雪の中へ、雪の中で

元井の頭線3000系

 1日、寝たのが午前10時、起きたのが午後5時。さてこれで今晩眠れるのか、激しく疑問だったけど、ビール2本を空けて寝たのが横浜を過ぎた辺りだったようだ。目を覚ますと富士である。まだ隣りが空いている。指定券売り切れって言っていたと思うけど。でもここで乗ってくる。器用な人も居るものだ。再び眠る。気がつくと豊橋を出るところ。西小坂井愛知御津……。出張時にはおなじみの駅が過ぎてゆく。また眠る。名古屋でざわつく。多少降りて行ったようだ。再び目を覚ますと川を渡ってどこかの駅。どこだろう。発車する。アナウンスが入る。「次は終点大垣です。」おやおや、もうそんな所か。いっぺんに目が覚めた。準備をしているうちにガタゴトとポイントを渡る音。大垣だ。
 ドアが開く。各車一斉にスタート、とばかりに大勢の人が階段を駆け上がる。大垣レースの開幕だ。「オバアチャン!」と喚く子供の声。冗談抜きに阿鼻叫喚だなぁと思う。幸いにも私の乗ってた号車、階段のすぐそばだった。隣りのホームに停まる姫路行き。4両の列車に余裕で座れる。後から後から人人人。さっきの声の主らしい家族連れの子供はまだ喚いている。「オトウチャンのアホ」「何やっとるんや」人はさらに膨らみ、溢れる。10両を4両で受ける事自体に無理があるよなぁ。それにしても寒い。めちゃくちゃ寒い。列車の中なのに外の寒さと一緒だ。列車が進む。関が原まで来ると雪だ。積もっている。近江長岡で降り出す。だんだん夜が明けてきて外の白さがよく分かるになる。
 雪の米原。快速の客は隣の新快速へと移ってゆく。自分はここから北陸線。寒いホームで列車を待つことしばし。急行型の3両編成が到着。これが富山行きになる。東海道線から乗り継ぎ客で1ボックス1グループぐらいの客になった。列車が発車する。一つ一つ丹念に停まる駅のホーム。必ず雪かきをしている人がいる。正月の2日。家でゆっくりしていたいだろうに。鉄道のOBさんでしょうか。畏敬の念を抱かずにはいられない。
  新疋田。三脚を持った人たちが下車してゆく。ああそうか、そういう選択肢もあったのか、と今更ながら思う。雪に埋もれて新疋田で白鳥を撮ったのは2000年のこと。もう5年も前になるのか。ふと降りてみようかと思っても見たけど足元を見て諦める。靴が耐雪仕様では無い。自殺行為だ。
 敦賀。そろそろ腹が減った。考えてみると昨日の夕飯は午後6時。そりゃ腹も減る。駅弁でもと思うけど下りホームはまだ売店が開いていない。そしてこの時間、特急退避もない。すぐの発車。列車は北陸トンネルを潜る。
 トンネルを抜ける。突然青空が広がる。雪雲の下の敦賀がうその様に晴れ渡る。雪は先ほどまでふっていたようで山の木々、枝一面に雪を載せている。