再び、移動

 23時まで起きていたからこれですっきり時差ぼけ解消♪の筈が1時に目覚め、2時に目覚め。3時に目覚めて非常に困る。どうするかとも思ったけどもう一回睡眠チャレンジ。
 結局6時半に起き出す。まだ真っ暗だけどこれ以上は寝れそうにない。荷造りを少々。今日でロンドンのホテルをチェックアウトする。午前中、ちょっと時間があるのは公園散策に宛がおうと話をして、準備を進めた。

 外が明るくなる。昨日と打って変わっての青空。この旅で初めて見た綺麗な空だ。

園都市 ロンドン

 昨日のうちに買っておいたサンドイッチを朝食にしてから出掛ける。目指すは公園。目の前は昨日通り抜けたGreenParkだし、バッキンガム宮殿の向こうはSt James's Parkだけど、一際大きいHyde Parkへ脚を伸ばす。

 街が低い日を浴びて鈍く輝く中を歩く。冬のロンドンは暗くて気が滅入りそうになるなんてどこかの本で読んだ記憶があって、昨日はそんな感じの雰囲気だったけど、今日のこの天気で眺めるロンドンの街並みは、良い。とても絵になる。

 ただの地下鉄のマークすら被写体になる今日の青空。
 Hyde Park Corner駅のすぐまん前に広がるのがHyde Park。どこまでも続く広大な公園だけど、時間に限りがあるから、その入口から少し入った少し入ったところまで行こうと決める。ひとまず

 Wellington Archから中へと進む。ちょっと行くと湖、というか沼があるらしい。そこまで出掛けて引き返そうかと案内図を見て決める。Hyde Parkのほんの触りだけど、時間の都合で仕方ない。
 
 朝の9時。ジョギングする人、散策する人。それなりに人は居るけど、公園が広大過ぎるからか、見た目まばら。そんな中は動物の天国だとガイドブックには書いていたけど、

 リスとばったり。人馴れしているのか物怖じしない。しばらくうろうろした後、木の上へと去っていった。餌を貰えないと知ったからかも。
 地図で見たときは近く感じた沼のほとりも歩いてみると結構遠くてここまでホテルから30分ほど。そろそろ引き返しの時間だ。

 日陰だからか氷の張る湖を水鳥が飛び回る。大ロンドンのまん中の筈なのに人工物が殆ど見当たらない。遠くに高いビルがちょこんと見えているのと、湖に掛かる橋に小さく、クルマの姿が見える程度。
 時間が許せばもう少し散策したいが、そろそろ引き返さなくてはならない。帰りは別の道を歩いて最初に入った門まで戻る。さて出ようとした瞬間、カメラを構えた観光客多数、視界に飛び込んでくる。振り返ると

 騎兵隊がやって来ていた。HydeParkから道路を横切るとGreenParkの方へと去ってゆく。或いはバッキンガム宮殿に向かうのかも知れない。
 ただの散歩のつもりだったけど充実した1時間。寒くても出掛けてきて良かった。充足感がある。さぁ、ホテルに戻ろう。

 クラシカルなホテルの外観を初めて、まじまじと眺める。ついたその日は暗かったし、昨日も雨だったからまともにじっと見るのは初めて。古いホテルではあったけど、まぁ良いか、と納得半分諦め半分。

最後の観光 兼 移動開始


 チェックアウトしてまたタクシーのお世話になる。ベルボーイに行き先を告げたらそれが運転手に伝わったらしく行き先も聞かれずに走りだしたのだけど途中でクルマを停められた挙句、どこに行くんだと聞かれる。King's Cross Stationだと言ったらそうではなくてキングスクロスの駅からどこに行くのか、エディンバラか?ケンブリッジか?と。何でも行き先別でタクシーを乗り付けるべき場所が違うらしい。
 ちょっと説明に困ったけど適当な英語で「I want to look Harry Potter point. After King's Cross,I go to St Pancras Station」と言ったら分かってくれた。それから暫く、駅らしい雰囲気の場所が現れる。地図の上では仲良く並ぶキングスクロスの駅とセントパンクラスの駅。その間の道にクルマを停めて
「This side King's Cross、This side St Pancras」と。非常に分かりやすい。良い運転手さんに巡り合ったものだ。
 まずはKing's Crossの駅。

