付き合いきれない

 キショだというので全員食堂に集められ、相変わらず画面の向こうでなにやら言っているらしいシャチョウと名乗る人の顔をしばらく見せられる。何時もの如く何を言っているのか不明だ。仕事量が増えたようで人の数も増えており、明らかに食堂のキャパシティを越えた人間が無理やり押し込められている。椅子が足りないのは仕方ないが、異常に蒸し暑いのは勘弁して欲しい。画面が切れたあとにショチョウを名乗る人の演説が長々と続く。「最後に」が何度か続いた後、本当に最後に「労働災害について……」が出て来る。こんな暑苦しい所に長時間押し込めておいて安全に細心の注意をなんて言うのも馬鹿げている。いい加減集中力事切れても仕方あるまい。
 朝から気の重くなる事ばかり。今やっている仕事、3年後に売り上げ6割増にするとかほざいているバカが居るとか。バカが居る、だけなら無視していれば良いのだけど、それが会社の3ヵ年計画なんぞに載っている。
「何で出来ないかの理由を考えるのでは無くどうしたら出来るかを考えろ」とよく言う。最もな言葉ではある。とは言えどうしても無理なものは無理な訳だし、実現するには人材が必要だとか、専用の組立場所が居るとか答えると、それは無視されてしまったり。結局無理やり狭い場所で組立と試験をした挙句の果て、社内立会にやって来たお客さんに「もう少し足場の良い所を」なんて自分が言われてしまったりするわけであり、結局のところ、目標を押し付ける側に都合のいい言葉でしかないんだよな。
 今でさえ背伸びして背伸びして達成した売り上げなのだし、裏づけも無い目標を押し込められるのでは叶わん。かと言って人を付けるからなんて言われても即戦力が社内に居るわけで無し、結局教育と実務をパラでやれと言われているようなもので、オーバーワークになるのは眼に見えている。現在でもひぃひぃ言っているのだ。給料が高けりゃまだ我慢せざるを得ないが、自分の給料、明らかに安月給だし。自分のやった仕事の利益を考慮し、ここまで育てるための投資を鑑みても、搾取だよなぁと考える。割に合わない、そこまで尽くさねばならない義理も無い。
 転職の可能性を探ってみようかなんて事、考えてみる。
 割り切って自分のキャパシティを越えてる部分はみんな断ってしまうというのも手だ。例えば一昨日の出張みたいに。
 付いてゆけるところまで付いてゆくという選択肢もあるが、報われるとは思えない。ボロボロになった頃には転職適齢期を過ぎてどうしようもなくなっている可能性が高いな。
 さて、どうする?