涼しい香港

 荷物はすでに受け渡しが始まっていて、ちょっと待つだけで受け取れる。まだ14時過ぎ。さて市内に向かおう。今日はバスに乗る。空港の外にでると強烈ではないにせよ、湿気と熱気に襲われた。暑さに慣れない身には辛いが、こうでないと香港に来た気分がしない。

 旺角を経て紅磡へ向かう空港リムジンに乗る。当然と言えば当然なのだけど、二階建てバスに乗ることになる。せっかくなので2階に座って香港市内へ。

 普段乗るエアポートエクスプレスとは視点が違ってまた新鮮な眺め。随分とゆっくり走っていたがそれでも40分ほどで市内に入る。

 何とも危なっかしい工事現場を眺めたりしていると移動時間も全く飽きない。もう、と言う感じで彌敦道に差し掛かる。九龍公園の近くで下車。ホテルにチェックインする。時刻は15時半。日本時間なら16時半。早い早いといいつつも起き出してから12時間。いつもの平日ならそろそろ会社の定時間だ。

ホテルの部屋から見下ろす九龍公園。その向こうには尖沙咀の街。 
 夕方だけどまだ時間はある。予報ではこの週末、香港は雨が続くとのことだったが、今のところ、晴れている。部屋に引きこもるのはもったいないから出掛けることにした。

 彌敦道、九龍公園の横は立派なガジュマルの並木になっている下、尖沙咀へ向かう。人混みの中、10分弱歩くと安宿街で有名な重慶マンションが現れる。

 ここの一階は両替商の多い所でもある。入口の店はぼったくり両替商だが奥の店はレートも良いので愛用している。今日も10000円が843HKDになる。ちなみに一番奥の両替商が一番レートが良い。ほかの店はどこも同じで10000円=842HKD。
 尖沙咀では他に妻の用事を二つばかり。全て終わらせるとちょっと疲れを覚える。決して動き廻っている訳でないけど暑さに慣れない身には、涼しいとはいえ、香港の熱気と湿気はちょっと辛い。

 ついつい「ゆるさん」と読んでしまって妻に笑われることになる許留山があったから香港最初の休憩。本来は喫茶店だったそうだが、今では香港スイーツのお店。咽が渇いているから乾きの癒えそうなマンゴーのジュースにした。

 待つほどもなくジュースが出てくる。ジュースと言うよりはデザートと言いたくなるような食感。少しゆっくりと頂く。太めのストローは最初に見たときは驚くが飲んでみると、というか吸ってみると必要があって太いことがよくわかる。ゼリーやらマンゴーやら、ストローが太くなくては詰まってしまう。
 さて、地下鉄で移動。尖沙咀から一駅、海を渡ると金鐘。すでに夕方。平日だから帰宅ラッシュで地下鉄は混んでいる。乗り換えて向かうのは銅羅湾。今日はこちらに住んでいる妻の友人と3人で食事をする約束をしている。待ち合わせの時間に少々間があって、その間、妻には百貨店を見てもらってちょっとトラムの撮影を。

 行き交うバスや車の合間で路面電車を撮るのは非常に難しい。どうしても被ってしまう。

 二階建てのトラムとバス、同時に走ってゆく。

 バスはいくらでも撮れる。釣りで言うところの入れ食い。釣り竿を垂らすかのようにカメラを振りかぶるとバスが撮れる。

 19時に待ち合わせ、3人になってまずは夕飯を頂く。大通りを一つ入った所にある食堂へ。結構人気店のようで、ちょっと待たされた後でテーブルへ通される。

 セットで60HKDほどだったか。一緒に付いてきたアイスコーヒー。本来は滅茶苦茶甘いのが標準らしいのだけど、「甘くないのにして」と頼んでくれたそうだ。ご飯はインディカ米。香港近隣のジャポニカとインディカの境目なのかなぁと思ってみる。インディカ一辺倒って感じでもないし。
 美味しく頂いた後はカラオケに行くのだそうだ。あんまり歌いたくはないけど、海外でカラオケなんて機会、そうそうは無いだろうし、お付き合いする。日本あたりだとカラオケする機会も以前に比べれば減ってきて年に一度あるか、無いかだけど香港も以前に比べれば減っているのか。カラオケボックスがあったはずの所に無かったりする。

 別の店に移動中。今日はワールドカップの開会式。香港はもちろん、中国もワールドカップには出場しないが、これから中継の入る開会式をパブリックビューの準備が進んでいる。期間中、結構盛り上がるらしい。
 次の店を探して少々、ビルの全てがカラオケボックスらしい大規模店に。ここの店員も各国の代表ユニフォームを着ていたりする。えらい大きなボックスに案内された。10人ぐらい座れそうなボックスには専用の洗面所まであったりする。


 料金に2ドリンクとおつまみが含まれているそうだけど別払いでビールを頂く。マイクのカバー、サッカーボール柄。何故こんなに浮かれているのだろう。一旅行者からすると不思議な光景である。
 カラオケの曲、広東語の曲。北京語の曲。日本の曲や韓国の曲。欧美とあって、美とは美国、つまりアメリカのこと。何だ、欧米か。そんな調子で一応は誰が来ても楽しめるようにはなっている。試しに日本の曲を歌ってみたけど日本のカラオケそのままにイメージ画像が流れてきた。広東語の場合だと本人のライブ映像が多かったりする。
 制限時間は23:30。3時間ほどの滞在で一人230HKD。それにサービス料やらなにやらが掛かるから結構な値段である。

 宵っぱりの香港も日付の変わる時間帯。銅羅湾のランドマークであるそごうも店じまいしている。地下鉄とトラムはまだ走っていて、地下鉄で二駅、金鐘。ここで乗り換え。今度は帰宅の順方向だから座れない程度には混んでいて二駅、佐敦へ戻る。コンビニで買い物をする程度の余裕はあって買ってきたビールを飲んで飲んで、さすがに疲れて眠ったのは、1時近くだっただろうか。