 長距離列車が姿を見せる。

 短距離列車が居並ぶのは7番線と8番線。堂々としたターミナル駅だ。その一角。8番線を奥へと歩いてゆくと別改札があって9番線やら10番線があるのだけど、それをさらに奥、

 9と3/4番線への入口がある。言わずと知れたハリーポッターの舞台。観光客が嬉々として記念写真を撮りあうのに混じって写真を撮ってみる。
 King's Crossの駅には用事はこれだけ。次は本来の出発駅、St Pancrasの駅へと移動する。

 本当に隣り合わせで何で別の駅名になっているのか不思議な感じすら受ける。こちらはユーロスターの始発駅である。これから移動開始。

ユーロスター 搭乗記

 これからイギリスを出国。ベルギーに向かう。移動には折角の機会なのでユーロスターを使う事にした。
 ネットの世の中というのは本当に便利で今日、これから乗る列車。日本で既に予約をしている。しかも、日本で印刷してきた紙にQRコードがあって、それで改札を通れるという優れもの。その切符で改札を通り抜けるとすぐにあるのがセキュリティチェック。そして出国検査。いや入国検査なのかも知れない。EUのスタンプが押された。この辺りは航空機に乗る時と瓜二つだ。出国した先に大きな待合室があって、ホームに上がるまではこちらで待つ事になる。今までと違ってフランス語やらどこかの言葉が飛び交う空間。国境越えを意識する瞬間だ。
 乗車する列車の出発までは小一時間。ユーロスターの乗車は30分前までに改札を通らねばならないとの事で、渋滞やらKing's Crossの駅で迷子になる事も想定して少し早い目に出てきたけど、実際には余裕が出来てしまった。ネットコーナーような電源が使えるエリアがあり、試しにパソコンを起動してみたら電波が拾える。ここまで書き溜めた分の恥辱をアップしておく。写真を上げ切れなかったけど、公開が遅れるよりはずっと良い。

 11時半ごろだったか、発車30分前に、ブリュッセル行9130列車、改札開始の案内が流れる。大きな荷物を持った人たちが大挙してホームへと移動する。そのホームへと上がる手前でも再度検札。やっぱり飛行機に似ているなぁと思いつつ、ゆるやかなスロープを上がってゆく。やがてホームの上、写真では見てきた白と黄色の車体がそこに居た。

 日本だけでなく、海外の鉄道にも多少乗る機会を得て来たけれど、今日、この時。久しぶりに高揚感を覚える。ユーロスターという列車が目の前にいて、これから乗るんだという実感をひしひしと感じる。荷物を置いて先頭を眺め後ろの方へ。先頭18号車。機械室の後、17号車から二等車。13号車がビュッフェでその後に一等車が続く。短い連接車はTGVの技術そのまま。自分としては韓国KTXで何度か乗っているからある程度知らない訳ではない。
 一番後ろも見ておきたいが、そろそろ11時50分を過ぎるところ。出発は11:57。早い目に戻ったほうが良いかもしれない。諦めて席へ戻る。



 今日は一等車にしてみた。ロンドンからブリュッセルまでの運賃は一人122ユーロ。変更の聞かない割引運賃である。2-1列で座席が並ぶ。乗車券を手配した時にある程度は気付いていたけど、4人向かい合わせの所があったり、後ろ向きの席があったりと、結構ややこしい配置。乗っているのは3割ぐらいかなと見立てる。まもなく列車は静かに流れ出した。11:57、St Pancras駅出発。定刻だ。

 真新しい線路を歩みだす。ロンドン市内なのに意外と閑散としたところを走るなぁと思ったらトンネルに入って速度を上げた。最近整備された高速新線らしい。トンネルを出たり入ったり、新幹線に乗っているような感覚に襲われる。でも新幹線と違うのは車内サービスが充実している事。屈強な男性二人組がワゴンと共に車内を巡回し始める。

