新婚旅行に 行ってきます

 正月に実家に帰ったとき、親戚との席、会社の人、取引先の人。いろいろな人に聞かれた事がある。
「新婚旅行は何時行くんですか」
と。その度にかくかくじかじかと答えて
「へぇ、最近はそういうのが流行りなんですか」
と感心されたりしてた。流行りかどうかは分からないけど式から1ヶ月以上経ってようやく、新婚旅行に出かける。久しぶりの大旅行。ちょっとした高揚感を覚えつつ準備をして就寝。朝、何時もより早く起き出した。
 元々は10時の便を抑えていて、それであれば早朝のうちから動かねばならない所だけど、昨今のJAL。経営危機で乗るはずだった便が運休になってしまった。振り替えられたのは12時の便。ちょっと余裕を持って、それでも6時半に出る。大きなスーツケースを持っての移動だから普段より時間が掛かってYCAT7:10のリムジンバス。去年辺りは上野から京成に乗ることが多かったけど、結婚して一緒に住んでいる訳だから、遠回りする必要もない。

 バスは30分ほどでお台場を抜け、順調に走る。80分ほどで成田空港到着。

 成田空港は空いている。観光に行くようなカレンダー割りではないし、金曜日に出かけるビジネス客も少ないだろうし。勿論、景気が悪いせいもあるだろうけど。ラウンジも空いている。以前ならこの時間帯「ダイニングは大変混雑しております」なんて案内が流れていたはずだけど、ダイニングにも空席がある。自分でも搭乗するのは夏以来だから人のことは言えないけど、抜き差しならぬ状況である事はよく分かった。
 普段は予約の入れられないマッサージが10時に空いていたからお願いする。そして空き気味にダイニングで朝食。

 質を落としているようだけど、この際は文句は言えない。ただ飯だし。

 朝食の後は、ここまでの恥辱を進めつつゆっくりと。途中、マッサージも受ける。以前なら9時に来て10時過ぎのマッサージなんて予約できなかったのだけど、お客さんが減っている余得といえば余得。嬉しいような、後々の事を考えると嬉しくないような。10分ほどのマッサージ。左腰が張っているそうだ。ゴルフをやっている人がよく張りやすい場所らしいのだけど、心当たりは無いなぁ。いや、現地作業で何かやったかなぁ。

JL401 JA734J B777-300ER NRT→LHR


 30分程前、搭乗口へ向かう。閑散とした空港だったけど、搭乗口の周辺は結構な賑わい。行列が出来ている。既に搭乗が始まっていている。スポットで待っているのはJA734J。乗り込む乗客、妻の見立てによると韓国人が多いらしい。仁川発成田経由ロンドン。そんなに多いかなとも思う。或いは韓国で安売りをしているのかも知れない。
 宛てがわれた座席に落ち着く。今回は新婚旅行だし、貯めたマイルを放出してビジネスクラスを奮発した。長距離路線のビジネスに乗るのは初めて。これからのまるまる半日、楽しみにしている。コートを預ける時に二言三言。今日はほぼ満席とのことでついつい「それは良かったですねぇ」と自分の事のように言ってしまう。
 機内も落ち着き11:54、Door close。ロンドンまでの飛行時間、11時間50分と告げられた。11:59、Pushbuck。12:04、Taixing。ややこしい誘導路をジグザグに進むと格納庫を横目に滑走路へ。飛行機は留まることなく滑走路端へとたどり着く。一呼吸、もう一呼吸。そしてゆるゆると背中を押され出す。しっかりと滑走路を使ってふわりと浮かび上がる。12:13 Take off RWy34R。北総の田園が少しずつ霞んでゆく。左旋回しつつ北関東へ。12:21、ベルト着用サイン消灯。12時間に及ぶ長い旅が始まる。

 山がちな景色が広がり出す。少しづつ雪化粧。マップによると日光の辺りから北に向かう様子。そして

 雲が辺り一面に広がりだした。脊梁山脈を越えて日本海側に入ったのである。その辺りから、機内サービスが始まる。まずはウェルカムドリンク。

 折角なので二人でシャンパンを頂いて、乾杯する。この先の旅が巧くいきますように。
 ロンドンへの道程は長く、従ってサービスもゆっくり。ウェルカムドリンクの後、少々空いてからメニューが配られる。時刻は12:44。ナビゲーションマップによると既に新潟を通り過ぎ、日本海へと歩みを進めている。最も、この季節の日本海。筋状の分厚い雲に覆われている。
 テーブルセットの後、もう一杯、ドリンク。そして機内食が始まる。時刻は13:00過ぎ。まずは

