出発の混沌

 出発15分前。そろそろ中に入る事にする。係員に切符を見せて、駅構内へと進む。ホームにも大きな孤を描いたドームが掛かる。
 
 なかなか良い雰囲気。目的の列車は10番線から発車とのこと。行ってみるとまだ列車はおらず、人が溢れかえっている。結構、込むようだ。 
 隣のホームに旅客列車がいる
 
 3等座席車が中心の列車。見ていると前についていた機関車が切り離され、反対側に別の機関車が付いた様子。客もちらほら姿が見えてどうやら折り返し運転に備えているようだ。
 時刻は出発10分前だが、まだ列車の姿は見えない。
「始発から平気に遅れる」
 なんて言われたけど、確かにそうらしい。気長に待つ事にする。雨が激しく降り出した。
 
 ホームの上でもいろいろなものを売っていたりする。
 
 つくねの串刺しを買ってみた。1本10バーツ。これにチリソースを掛けて渡してくれる。結構美味しい。
 遠くに乗る列車らしい列車が姿を現す。係員が拡声器が叫びだす。危ないから下がれ、とでも言っているのか。それなのに一行に入ってくる様子がない。それならば、と迎えにいってみた。
 
 気動車特急、とでも言えば良いのか。リクライニングシートが並んだ2両編成が停まっている。運転士がいないからもうしばらく掛かりそうだ。しっかし、2両ってことはどういう事だろう。自分が乗るのは3号車なのだが。
 歩いたついでに隣のホームにいる列車を改めて眺める。
 
 日本式で言えば「オハニ」。旅客と荷物の合造車が機関車の後ろにいる。そうこうしているうちに笛の鋭い音と拡声器の声。隣のホーム、11番線に紫煙を吹き付け気動車列車が入ってきた。
 
 やって来たのはステンレスの気動車。東急車両製でしたっけ、これ。行き先は「Udon Thani」とあり、手元の時刻表と突合せるとファランポーンを8:20に出る、東北線の75列車らしい。定刻より20分以上遅れている。
 この列車にホームで待っていた半分ぐらいの人が乗る。だいぶ隙間が出来てベンチに座れる。 
 
 相変わらず向こうに気動車は停まったまま。UdonThaniゆきがどうやら出発。ホームで職員が緑旗を振る。車掌さんも旗を持つ。ドアを開けたまま緩々動き出すと走ってきて飛び乗る人がいる。また緩々。もう一人飛び乗った。いい加減飛び乗る人が居なくなるを見計らっておもむろに加速し始める。
 8:45、ようやく気動車が入ってきた。やっぱり2両編成のまま。とりあえず係員に切符を見せて「Where in Car No3?」なんて聞くと「Not Chaang Mai」なんていわれる。目的の列車ではなかった。南線、Surat Thaniゆき43列車。ファランポーン発8:05だから40分遅れ。
 
 さらに待ち続ける事になる。
 43列車は乗客が乗り込んだ後、ワゴンの積み込みに時間を要している。何せホームの段差が大きいから三輪バイクの上にワゴンを載せて運んできて、渡し板を渡しての作業。3人がかりで結構手間取る。従って出発は更に遅れる。
 待つのも飽きたのでもう少し駅見学。
 
 
 ドーム側には機関車列車が。写真前の列車は雰囲気から言って優等列車。後ろは快速列車か普通列車かなぁ。
 さて、ようやく43列車が出てゆく。次こそ9列車のはず。遠くに先ほどと同じ形の車両が見えて、きっとあの列車が入ってくるのだろう。
 
 9:03、定刻より30分以上遅れ、不意に列車が入ってくる。北線Chiang Maiゆき、9列車だ。今度は3両編成。後ろが3号車、前が1号車。ドアのところに「2」なんて表示があるけどこれはどうやら2号車ではなく2等車の意味らしい。
 1箇所のドアから乗客が乗り込むのに少々時間を要する。指定された座席はほぼ真ん中。真ん中にちょっとした仕切りがあり、半室構造みたいな雰囲気だけどこれは排気管が通っているようだ。座席に落ち着く。まだまだお客さんが乗ってくる。乗りこんだその後でワゴンの積み込み作業があるはずだからまだまだ出発までは時間が掛かる。
 座席を照らし合わせながらやってきた外国人が「ここは俺の席だ」と言いたげに声を掛けてきた。間違えたかとも思って切符と席番を見比べたけど問題なし。間違っているのは相手の方だなと開き直り自信を持って
「I Have 47」
「No、This is Car No2」
 これが2号車なら3号車はどこだ。2号車は前だろ。どうやらこの人、2等車の表記を2号車と勘違いしている様子。
「No No NO This is Car No3。No2 Forward」
 なんて言っていたらタイ人らしい人が
「Yes This is Car No3」
 なんて言ってくれて外国人、ようやく分かってくれた。やれやれ。家族には
「ちょっと言い方きつくない?」
 なんて言われてしまったけど。そんな様子を見ていた後ろの人が「私の席は合っているの?」と言いたげにこちらに話しかけて来る。