 ウェルカムドリンク、ですかねぇ。種類も酒類も豊富だったけど、ひとまずビールにしてみた。ベルギーの銘柄の様子。きちんとグラスが出てくるのは立派だなぁと思う。

 しかも、ユーロスターのロゴ入りである。

 ついで女性の乗務員がメニューを配ってくれる。3人の乗務員が面倒を見てる範囲、この車両だけでないかも知れないけど、飛行機並みに手厚い配置。
 途中、どこかの駅に停車した後はトンネルも少なくなり、イギリスの田園風景の中、300km/hの巡航開始。何もかもが飛行機に似ているから走行も巡航と言いたくなる。

 たまに牛のいる、牧歌的な風景にも出会える。手前の残雪は先日の寒波の置き土産か。幸い、今日はずっと青空。これならトラブルで動かない、何てことも無いだろう。
 12:30近くになって今度は昼食が始まる。まずは2人組がワゴンを持って回り、サラダやドリンクの入ったプレートを。ドリンクは白ワインにしてみた。次に一人が廻ってきてメインを何にするか聞いてくれる。折角なので二人で別々のものを頼んでみる。

 サーモンのキッシュ。そして

 ソーセージ。
 味はそれなりだけどエコノミーの機内食よりは嬉しい。そして、久しぶりに野菜を食べた気がする。イギリスでの食事。サラダとかそんな類は全く出てこなかったからなぁ。ワインは非常に美味しい。何か、口の中にしんなり、馴染んで来るみたいで。
 食事を頂いている間、12:35ぐらいにトンネルに入った。轟々と続く暗闇。どうやら英仏海峡トンネルに入ったようである。世界一長いトンネルも入ってしまえばただの暗闇。どこまで進んだなんて案内が出ている訳でもないから、興味はむしろ食事に行く。

 トンネルの中で仕上げのコーヒーを頂く。一緒のチョコレートはベルギー産。何か食事に関しては大陸色の方が色濃いようだ。
 12:55ごろ、外が明るくなる。大陸側へと抜けきったのだ。速度が緩んで、駅に停まる。Signal stop というのは聞き取れた。ホームしかない、周りに何も見えない駅。まもなく動き出す。ユーロスター、再び300km/h巡航となる。

 イギリスにも増して雄大な農地の中を走る。たまに線路の割と近いところに民家があったりすると防音壁が視界を塞ぐけど、その時以外はずっとなだらかな丘陵を進む。時折見える残雪と青い空。冬の穏やかな光。

 速度が緩んで駅が現れる。久しぶりの駅。隣のホームにTGVの姿も見える。どうやら停車する様子。駅名標には「LILLE-EUROPE」の文字。フランスのリールだ。多少お客さんが降りていくのが見える。隣のTGVはパリ行きらしい。時計が14:27を差している。自分の時計よりも1時間早い。英国と大陸では1時間の時差がある。この列車も2時間ちょっと走ってブリュッセル到着は定刻15:07。ここで時計を大陸時間に合わせておく。
 再びの300km/h巡航。どこまでも続く農地のどこかに国境があるはずだったのだけど、

 全く分からない。既にベルギーに入っていてもおかしくないのだけど。外に目印があるわけでもないし、案内でも特に無かった。そういえばトンネルの案内も無かったな。気が付くと在来線の線路がよって来ていて

 郊外電車と併走する。CityRail。恐らくブリュッセルの郊外電車に違いない。定刻ならあと10分でブリュッセル着だし。併走する電車。無骨な雰囲気は好ましいが、落書きが痛々しい。しばらく併走していたがこちらが先へと失礼して競争が終わる。高架へとあがると街が見えている。ロンドンを発って二時間。久しぶりに見た街らしい街。いや、ロンドンの姿だってユーロスターの窓には映らなかった。