 アミューズブッシュをシャンパンと共に頂く。その後で初めて機内食の選択肢を聞かれる。機内で炊いたというご飯を一度食べたくて和食を選択する。妻は洋食の魚を。とりあえず食べ分けてみますか。
 飛行機は日本海上空を北側へと飛んでゆく。地図の隅っこには北海道。どこまでも続く分厚い雲を眺めつつ三杯目に白ワインを頂いていると次の食事が出てきた。時刻はもう13時半を過ぎる辺り。ゆっくりとした感じだけど、まだ11時間も先があるからまぁいいのか。

 色々並んでいるからこれがメインかと思ってしまった。でもまだ先がある。ついでに一つ。

 出された箸置き。鶴の形が、JALを主張する。JALと言うより、日航と言った方が似つかわしい。
 引き続きワインを頂きつつ、先を続ける。窓の外にはまだまだ続く日本海。どこまでも続く雲の羅列。

 雲が切れたな、と思ったらその先に大地が見えてきた。ユーラシア大陸日本海側に雪の降るその仕組みをそのまま空の上から眺めた事になる。高校までを秋田で過ごした人間としては、何か冬の天候の正体を目の当たりにして、一種の感慨のようなものを覚える。
 ナトホカの辺りだろうか。まだ13:40過ぎである。海は凍っているようで白々とした皺が水面に固まっている。そしてシベリアの大地へ。どこまでも白く続くなだらかな丘。人の営みを全く伺う事の出来ない白い大地。初めて眺める大シベリアを眺めているとメインディッシュが現れた。14時過ぎだっただろうか。

 和食も肉・魚を選ぶ事が出来てこれは牡丹鍋。イノシシのお肉を高度9,700m、対地速度870km/hの世界で味わえとは思ってなかった。まぁ、豚に似てるけど、そりゃ、親戚みたいなものだからなぁ。

 最後にデザートを頂く。おおよそ1時間半。しっかりと食べて外を眺めると相変わらずの白い大地。

 なだらかに続くその大地。雄大な景色には変わりないけど、少し飽きてくる。1時間飛んでも、2時間飛んでも、景色が変わらないからなぁ。

 15時過ぎ、機内が暗くなる。いい加減休んでね、ということか。ロンドンとの時差は9時間だから、まだロンドンは6時。今ぐらいの時間に寝ておくべきなんだろうなぁ。でも、

 ついつい、酒を飲む。あんまり飲み過ぎるのはどうかと思うけども。一杯、一杯。バーコーナーから貰って来てもう一杯。飲んでいると今度は接がれる。そんな調子で酒は途切れない。

 飛行機は次第に夕暮れの中を飛行するようになる。マップによると相当、緯度の高いところを飛んでいる様子。夕方というより、夕方とも朝ともつかない場所を飛んでいるようだ。機内、すっかり寝静まった感じ。妻も先ほどから寝ている。自分もリクライニングを倒すと、少しまどろんだようだ。
 30分ほど経っている。相変わらず薄暮のような中を飛んでいる。日本時間であれば18時ぐらいだけど、それなりに時差があるからシベリアのこの辺り、真昼間のはず。地図で見るとシベリアと言うよりは北極海、そんな辺りを飛んでいるようだ。うっすら見える北の大地。大地ではなく、氷らしい。
 少し機内が動いている。相変わらずの真っ暗だけど、一人、一人、飲み物を頼んだり、食べ物を頼んだりしている様子。どこかからカレーの匂いがする。お腹は減っていないけど、食欲をそそる匂いだ。ついつい

