JL1154 JA006D MD-90 OBO→HND

 出発までは50分ほど。地方のリムジンバスに乗ると接続に余裕をもってバスが設定されているから空港で時間を持て余す事になる。飛行機はまだ姿を現していない。到着遅れのため10分遅れて14:05、出発予定とのこと。
 土産物店を改めて覗く。花畑牧場じゃがポックルのポテトファームも十勝の企業だから地元の土産物という事になる。まあ買わなかったけど。

 展望デッキに出てみる。土地柄からか屋内にあってガラス張りのデッキ。ちょうど羽田からの到着便がやって来る。細長い鉛筆にエンジンと翼を付けたようなMD-90が今日の搭乗便。やってきたのはJA006D。日本エアシステムが導入した中では最後のMD-90である。
 搭乗橋が付けられたのを見届けてから出発ロビーに戻る。係員が保安検査を受けてさっさと搭乗待合室に入れと盛んに呼びかける。中にいるよりは店の多い外に居た方が楽しいのはみんな一緒で、好き好んで検査場に進む人はなかなかいない。中で時間を潰せる所を作ればだいぶ違うだろうが。
 定刻の20分ほど前にひとまず中に入ってしまう。元レインボーラウンジと思しき重厚なドアもあってここが生きていたら違うのにと思いつつ、待合室の一角。眺める所は売店ぐらいしかない。昼食がまだだったから空弁を二人分買っておく。
 15分遅延してきた飛行機。折り返し作業が順調に進み13:45過ぎには搭乗が始まる。機内へと進む。濃い青の座席が並ぶMD-90は本当に久しぶりだ。今年は初めて。去年も乗った記憶が無い。今年度で退役だそうで、今回が最後の機会かも知れない。無論、偶然乗り合わせたわけでなく今回の帯広往復はある意味、さよなら日本エアシステムという意味合いもある。
 後方の席に座る。全体的に空いているから後方座席をあてがわれたお客さんは少ない。のんびり出来そうな様子である。13:56、Door close。羽田までの飛行時間、1時間30分だそうだ。上昇中、揺れが予想されるとのこと。13:58 Push buckが始まる。定刻13:55に対して3分遅れなら飛行機の世界では定時。15分遅れた折り返し便だが、よくやったと思う。14:02 Taixing。流れるように事がすすみ、あっという間に滑走路端に歩み出る。一息、もう一息置いた。すぐ窓の外に見える大きなエンジンが吼えると背中を押し出される。14:06 Take off RWy17。凍った大地が一面に広がる。だんだん霞んでゆくと揺れが来てすとんと落ちるような感触。結構な揺れだが時間としては短い。落ち着くとまもなくベルト着用サイン消灯、14:10。

 窓の外。ちぎった雲を一面のばらまいたような景色が広がる。その合間から見えているのはどこかの山地。そして海岸線が見えてくる。よく目を凝らすと鋭角に尖った岬が見えてそのまま山地が海へと没している。

襟裳岬だ。上空からまじまじと見たのは初めての経験である。上空から見ているだけだと厳しい環境は伝わってこない。ただ、枯れた雰囲気だけが見て取れるだけだ。
 ドリンクのワゴンが廻り始める。それに合わせて先ほど買い求めた空弁に手を付ける事にした。