 ブリュッセル南駅到着は定刻より早い15:05。ぱっと見、200〜300人ぐらいだろうか。ホームへと吐き出される。

 改めてユーロスターを眺めて、また新しい街へと歩み出る。

ブリュッセル

 ベルギーの首都、ブリュッセルEUの本部もあるからEUの首都と言ってもいいのだろう。人口は105万人だそうだからロンドンは勿論、横浜よりも小さい街となる。
 今日はこの後、地下鉄で移動した市内にホテルを取っている。移動するのだけど、スリやら何やらが多いという南駅。緊張しつつ地下鉄の駅を探し当てた後がまた大変だった。
 路線図を探すのに難儀し、次にフランス語、オランダ語のみの表記に苦労する。切符は1.7ユーロ。それは何とか買える。
 自分が乗るべき系統を何とか理解してホームに降りる。エスカレータの手前、刻印機が立っている。切符に自分で日付を入れて乗るシステムは予備知識としてあったから日付を入れてゆく。これをやらないと検札で捕まった時に無賃乗車扱いとなってとんでもない罰金を取られることも予備知識としてはある。でも予め知らないと思いっきりスルーしてしまいそうだ。
 地下鉄の駅。地下2階にトラムの線路があり、地下3階に地下鉄の線路がある。降りてまもなく電車が来る。ようやく写真を撮る余裕が出来て


 電車に。路線図と降りるべき駅を見比べ、到着する駅の名前を照らし合わせる間に現在地が見えてくる。地図で予習していたイメージとちょっと違うなぁと思いつつ、Rogierの駅まで。
 エスカレータもエレベータも無い駅。コンコースまで上がるのに、難儀した上でコンコースからどの通路を使って上がろうかで緊張する。最初、エスカレータのある出口をみつけたのだけど、若いのが数人たむろしている。嫌な感じを覚える。スーツケースを持っているときに集団で襲われたら対応しきれないに違いない。別の出口を探そう。改札の反対側に出てみた。こちらには人の居ない出口。こっちの方が安心できるが、どこに出るのかはハッキリしない。分かりやすい案内図がないので困るが、地上に出た方が対応できそうだ。

 地上へ。これで位置関係がハッキリする。目指すホテルも見つけることが出来た。ようやくひと心地つける。
 暫くの間、滞在するホテルにチェックイン。割と高層階の部屋に身を投じる。やれやれ。緊張が削ぎ落ちてゆくのを感じる。

 部屋から地上の様子を眺める。向こうに見えているのは植物園、らしい。時刻は17:00。まだ明るい。1時間の時差を考えても明るい。多少南へ下ったせいもあるのかなと考える。

 プランの中に含まれているウェルカムドリンクで乾杯をしている間に少しずつ暗くなってくる。

 日曜日の夜。ブリュッセルはどこの店も閉まっているそうだけど、このままホテルに引き篭もるのはもったいない気がしてくる。若干元気が戻ってきたかもしれない。ちょっと出掛けてみよう。
 ホテルのすぐ近く。ヌーヴ通りへと出る。

 どの店もやはりと言うべきか、閉まっている。本格的に動くのは明日になるなぁ、と思いつつ下見がてら歩いていると王立モネ劇場に出る。もうだいぶ中心に近いはず。ホテルから10分ちょっとだったか。ちょっと遠くまで来た気がしたので引き返すけど、ここにカルフールEXPRESSがあって開店している。コンビニ感覚で利用できるようだ。ありがたく、ビールやら何やらを買って帰る。
 ホテルの近くまで戻って見かけたレストランに適当に入る。夕食を済ませてしまおう。店は空いていて表通りの様子を相まって、まるで街が寝ているかの印象を感じる。

 飲み物はやっぱりビールを。ロンドンともまた雰囲気が違う。

 ミートボールのビール煮を頂く。これは美味しい。

 オムレツは少々、固め。日本の方が美味しいのを出しそう。そしてここでもフライドポテトが出てくる事、出てくる事。主食なのかと思ってしまうほどだ。
 お腹も一杯になったから改めてホテルの部屋に戻る。

 部屋に居ると時折、下の道をサイレンを鳴らしたクルマが通ってゆく。それが割りと頻繁に。眠くなってベットに入った後も何度か聞いたような。明日からさて、どんな旅になることやら。 

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