 頼んでしまった。ミネストローネとサンドイッチ。カレーに誘われた筈なのに別のものを頼んでしまったのは謎。まぁ日本時間で19時だから、これが夕食、という事になる。

 ずっと夕暮れだった景色が少し明るくなってくる。少しずつ緯度が下がってきたのか、南の方から日が射し込んできた。時刻は20時近く。まるで日の出だなぁと眺める。何日の夜明けなのだろう。1月15日か?と思い妙な気分になる。だんだんと明るくなってきて辺りの様子、一面の雲が明らかになってくる。
 夜明けの太陽、本当に少しずつ、少しずつ顔を出してくる。長い事、夜明けのような状態が続いてようやく完全に顔を出す。飛行機は北緯50°のロンドンへ向けて少し南下を始めたようだ。ロシアの外縁を廻り込むかのように飛んでゆく。

 シベリアの大地を眺めて以来、ずっと雲の上を飛び続ける。時刻は21:35。日本からもうすぐ10時間。何にもしてない、ただ飲んでるだけだけど、いい加減疲れを覚える。と言うか、お酒はもういいか。朝の成田から飲み続けていたけど、初めてソフトドリンクを頼んでみた。
 22:30、客室乗務員がメニューの回収にやって来た。どうやら機内食のサービス、これでラストオーダーと言う事らしい。定刻であればロンドン到着は現地時間15:45、日本時間で24:45だからまだ2時間ある。今日は早着で15:00到着見込みらしいから1時間半前という事になる。
 メニューの回収は初めての経験。今までは配りっ放しでお持ち帰り下さい状態だったけど、使いまわしをするらしい。この辺りに経営の厳しさが垣間見えるなぁと感心していたら、客室乗務員、5人も揃って自分達の席にやって来た。プレゼントをお持ちしました、と。


 Happy weding Mr & Mis ○○ 
 ウェディングケーキとメッセージカード。話の流れで新婚旅行での搭乗というのは話していたのだけど、新婚旅行の記念に、との事。まさかこんな心遣いを頂けるとは思っていなかったので心の底から驚いた。ケーキの材料自体は多分、ファーストクラスで供されていたものの残りなんだろうとは思うけど、時間を割いて手間を掛けて作ってくれたが本当に嬉しく感じる。
 飛行機は北欧を越えて北海へと歩みを進めている。地理の教科書でしか知らなかった場所を飛んでいるんだなぁと感慨に浸りたいが、相変わらずの雲の上。時刻はまもなく23時になる。初めて案内が入る。
「ただいまの時刻はロンドン時間で14:00でございます。あと1時間ほどでロンドン、ヒースロー空港に着陸いたします」
 初めて時計を9時間戻す。ここからは現地時間で考えようと思う。23時と言うには外は明るすぎる。

 機内も明るくなってそろそろ店じまいの様子。高度を下がってきたか空になったペットボトルが凹みだす。雲ばかりの空の景色にもちょっとした変化。

 向こうに飛行機雲が一筋、もう一筋。都合3機が同じ方向に向かっている様子。飛行機は北海の上空、真っ直ぐロンドンへ、では無く少し南側から回り込むような形でロンドンに向かっているようだ。

 14:43、雲の合間から初めて地上の景色を見つける。そろそろイギリス本土へと差し掛かる。15時到着ならまもなくベルと着用サイン点灯かな。リクライニングを元に戻して身構える。飛行機は左に旋回。また左に旋回。時刻は15時になろうとしている。おやと思ったら、2機、また1機。飛んでいるのが見える。どうやらヒースロー空港混雑による上空待機、らしい。
 15:03、ようやくベルト着用サイン点灯。あと20分で着陸との事で電子機器使用NGとなる。随分遅れたような気になるがそれでも定刻に比べれば早い。一揺れして、右へと旋回。2機ほど姿が見える。高度を落とすと雲を通して地上がかすかに見える。意外と近そうだ。15:16、その雲へと入ってゆく。意外と揺れずにまもなくロンドン郊外の住宅地が見えてきた。すぐそこが地上と言う勢い。そして雲の下は恐ろしく薄暗い。
 不意に空港が現れる。ずいぶんと大きい空港。滑走路が迫ってきて15:18、Landing。RWy27R。15:23、Spot in SP333。

