納沙布岬

 2時間ちょっとを掛けて根室へと着く。羽田からは24時間以上掛かっている。無論、真っ直ぐ来ればこんなには掛からないけど。辿りつく、っていうのがぴったりな感じだ。結構寒いけど、凍てつく、という感じではないなぁ。今日はこれからバスで納沙布岬まで向かう。バスの乗り場は駅前の横。ちょうど納沙布行きのバスが入ってくるところ。乗ろうとすると運転士さんに聞かれる、「納沙布ですか?」と。「だったら切符買って下さい。ちょっと安くなりますから」片道\1,020。往復で\1,880。1割までいかないけどコーヒー代ぐらいかな。わざわざ親切な人だ。
 バスに乗っているのはほんの数人。明らかに釧路からの快速乗り継ぎな人が二人。恐らく札幌から一緒なんだろうなぁ。後は地元の人かなぁ。バスは根室市街を一回りした後に見覚えのある道を走り出した。途中、温度計が出ている。−2℃、だそうな。
 去年の5月に根室に来た時は、レンタカーを借りて走った道だ。前回は青々とした大地と空の下、窓を全開にして慣れない道を走りながら横目で眺めるドライブ。今回は弱弱しい青空と白い大地を身を委ねながら眺める時間。最果てまで来たという実感はどちらにもある。正直、もう少し違いが鮮烈にあるかなぁと思っていたのだけど。今日が青空でなく沈むような空で、吹雪いてでもいれば印象がまた違ったかもしれない。バスの行く先、時々集落が現れる。これが意外と大きい。竜飛岬へ向かう途中の集落は本当に小さく貧しいと言った感じだけど。北海道の方がカニやら昆布やらで意外と豊かなのかもしれない。そんな気もする。
 やがて先のほうに大きな塔が見え出す。だんだんと大きくなって終点納沙布岬の案内。バスを降りる。風が突き刺さる。
 ここまで来たのは4人。おばさんが一人観光物産館に入ってゆく。パートさんなのかもしれない。カップルが一組。そして私。とりあえず岬の先端へと向かう。海を見下ろす、そして先に平べったい島々がいくつか見えるその上に幾つもの碑が立っている。東京の、大阪のうよくうよくうよく。数える気がしないほどたくさんの碑。前に来たときには気づかなかった。まぁ場所柄こうなるわな。ダッカダッカダッカン、だって。まぁさっき根室線の列車から見てきた島々とさほど変わらないように見えるのは事実だったりする訳だし、すぐ目の前にあるのにそこに行くことが出来ないことも事実な訳である。
 灯台のそばまで歩く。難破船が打ち上げられてる。昨年5月に来たときもあった船だ。ソ連の船、って近くの食堂の人は言っていたっけ。その食堂は今日は店を閉じている。他の食堂も土産物屋も同様だ。何しろ日曜日なのに駐車場には車一台とまっていないのだから仕方がない。バスの車内から見えた塔、展望台に行ってみる。前回は無視したのか気づかなかったのかよく分からないけど行かなかったところだ。地上80mから北方領土を一望できるらしい。中に入ると受付嬢と上役らしい中年男の二人。他に人は居ない様子。入場料\900だって。そう何度も来る機会があるとも思えないし、視界も良好なので入ることにする。エレベータで最上階へ。こちらも人っ子一人居ない。先ほどの灯台からは真っ平にしか見えなかった水晶島が今度は島らしく見える。貝殻島灯台も見える。\900の価値があるかどうか知らないけど、視点が変わって楽しめた事は確かだ。
  灯台のそばまで歩く。難破船が打ち上げられてる。昨年5月に来たときもあった船だ。ソ連の船、って近くの食堂の人は言っていたっけ。その食堂は今日は店を閉じている。他の食堂も土産物屋も同様だ。何しろ日曜日なのに駐車場には車一台とまっていないのだから仕方がない。バスの車内から見えた塔、展望台に行ってみる。前回は無視したのか気づかなかったのかよく分からないけど行かなかったところだ。地上80mから北方領土を一望できるらしい。中に入ると受付嬢と上役らしい中年男の二人。他に人は居ない様子。入場料\900だって。そう何度も来る機会があるとも思えないし、視界も良好なので入ることにする。エレベータで最上階へ。こちらも人っ子一人居ない。先ほどの灯台からは真っ平にしか見えなかった水晶島が今度は島らしく見える。貝殻島灯台も見える。\900の価値があるかどうか知らないけど、視点が変わって楽しめた事は確かだ。
 帰りのバスの時間になるのでバス停に戻る。乗客はさっきも一緒だったカップルと自分。今度は集落ごとに一人二人と乗って来て、車内は賑やかになる。10時半ごろ、根室駅に戻る。
 帰りの列車は再び快速列車。ちょっと早いけど帰省客って感じのお客さんに見送りの人もいて、旅立つと言う雰囲気に溢れている。暖かな車内でまたウトウト。厚床に停まったのは覚えているけどきちんと目覚めた時には厚岸湖の脇を走っていた。白鳥やら雁やらが湖面のあちらこちらに散っている。列車がすぐ脇を走ってゆくのだけど、驚く様子もない。慣れているのかもしれない。
 列車が厚岸に着く。何人かが乗ってくる。降りるのは自分だけ。ここで1本落とす。次の列車までは50分ほど。ちょうど良い時間だと思う。
 10年前に初めて根室を往復して以来、厚岸を通るのはこれで4度目だけど、今度こそはかきめしを手に入れたいと思う。キオスクにはかきめしの張り紙が出ており、ここで扱っているようだ。でも、ただ単にかきめしを手に入れておしまいと言うのでは50分ほどの時間を持て余す事になる。折角なので駅前で「かき」の看板が出ていた店に入ってみた。「生かき」「焼かき」「かきフライ」「かきスープ」とお品書きが並ぶ。生かきの定食を注文。待つほど無く出て来る。ご飯と味噌汁と小鉢と生牡蠣だから、そりゃ早いわな。生牡蠣を食べる。美味しい。美味しいけどこないだ仙台で食べた生牡蠣の軍艦巻よりはちょい落ちる気がする。シーズンが過ぎたせいかなぁ。厚岸、牡蠣祭りは10/2〜11だそうな。その頃にまた来ればもっと美味しい牡蠣を食べられそうな気がする。う〜ん、牡蠣三都物語、なんていいかもしれない。厚岸、石巻、広島。まてよ、岩牡蠣の象潟も頭を擡げて来るし、三都、で収まるかな。
 少し駅の周辺を歩く。気温もずいぶん上がったようだ。手袋もせず、コートのボタンを外して歩く。通り過ぎてゆく風が心地良い。3月か4月のような雰囲気だなぁ、そんなことを思う。
 駅に戻るとキオスクに非情な張り紙が出ている。「かきめし売り切れ」あぅぅ。でも駅前に駅弁屋の売店があったな。そちらに行くことにする。やっているのかよく分からないけど近づいてみると確かに営業中。ようやく買えました。10年越しです。厚岸のかきめし。
 ここにも携帯ストラップがあるので聞いてみる。店のおばさん、私も使っているんですよ、って携帯を見せてくれる。「こっちはクリーナでこっちのマスコットは中身がちゃんと駅弁になってます」って。爆笑。こちらもお買い上げ。