ボヤ

 会社で仕事していると、灰色っぽいものが湧き上がるのがちらっと見えた。????。同じフロアの二つ隣の課で煙が上がっている。
「消火器!消火器!」
 消火器放射。ポン!と軽い破裂音。一瞬火花が見える。火は収まったけど煙い。窓を開けに走る。消火器の粉が少しずつフロアに充満してゆく。少し頭が痛くなる。こちらから見ると火元付近は霞んでいて良くあんな所に居れるものだと感心するけど、火元付近からこちらを見るとやっぱり同じように霞んでいるのだとか。
 意味無く指図する人。消火器の粉を掃除する人、遠巻きに見ている野次馬。淡々と仕事を続ける人。どこかに連絡する人。訳が分からん。とりあえず仕事するか。それにしても火災報知器は鳴らないし、誰も避難しないのね。
 遠くでサイレンが鳴っているなと思っていると、「消防車が来た!」の声。窓の下にははしご車とポンプ車が到着。暫くすると防火服に身を包んだ消防隊員が多数到着。現場検証が始まった。単なるボヤだと思っていたけど大事だねぇ。それにしても誰も逃げ出さないっーのは根性が座っているのか、能天気なだけなのか。
 お昼前に騒ぎは一段落。さて仕事と思ったけど午後は午後で電源系統の容量が大丈夫かどうか調べろとかフロアを片付けろとか余波は続く。自分も置く場所が無くて隠してあった蒸留水20L7箱を寄せろと言われて、「水が燃えるんかよ」とか文句を言いながら片付けたのでした。