 いろいろと心遣い頂いた乗務員さんにお礼を言って降機する。日本時間で0時を過ぎて少し眠くなってきたけど、これから初めての国。初めての街。色々と厄介事がある。 

ロンドンの街

 ヒースローの空港。アジア各地の綺麗な空港と比べるとちょっと古ぼけた感じも否めない。その空港を入国審査へ向けて延々と歩く。イギリスの入国は厳しい、とガイドブックに書いているけど、順番が廻ってきて聞かれたのは入国目的だけだった。でも時間を掛けて聞かれている人もいたから油断はならないのだろう。
 預けた荷物を拾うと入国となる。税関も特に問題なかったけど麻薬犬にくんくんされて捕まっている様子の人もいたから、厳しい時は厳しいに違いない。そして空港へ。

 出迎えの人ばかりが目立つ。そして天井が低い分だけちょっと圧迫感を覚える到着ターミナル。ここまで所要30分ほど。
 ロンドン市内に向かう。空港から市内へはヒースローエクスプレスというアクセス電車が出ているし地下鉄ピカデリー線も入っている。でも乗ったのはヒースローコネクトと言う空港アクセスの各駅停車というべきもの。エクスプレスが16.5ポンドするのに対してコネクトは7.9ポンドだから半額以下。所要は30分。
 エクスプレスが出発するのを見送った後で

 ヒースローコネクトに乗る。2-3列のボックス席が並ぶ構造。列車は空いている。トンネルを出ると外は既に殆ど真っ暗。4本並んだ線路っはどうやら線路別複々線のようで、向こう側の線路を高速列車が駆け抜けてゆく。
 各駅停車だから駅に停まる度にお客さんが乗ってくる。スーツケースを持った明らかな外国人の席に同席する人は無く、30分ほどでロンドン市内、パディントン駅に運ばれた。

 長距離列車の発着があるらしいパディントンの駅。ちょっと緊張しつつも雰囲気を一枚。
 ホテルまではタクシーを使う。地下鉄を乗り継いでも行けるけど地下鉄初乗り4ポンド、二人で8ポンド。タクシー初乗り2.2ポンドなら自分でもタクシーを選ぶ。2kmほどの道程。石造りの建物が続くその街並み。意外と街中が暗いようにも見えるけど、日本の街が明るすぎるのかもしれない。

 途中渋滞していたところがあったけどまぁ何とか運ばれた。ホテルにチェックイン。
 日本時間を思い起こすと既に3時近く。ベットに倒れこめばそのまま寝てしまう事は間違いないけど、ロンドンは夜の7時。そう、夜の7時。ちょっと夕食でもと辺りの見学も兼ねて歩いてみる。
 タクシーが走ってきた道沿いは意外と何も無くて結局20分近く歩いてオックスフォードストリートまで。この辺り、明日妻が買い物で来たいそうだけど、今日はちらっと眺めるだけにして、どこかパブに入って軽く食べたら引き返そうかと。
 ロンドンなんて犬が歩けばパブに当たるかと思っていたけど意外と見つからない。ちょっとわき道に入ってようやくそれらしい賑わいを見つけた。

 折角なので入ってみる。とんでもなく賑やかで立錐の余地も無い店。ビールの注文はうまく言ったけど、食べ物は、扱っていないらしい。メニューは置いているのに。こちらの理解が足りないのか。でも、確かに誰も食べ物は食べてないなぁ。フィッシュアンドチップス。食べたかったなぁ。

 FORTER'Sと言うビールを頂く。日本のビールに飲みなれているとちょっと違和感があるようなないような。
 結局ビールだけ飲んで退散。ホテルに戻りつつ、もう一軒あれば何か食べてゆこうと。

 パブに当たった。ここもメニューはあるけど食べている人、いないなぁ。でも二階がダイニングになっている。パブとはだいぶ雰囲気が違うけど、そちらに入ってみた。

 ビールはギネスにした。1パイント3.55ポンド。600円弱なら日本で飲むより安いもの。

 そしてフィッシュアンドチップス。いやぁ、でかいでかい。味付けは無いので自分で塩コショウをして頂く。フライドポテトもグリンピースも同じように味を調整する事になる。
 美味しく頂いたのだけど日本時間では既に5時。もう眠くて眠くて仕方が無い。路地みたいなところを分からないなりに歩いてホテルに戻る。部屋に入ると、ベットへ直行。さて寝ようかとした瞬間、携帯電話が鳴った。朝のアラーム。今朝セットした時間だ。ちょうど24時間か。もう寝ますzzzz。

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