JN3586 JA8768 YS-11 KCZ→FUK 

 高知空港
 写真:本日高知最終日 
 高知のカウンタ、YS-11の歴史がパネル展示されている。自社関係の話だけでなくANAANKにも触れられており、意外としっかりした年表だ。先ほど乗ってきた知った顔連中でまとまってセキュリティチェック。妙に混んでいる。まぁ折り返し搭乗者が集中しているからなぁ。
 高知空港
 写真:お見送りの横断幕
 中に入る。取材のカメラが2台いるなぁ。「ありがとう日本の翼 YS-11」の横断幕を持った係員の姿も。搭乗の案内が流れる。拍手が起きた。搭乗開始。すっかり薄暗くなっている。係員総出で誘導中。搭乗時の監視役兼お見送りといったところか。なかなか搭乗が進まないものの、なんとか18:07、Doorclose。お別れのためにやって来たお客さんばかりが目立つ中で自分の隣席の人は普通のおじさんだ。「知らんかったけど最後に乗れてラッキーだわ」なんて話になる。今度のフライトでも乗務員4名の紹介が入る。福岡までの飛行時間は1時間25分との事。
 一瞬機内が暗くなる。そしてプロペラが一つ廻る。もう一つ廻る。すっかり暗くなったスポットにたくさんの係員が並んでいる。先ほどの横断幕も出てきた。デッキには鈴なりの人。18:11、Taixing。器用にぐるりと廻ると誘導路を滑走路端へ。空港脇の道路をタクシーが併走して行くのが見える。
 18:15、Takeoff、RWy14。沢山の人に見送られて高知を離れる。太平洋上で右に旋回、すっかり夜になった高知の街明かりを右手に望みつつ、高度を稼いでゆく。18:19、再び右に旋回して四国の上空へ。だんだんと明かりが少なくなり、暗いながらに四国山地へと歩み出ている事が良く分かる。
 18:30、ベルト着用サイン消灯。飛行状況の案内が入る。まもなく高度3,000m、対地速度400km/hの水平飛行に移るとの事。福岡到着は19:25となるそうだ。なんて聞いているとビデオカメラが通路を歩いている。取材らしい。JALJACの関係者らしい人も添乗している。
 すっかり夜間飛行。翼の先端に青い光がぼんやりと映り、時折光るライトが翼を赤く染める。もう乗れるなんて考えていなかった、YS-11の夜間飛行だ。ダートサウンドの響く薄暗い機内に妙な感慨を覚える。YS-11の夜間飛行に乗りたくて、出かけたのは昨年9月9日の事。あれから1年、とうとう、明日で最後だ。
 外を撮れないためか知らないけれど、アテンダントさんが機内を廻るたびにフラッシュ、フラッシュ、フラッシュ。お仕事とは言え、気の毒。
 18:35、松山上空に差し掛かる。一面広がる街明かりがまぶしい。ためしに写真を撮ってみる。4秒、なんてなるからぶれる事は必至。でもそれもまた良いのかもしれない。機内ではドリンクサービスが始まっている。またフラッシュ、フラッシュ、フラッシュ。
 松山上空
 写真:YS-11 松山市内上空に差し掛かる う〜ん、ぶれぶれ。
 窓の外に誘導灯が見て取れた。岩国基地らしい。時刻は18:47、帰りのルートはいつもどおりの様子。徳山の夜景も見て取れた。霞気味だった昼間の景色よりも、素敵な景色が広がる。写真には撮れないけれど。
 搭乗証明書の配布が始まる。フラッシュフラッシュフラッシュはもう慣れてしまった。こちらのフライトは高知発最終便と言う事で特別版。中身は分かっているけどあけてみる。乗務員各氏のサインが入っている。これ、人数分サインするの大変だったろうなぁ。感謝します。
 「間もなくシートベルト着用サインが点灯いたします」の案内が入る。19:00、ちょうど北九州に差し掛かる所だ。でもその後、絵葉書を配る余裕はあった。実際の点灯は19:07、少し揺れ始める。大した揺れではないし、揺れも思い出の一つになるのだ。
 「あと10分で着陸いたします」の案内が入る。19:11のこと。福岡の天候が改めて案内された。高曇りで気温は24℃だとか。機窓に半月が姿を見せる。油圧ポンプの動作音。Geardownした。月明かりに照らされてYS-11博多湾へと歩みを進める。まもなく一面に光り輝く福岡の街、ダートサウンドを響かせて高度を下げてゆく。19:18、Touchdown、RWy16。一気に減速してゆく。
 誘導路をTaixing。客室乗務員から案内が入る。「私ども乗務員もYS-11のフライトでの本日が最後となります。皆様方とこの時を迎えられました事に心から感謝致します」聴いていて泣けてきた。今からこんな調子で明日、本当にどうなるのだろう。
 19:24、Spotin SP14。降機時に最終便搭乗の記念品を頂く。JACオリジナルのカレンダーだ。これ、前回のツアーで鹿児島行ったときに申し込んじゃったんだよね。まぁ良いか。スポット上でお決まりの撮影会。YS-11の頭の上に半月が輝いている。操縦席の窓が開き、機長がスポットを眺めている。感慨深げな表情だ。普段は到着口へお進み下さいと声を出す地上係員も今日は何も言わない。
 JA8768福岡空港
 写真:福岡空港に到着したJN3586便 JA8768