花輪線

 3両とも冷房が付いてない、久々に乗る非冷房だけど、扇風機すらまわす必要を感じない程度の暑さ、と言うか涼しさ。列車が走り出すと冷風が窓から飛び込んできて一際冷えた。
 走り出してしまえば少しづつでも乗ってくる。市街地に近い東大館の方が乗客は多く、その後も意外なほど順調に客が増え続けた。高校生が多い。日曜日でも部活や何やらで減らんわな。すれ違う列車も同じような感じだった。
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 写真:乗車したキハ52 十和田南にて
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 写真:すれ違った列車はキハ58 昔の急行よねしろにあたる快速秋田ゆき

 陸中花輪、じゃなかった鹿角花輪で高校生が降りてゆく。残ったのはおばさんばっかり。この先どこまでゆくのやら、盛岡まで行くのだとすれば、花輪線もまだまだ捨てたものじゃないと思ったけれど、おばさんたち、湯瀬温泉で全員が降りていった。温泉旅館の掃除に通っているのだろう。通勤に使われているのなら花輪線も光栄かもしれないけれど、この先の県境へ向けて、乗客がまた出発時のように姿が見えない。昔は鹿角は陸中だった訳で、秋田-岩手県境の景色に、例えば昨日の青森-秋田県境のような山が深くなってトンネルに突っ込むとかそんな様子はないけれど、100年かそこいらで県境というものは確実に浸透しているのかもしれない。まぁ高速道路を使えば、そんな感傷に浸ることはないのでしょうが。
 朝は涼しかった車内も日が昇って少しづつ暑くなってくる。誰か乗るたびに扇風機のスイッチに手が伸びる。空いていた車内も、花輪線が尽きて東北線、じゃなかった銀河鉄道線に乗り入れる好摩を過ぎたあたりでいっぱいになる。スピードも本線の立派な線路の上ならウンと上がってまるで別人のようになった。午前10時前、盛岡着。