として一つは先程通った本宿。ここは名鉄の急行停車駅が近いし、バスの側も超特急が停まるから都合が良い。ただ、家までは若干距離がある。家までの距離を考えると上郷バス停から愛環の永覚駅へ歩くほうが好ましい。ただし、上郷には超特急は停まらないので、特急バスを選ぶ必要がある。バスの本数と降りてからの時間。天秤にかけて結局、降りてからの時間を選んだ。そんな訳で上郷のバス停で降りる。バス停間の利用、そんなに居ないように考えていたのだけど、今日見た限りだと、皆さん結構器用に東名高速バスを使いこなしている。吉田で乗って岩津で降りた人がいたのだが、こちらの想像の範囲外である。
 
 上郷で降りたのは自分ひとり。58分延の20:05である。走り去るバスを見送ると、愛環の駅まで歩かなくてはならない。こちらも歩いた事は無いが、何となくのイメージはついている。
 
 田んぼの真ん中に煌々と灯りの点る永覚の駅が見えてくる。水の張られた田んぼでは蛙の大合唱。 
 
駅のホームまでは10分ほどで到着。田んぼの真ん中にぽつんとある駅ゆえに、誰も居ない。15分毎に電車があるのが奇跡みたいなシチュエーション。
 そんな訳でなんだか裏道ばかりを通ってきたような気がするけど、出先の家に無事到着。7時間少々を要する。バスが定刻なら6時間だからまぁ普通列車乗り継ぎ相当。運賃は前後の支払いも含めると5000円ほどで、JR東海の休日乗り放題きっぷを使うのと、まぁ同一レベル。つまりどっちで行ってもそんなに変わらないってことになる。