前日が夜行列車だったせいか、何時の間にかぱたんと寝ていた。夜中目覚めるとテレビはつきっ放しの暖房も入りっぱなし。缶ビールは開けただけで口をつけていないなんて酷い状況。もう一度寝るとまたぐっすり。起き出すと7時半すぎ。
早く目覚めるならさっさとチェックアウトして納沙布岬を往復する手もあるだろうけど、今日はゆっくりして行こうと考える。いい加減溜め込んでしまった恥辱を少し進めておく。本当は昨日のうちに先週のフォッカー、書いてしまいたかったのだけど。
適当な時間に朝食へ。部屋の外に出ると少々寒さを感じる。レストランは呆れるほどがら空き。
前日、チェックインするときに「和食と洋食とどちらになさいますか」と聞かれてバイキングじゃなかったのかと思ったのだけど、まぁ、納得。
邪魔する建物がないので眺めだけは良く、向かいにうっすらと見えている知床を眺めているうちに朝食が運ばれてきた。
まぁ、ありきたりの和食です。ご飯、飛びぬけて美味しい訳じゃないですが、中学の修学旅行で食べたようなあからさまに不味い北海道米には、お目にかかれなくなりました。
そそくさと食事を済ませて、部屋に戻る、前に展望室と言うのがあるというので、覗いてみた。
納沙布の方を
花咲の方を
根室駅と根室半島の方を
根室港の方を。その先には知床半島
遠くに小さく見えている山、どうやら国後島の爺爺岳らしいです。
晴れていれば素敵な眺めだろうけど。まぁ、国境の街らしい重苦しさを空が演出してくれたの、かな。
10時にチェックアウト。フロントにこんな掲示が出ている。
日の入り、15:46だそうです。気になってフロント氏に冬至の頃は何時に日の入りか聞いてみた。15分ほど早くなるそうだ。
と言うわけでホテルを後に。弱々しい光を背に受けて歩き出す。冷たい空気が身を包む。今日はどこも見学せず、空港に戻って飛行機。とは言え1時間ほど間があるので、根室港の方まで歩いてみた。
色彩の無い街で唯一の彩りがナナカマドの実。先月女満別で真赤に染まった紅葉を見たけど、今日はすっかり葉を落として。
街中でみつけたモニュメント。先々月ぐらいか井上靖の「おろしや国酔夢譚」は読んでいたから、あぁと思う。どうでもいいけど、井上靖と言う作家、教科書の教材で取り上げられていたせいか、つまらない小説を書く人と言う固定観念があったけど、実際に読み通してみるとなかなかどうして面白く読めて、眼から鱗でした。余談ですけどね。
飛行機好きにはこちらも気になります。リンドバーグは大西洋単独無着陸飛行で有名ですけど、北太平洋の航路も飛んでいたのですね。知らなかった……
港へと続く道を下って行く途中、目立つのはロシア語の看板。
交差点の看板にもロシア文字。良くも悪くも結局ロシアと向かい合ってきたのが根室の街なんだな、と改めて思う。その割りにロシア人の姿を見かけなかったけど。
港の手前で見かけた歴史を感じる倉庫。小樽か函館にあったなら小洒落た喫茶店かレストランに化けそうですが、根室ではあくまで倉庫は倉庫。
15分ほどで港にたどり着く。手前に入るのは漁船。向こうの岸壁には巡視艇の姿。小さな油送船もいたけど、
寂しいものです。風がただ強く、鴎か何かの亡骸がこの地の厳しさを教えてくれてた。引き返そうかな。
市街地を駅に向かって、今度は上り坂。クルマは時折通るけど、歩いている人は殆ど。どうやら繁華街に差し掛かったようだけど10時半の根室の街はまだ、寝ているかの様子。パチンコ屋すら、眠っている。途中、路駐がやたらと多い所があってここだけは人の気配に満ちている。何かと思ったらお寺さん。これから葬式が始まるのだった。
造り酒屋を横目に、駅へと戻ってみる。時刻は10時50分ごろ、だったかな。中標津空港へ向かうバスは11:20の出発。ちょっと間があるけど、少し目論んでいる事がある。バスの時刻表を確かめた後、隣の駅へ。こちらは11:03という快速釧路行きの改札を待つ行列が出来ている。列車の時刻表を確かめてから切符を買った。汽車で行こうかな途中まで。
KIOSKに駅弁の文字があり、釜飯とカニめしを売っている。業者は本来は釧路駅の駅弁業者、釧祥館。駅弁の世界も寡占化が顕著で小淵沢の駅弁屋が甲府に出てきたりとか、まぁあるけど、2時間に1本しかない根室の駅で駅弁を売ること自体が立派だ。まぁ根室駅駅弁と言う商品をデパートの駅弁大会に出展できるメリットの方が大きいのでしょうが、実際に地元で売っている事に敬意を称し、1個お買い上げ。
改札が始まって行列が動き出す。駅弁を買っている間に行列が動いたから自分は殆ど最後のほう。駅員さん「今日は混んでるから座れるかなぁ」と独り言ともつかない声を掛けて改札スタンプを押してくれた。
道東へ来るたびにお世話になってきたキハ54。今日もちょっとだけお世話になる。混んでいたけど車内に入ってみると1箇所、席が空いていてありつける。
何度と無く手を加えられてきた車内。すっかりオリジナルがどんな感じだったか忘れてしまった。
冬なので二重窓、内側もしっかり。車内は暖かだけど、二重窓を少し上げると冷気が忍び込んで来た。