国境の街

 今日は根室に宿泊する。リムジンバスが出ているのだけど、乗り場に待っていたバス、

 マイクロバス。飛行機自体が小さいからこれでいいのか。内部は観光バスあたりのお古らしいシートが1-2列に並んでいて16人ぐらいかな、定員は。
 出発を待っている間に吹雪になる。

 結局、客は自分ひとり。吹雪の中をバスは走り出す。薄暗いバスの中は寂しく寒く。運転士さんが「毛布あるから使って」と声を掛けてくれる。確かに荷棚には毛布が。飛行機みたいだけど、それだけ寒い土地なのだろう。
 中標津の街に入る。思ったよりもでっかい。ここに泊まるのも楽しそうだし、出来ればそうしたかったのだけど、気が付いたら出かける間近。ネット上で予約できるホテルが根室しか残っていなかった。
 バスはターミナルに寄る。国鉄標津線中標津駅の跡地のはず。ここでお客さんが一人乗ってくる。この人も根室までゆくらしい。それでも立った二人を乗せて、バスはひたすらに道が伸びてゆくだけ、漆黒の根釧台地へ脚を踏み入れた。吹雪は何時の間にかやんでいて、道にも行きは無い。淡々とした速度でバスはゆく。傍から見るとノロノロなのだろう。時折自家用車がバスを追い抜いてゆく。
 根室までは1時間半。真っ暗闇を走り続けると小さな街が現れて別海。ここでも元別海駅らしいバスターミナルへ。トイレ大丈夫ですか〜と運転士さん。何かアットホームなバスの旅だ。別海出発、17:33。この辺からは一度自分で走った事のある道。もう5年近く前かな、会社が1週間休みをくれたので北海道をふらついた事があったけど、その時にレンタカーで走った道。今は真っ暗だから景色は分からないけど、走った先の交差点、確かに見覚えがある。真っ直ぐ行くと厚床の駅。バスは左折。根室へ続く44号線へ。中標津から1時間が経っているけど、根室はまだ30キロ先。
 何度か来た事のある根室駅前に到着したのは中標津から1時間半ほど経った18:30過ぎの事。人影も無く、酷く寂しい街並み。ひとまず今日の宿へと歩いて向かい、チェックイン。
 さて、夕食はやっぱり海のものを食べたい。
 荷物を部屋に置いた後、フロントの人に聞いてみた。近場で2軒ほど紹介された中から、遠い方の1軒が気になり、脚を伸ばしてみる。
「若い人向けだと、魚の他にも洋風のものもあって」と言うそのお店。

 喫茶店風の店構えに活貝、活カニの幟。不思議な雰囲気ですが、フロントの人、確かにここの店の事言っていたよなぁ。ひとまず店内へ。

 ビールを頂きつつ、色々と注文。でも、

 喫茶店ちっく(笑)
 でも、注文したものはちゃんと出て来ます

 生牡蠣は¥240。小振りだったし、正直先週仙台で食べた方が美味しかったけど、満足。

 焼牡蠣も同じく¥240

 サンマのルイベ。ルイベは時々見かけますがサンマでルイベは初めて。結構、美味。
 で、これがどうしても気になる。

 花咲ガニで¥2,800〜¥3,800とあるので時価って事?と思ったけど要は大きさの問題らしい。一人で食べるので、店の人、気を使ってくれて一番小さいのを捌いてくれた。

 刺身が出てきた後、

 茹でカニも。一尾のカニと格闘する事、小一時間。卵を抱いているカニを食べる事に少々の罪悪感を覚えつつも、でも、美味しいんです。
 カニを一尾丸ごと頂いて、2時間いる間にビール4杯飲んで、6,000円をかなり下回るお値段。何と言うか、想像以上に安くて。
 ホテルまで戻って、自室へ。本来なら恥辱を進めておくべきだけど、すっかりやる気を無くす。っーかたまにはそういう束縛から離れるのもいいだろ、と酔った頭で考えている間に、眠気も増してゆく。